感謝
『あ』という1文字から思い付いた勢いのみ小説です。
途中でiPhoneの充電が切れて全文書き直しになり、精神力が削られたので質はだいぶ落ちました…。
良かったらどうぞ。
ノックをし、妹の部屋に入る。
「今日は妹の誕生日だろ? だから一緒に出掛けたりしないか?」
妹は顔をほころばせた。
シスコンだなんて言われるかもしれないけどかわいい。
妹は声が出ない。
先天性で回復した前例は有るが治療法は良く分からないらしい。
そのせいで虐められていた過去も有る。
辛い事ばかりの妹には人並みで良いから幸せになって欲しいと思う。
「よし! じゃ、出掛けよう」
ファミレスで食事をして、帰りに店を見て回った。
ぎゅっと袖を掴んでくる妹は周りを目を輝かせている。
「そろそろ帰ろっか?」
妹は頷く。
と、その時だ。
「あ…」
妹が言葉を発した。
か細い声だったけど。
僕も妹も目を大きく見開いた。
もしかしたら妹の声は…。
途中、声が出た記念も兼ねてケーキを2ホールも買った。
妹がメモで『どうやって食べるの!』と見せてきた。
その顔はとても嬉しそうでこっちまで嬉しくなる。
帰宅。
さっき買ったケーキを切り分けて紅茶を淹れる。
ささやかだけど妹の誕生日を祝った。
「誕生日おめでとう。」
久しぶりに食べたケーキは美味しかった。
また今度ここのケーキを買おうかな。
妹を見ると美味しそうにケーキを食べていた。
「ほら、これプレゼント。」
妹はフォークを置き、更に嬉しそうにしていた。
妹に犬の尻尾が生えていたら今はトップスピードでそれを振り回していたかもしれない。
プレゼントはクマのぬいぐるみ。
前に出掛けた時にじっと眺めていたのを見たからだ。
中を開け、ぬいぐるみを見た彼女は口をパクパクさせて、両手をパタパタと振った。
そんな姿を見ているとこっちまで嬉しくなってくる。
『お兄、私嬉しい!』
そう書かれたメモを渡されて買って良かったと思った。
そろそろ寝ようと思っているとぬいぐるみを抱えている妹が部屋にやってきた。
「どうした?」
彼女は走り寄ってきて座っていたベッドに一緒に座ってきた。
暫くの間ぬいぐるみを強く抱いて座っていた彼女だが、ぬいぐるみを置いて突然立ち上がる。
その後彼女は僕の膝に座って、はっきりと言った。
「ありがとう」