表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第一章・沖縄編1

 薄暗い空間。照らし出される微弱な光はプロジェクターから映し出された擬似的な画面。

 薄汚い絵が操縦桿を動かすことで、リンクして動く。

 スティックは腕の動きを。ボールは指の動きを。そしてペダルは脚の動きを。

 四点式のシートベルトで体は固定される。少し息苦しいぐらいだ。

 

 敵機体が接近しつつ射撃。標的はこの機体。被弾。被弾。

 脚部、頭部に命中。しかし、問題はない。日ノ(ひのもと)戦術機(せんじゅつき)は装甲に自身があるとはよく言ったものだと思う。たしかに異常は微塵にも感じられない。

 それでも衝撃は走り、操縦席(コックピット)全体が小さく揺れる。ペダルを踏み、バランスを保つ。

 攻撃に順番なんてものは存在しない。撃たれたら負け、撃ったもん勝ちだ。それは否定できない。確かに間違いないからだ。

「コマンド、RS(アルエス)起動」

 そう音声認識を交わすと、制服の中に入っている信号が起動し、制服の筋がほのかに青く光る。軌道は正常、という意味だ。

 RSは上半身、腰から上の動作を操縦者とリンクさせるというものだ。リアクションスイッチ、またはリアクションシステム。それが正式名称だ。機体の頭はアイゴーグルに合わせて動く。それで自分の手を機体の目を見比べて確かめる。確かに正常に起動している。

 右胸のパッチにかけられている戦術機専用コンバット・ナイフを手に取り、逆手でと持ち変える。

 ペダルは固定動作。固定された動きしか出来ない。走る、歩く、跳躍、しゃがむ。

 二つのペダルを組み合わせれば、匍匐(ほふく)前進なんていうのも可能だ。


 走りのペダルを踏む。機械の音が少し重たくなり、機体の模擬装置がゆれ始める。

 右手はナイフを持つ形。時速は約40キロで走るこの機体は、大きく揺れながらも次第に敵機体へと近づいていく。

「……っ!」


 接触する瞬間、右手を強く前に出す。当然ながら機体は同じ動きをする。

 敵機体の胸部に狙い通り、ナイフで大きな傷をつける。ゆっくりとした模擬訓練だった。


 シミュレータの訓練機体は揺れだけは大きく、敵の機体が著しく貧弱だという。

 だからこんなものでも、多少のものはのれれば士気は沸くといった感じだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ