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第7話 幽霊の呪い

――呪いというものは人智では理解できない。だからそれが発動する仕掛けも人智では理解できない――


―19世紀の偉大なる魔導士 神子芝 太平の言葉―



深夜の記念館。


「今晩は妙に生暖かいです。2月だというのに。」

タカシは不審がった。


「そうね 。なぜだか変な胸騒ぎがする」

和子は観覧室に漂う妙な空気を感じていた。


その時であった。

観覧室の照明が一斉に点滅を始めた。


「え、どういうこと?何?」タカシが険しい目で周囲を見渡した。


「お―っほほほほほほほ」

高笑いが響き渡り 、勝手に観覧室のドアが開いた。

そして1人の女性が霧のような瘴気に包まれて、ヒールの音をカチンカチンと鳴らしながら入ってきた。


その女は異様な姿をしていた。


ピンク色のスーツは巨大な肩パッド入りで、シルエットが弱逆三角形の長めのダブルのブレザーボディコンスタイル 。

ウエストはキュッと絞り、ヒップラインがはっきり出る膝上丈のタイトスカート。

ウエストベルトに金ボタンの装飾。

インナーはフリル付きのブラウス。

アクセサリーはパールの二連ネックレス。

耳には巨大なイヤリング。

足元はピンク色の10cm 高のピンヒール。

髪型は ワンレングス、ソバージュ に前盛髪。

メイクは超極太眉に深紅のド派手な口紅。


彼女はガラスケースの前まで来ると、腰に手を当てて真っ赤な唇を開いた。

「ごきげんよう。 蛸壺ルミ子よ」


2人はルミ子の姿を見て驚愕した。


半透明なのである。

顔色も生きた人間のそれではない。

明らかに この世のものではない姿であった。

それが 霧のような瘴気に包まれて立っているのである。

正真正銘の亡霊であった。


タカシは震えながら尋ねた。

「あのう…ルミ子さんはこちらになぜお越しになられたんですか?」


「なぜ?そうね…」

ルミ子は眉間にしわを寄せながら答えた。


「こちらの皇女様は随分と人気がお有りじゃない。死んでからずいぶんと経つのにね。みんなにキャーキャー もてはやされちゃって。こんな小娘が!それなのに私は死んだらすぐに忘れられて誰にも見向きもされない」

ルミ子は唇を噛んだ


「こんな綺麗な私がね!だから皇女とやらがどんな御大層な御方か見に来たって訳。でも 実物は全然大したことないじゃない。オッホホホホホホホ!」


(怖い…かなり こじらせてる)和子は青ざめていた。


タカシは恐る恐る尋ねた。

「あのう、ど、どのようにして亡くなられたんですか」


「はあ!?」ルミ子は不機嫌そうに答えた。


「私モテるでしょ。5人ぐらい 股にかけてたのよ。そしたら 一番ダサいやつが嫉妬しちゃってね。あんたは金だけ貢けばいいのって言ってやったら逆ギレして刺されちゃったってわけ。私何にも悪くないのに。」


(かなり最低だ…)タカシは思った。


「ねえ、私 いくつに見える?」

ルミ子が唐突に尋ねた。


(あ!この質問気をつけなきゃ!お願いタカシさん !慎重に答えて!)和子は焦った。


「39歳ぐらいですか?」

(あちゃー!)和子は目がクラクラした。


「はあァァァ―――!?」

ルミ子の顔が憤怒の表情に変わった。

「私の歳が 39歳!!ふざけんな!」


(しまった!正直に言っちゃった…)

タカシは後悔したが、ルミ子の怒りはもう収まらない。


「きいィィー!! ハァハァハァハァ…

 いいわ…ふふふ… 

 あんた達にはお仕置きが必要ね!」


ルミ子は不気味に笑うと懐から1枚の色褪せた紙を取り出した。


「これは(霊呪文完全覚書)よ!ここに書かれている 呪文を間違いなく完全に詠唱すれば、あんたたちには恐ろしい呪いが降りかかるの。覚悟なさい!」


(あの書のこと斑目から聞いたことがある!怨霊が 人を呪う時に使うのだとか…どうすればいいの!)和子は 戦慄した。


「さあ― !行っくわよ―!」

ルミ子は恐ろしい 笑みを浮かべてから、どれどれと書面を見た。


(これは霊が人を呪う為のマニュアルです。ここに書かれている呪辞を順番にきちんと発音しましょう。正しく唱えればピンポンと音が鳴り人間に強烈な呪いが降りかかります。ただし 言い間違えたり 余計なことを言うとブーという音がなります。その場合は最初から言い直してください。では始めましょう!)


「きちんと言えなきゃダメなのね。始めは?」


(一の辞  パンティ―ストッキング!)


「パンティ―ストッキング!……な、何なのこれ…」


ブーという音が鳴った。


「しまった!余計なこと言っちゃった! 最初からやり直し なのね。」ルミ子は言い直した


「パンティーストッキング!」


ピンポンと鳴った。


(何故パンティ―ストッキング?ふふふ)

和子の腹筋が動き始めた。


(二の辞  B.V.Dのパンツは間違いなし!)

「B.V.Dのパンツは間違いなし!」


ピンポン!


(三の辞 ワコールのブラジャーは脱がさないで!)

「ワコールのブラジャーは脱がさないで!」


ピンポン!


(四の辞 ピーチ.ジョンのパンティーで勝負だニャンニャン!)

「ピーチ.ジョンのパンティーで勝負よニャンニャン!

ブブ―!

「きゃあ!!しまった!」


(う、くく、笑っちゃダメ!耐えるのよ! 和子!)


「ハァハァ…又最初からなの…パンティースト…

あほか―!」

ルミ子はぶちギレて紙を地面に叩きつけた。


「これ百の辞まであるじゃない!やってられないわ!」

と叫ぶと血走った目で2人を睨んた。


「ふん!今日のところはこれぐらいで許してあげるわ!覚えてらっしゃい!」


そう言うとルミ子は瘴気に包まれて消えた。


2人は呆気に取られていた。




夜更けの観覧室


「パンティー、ストッキング!あはははは!」


「もう!殿下!やめて下さい!結構やばかったですよ」

幽霊の毒気に当てられタカシはぐったりしていた。


「ルミ子さん、又来るかしら?」


「絶対来ると思います。あの手の怨霊は執念深そうですから」

タカシの心配は尽きないのであった。



次回、侍が現れる。




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