第42話 皇女の策略④
「あ、もしもし。名誉顧問でらっしゃいますか?お忙しいところ誠に申し訳ございません…」
『なんじゃ田端か…一体どうした?』
「実は募集メンバーが集まりまして …今晩早速その採用面接を実施できればと思いまして…」
『なんじゃと?えらく性急な話じゃの…まあしかし 喫緊の課題じゃ…よかろう、準備せよ。わしも馳せ参じる』
「ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます」
べっ甲細工の受話器を置いた田端は紅茶を飲む西園寺に向かって黙って頷いた。
「良いでしょう。では私共も支度して今晩お伺い致します」
それを聞いた伊集院が眉間に皺を寄せて西園寺に詰め寄る。
「ちょっと待て。それで採用されたとして…その後はどうなるんだ?まさか…ずっと女の格好のままか!」
「それはそうでしょう。男であることがバレたら卿に追い出されますから」
「ま…待て…瑠璃…お前はどう思う。それでいいのか?」
「はい…女子の格好は恥ずかしいけど…皇女様の元で働けるなら …僕は我慢します!」
「おかしい…お前ら絶対におかしい!」
「何もおかしいことなどございませんわ。さあ私どもと支度室に参りましょう」
「ちょ、ちょっと待って!離せ!お-い…」
メイド長がにっこりと笑いながら十数人のメイドで 伊集院を取り囲んで支度室に連行する。
西園寺はその様子をにっこり笑って見送りながら呆れ顔の二人に語りかけた。
「それでは私共も参りますので、お二方はお戻り頂だいて準備をなさってください」
皇女記念館の閉館時間後、観覧室では慌ただしく面接の準備が進められていた。
(さぁ!気合を込めて応援ですわよ!)
面接官のテーブル上にはすでにミニ和子が応援団の長ランを着て気合十分で立っている。
「すまんすまん。ちょっと遅うなってしまった。もうすぐ開始じゃの」
荒い息遣いで慌ただしく観覧室に平九郎が入ってきた。
「あれ。今日はいつもの軍服であらせられますね」
「おう!山田男か。あの守護神の着ぐるみはわしの勝負服にしたかったが… 皇室庁の皆に泣きながら《やめてくれ》と土下座されてな…仕方あるまい」
(勝負服……庁の皆様…ご苦労様です)
情景を想像して吹き出しそうになるタカシ。
しかし平九郎はジロリと面接官席を睨んで言った。
「今までわしは面接中はあまり口出しはせなんだ。しかし今回はいろいろ聞かせてもらうぞい」
タカシと田端はごくりと唾を飲み込んだ。
ほどなくして面接準備が整った。
観覧室の扉の前ではすでに瑠璃が待機していた。
「僕…こんな格好…今から皆さんに…本当に見られるんだ…大丈夫かな…」
手のひらを胸に当て、うつむき加減で緊張でプルプルと震えている。
「それでは最初の方、お入りください」
田端の呼びかけが聞こえ、瑠璃ははっと頭を上げる。
そしてぐっと拳を握ると『はい!』と返事をして扉を開けた。
次回 タカシは目を奪われる




