表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Charm of love  作者: 橋本 真一
4/41

始まりの始まり

2013年2月11日以前に呼んでくださった皆様へ…

ここから先に登場する主人公の名前(苗字)の変更をいたしました。

混乱を招きましたら申し訳ありません。

あとがきに変更名を載せておきます。

あしからず。


「とうとう今日だね。」

中学の卒業式でリリが物憂げに言った。

3人が無言でうなずいた。

4人だけだった今年度の卒業生は固い表情で壇上の院長を見つめていた。

「みんな卒業おめでとう。無事に高校も全員受かりほっと一息ですね。でもこれからが貴方たちのスタートです。しっかり前を向き、がんばって前進していってください。」

院長が優しい笑顔で4人に語りかけた。

在校の孤児たちを含め院のすべての子供たち、大勢のボランティア達のなかで4人は見送られた。

「では一人ずつ卒業証書を渡します。名前を呼ばれたら壇上に上がってきなさい。」

壇上の上から院長が少しまじめな顔で続けた。

「アカギ ユウさん」

ユウが壇上に上がり証書を受け取って院長に一礼した。

「クロカワ シンさん」

シンが同じように続いた。

「シロカゼ ヒロさん」

ヒロも続いた。

「アオヤマ リリさん」

最後にリリだ。

4人は何かあるごとにいつもこの順だった。シンとヒロが前後することがある程度で、いつもユウに始まりリリで終わる。不思議な感覚の序列だった。

証書の授与が終わり、なんだか少し寂しい気分になりながら並んでいた4人は前を見つめてじっと立っていた。

「苗字って変だな。名前が二つあるみたいで、なんかむずがゆいっていうか。」

柄にも無く不自然なことをシンが口走った。

「あぁそうだな。前に一度院長から聞いてたけど改めて呼ばれると他人の名前みたいだな。それにしてもむずがゆいっていうのも可笑しな表現だけどな」

ユウが言った。

「これから高校へは入ったら苗字で呼ばれることが多いんだろうし早くなれないとね…」

リリが続けた。

「俺多分始めは苗字で呼ばれても気づかないかも…」

ヒロが冗談交じりで言った。

式はあっという間に終わり4人は見送られて廊下に出た。

式とは一変して、いつもの学校に戻ったような感覚だった。

広い庭を挟んで通路を渡り寮に戻りながら4人はまだ苗字のことを話していた。

「それにしてもダサい苗字だな」

冗談ぽくユウが言った。

「院長がくじ引きしたんだってよ。」

ヒロが言った。

「ほんとに?すばらしく適当ねえ。まあ院長らしいけど」

リリが笑いをこらえながら言った。

4人は楽しくおしゃべりしながら自分たちの寮へ戻っていった。

4人はそれぞれ隣同士の部屋の並びだった。

それぞれの部屋にいったん戻ったがすぐに共同リビングにばらばらと顔を見せた。

まだ院に残る孤児たちがたくさん走り回っていた。

4人は子供たちに好かれていた。

子供たちが4人にお別れをしにやってきたり、訳の分かっていないほどの小さな子達は遊んでと手を引っ張った。

いつものように何気ない午後を迎えてしばし平和な時間をすごした。

それからの数日は学業からも開放され空いた時間を家探しなどに費やした。

家を探すにあたってだが。

院長に知り合いの不動産を紹介してもらった。

知り合いという事もあり何かと融通を利かしてはくれたが物件見学の案内人の男性が曲者で何かことあるごとに変な物件を勧めたがったのがかなり厄介だった。

究極だったのがある日の午後4人は案内人の男性に連れられてある物件を見に行ったときだった。

不気味な洋館でかなり古そうなお化け屋敷のような趣の家だった。

部屋の数は多く広さもかなりあったが、明らかに4人が住む家にしては十分すぎるというか余分なほどの家だった。

「すみません。とてもいい物件だなんですがちょっと僕らが探してる家にしては明らかに大きすぎるんですけど…」

申し訳なさそうにシンが伝えると。

なぜかいつも少しドラマチックな表情をわざと作る癖があるらしい案内人の男性は陰のあるような面持ちで待ってましたというように話し出した。

「ここは是非あなた方にお勧めしたい物件なんです。築100年は経っておりますが、かなり丈夫で何しろ猫がたくさん住み着いていてにぎやかでございますよ」

その言葉に4人は吐き気をもよおした様に黙ったまま苦笑いを続けた。

その後も30分ぐらいどうでもいいこの家についての説明を受ける事になった、だが何か口出しすると余計長くなりそうなので4人は黙って時間に身を任せた。

ようやくその化け猫屋敷から開放されたとき4人は疲れきってその後見に行く予定だった物件の日取りを変更してもらい、一旦院に帰った。

その後院長に相談して案内人を変更してもらう事になった4人はこの上なくほっとした。

案内人の変更後は今までの事がうそのように良い物件が次々見つかりあっという間に理想的な我が家を見つける事ができた。

4人は大満足の未来の自分たちの住まいを手に入れてとても気が楽になっていた。

後は引越しなどを控えて自分たちの心の準備をするのみだ。


シライシ→シロカゼ


再度お詫び申し上げます。

ご迷惑をおかけいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ