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第36話  夢子さんのビデオテープ②

大スクリーンにノイズ混じりの黒画面が数秒ほど続いた後、ロマンチックな甘いメロディが流れ出し、ド・ピンクの背景に『夢子から君へ』というメルヘンなプリンセス系装飾書体のタイトルが映し出された。


そして画面は、小さな演劇用と思われる舞台に切り替わった。


その舞台背景に大きく張られている物を見てタカシは息が詰まりそうになった。


なんと、タカシが口を大きく開けて笑う満面の笑顔写真だったのである。


「え…そんな…いつの間に…」



そして 舞台袖から何やら 呪文のようなものが聞こえてくる。


『ラミパス、ラミパス、プリリンパ!プリティスマイル ポヨヨヨヨン!ラブリーハートでちゅるるるるん!』


そして一瞬の沈黙が走る。


息を飲んで見守る 二人。


すると突然『タカちゃ~~~~ん!』という絶叫が響き、夢子がスキップしながら舞台中央に踊り出て来た。


そして正面を向くと、両手で拳銃を打つ仕草をして『バキューン』と声を発した。


「え!何ですの…この格好…」


和子は夢子の姿を見て思わず声を発した。



フロントに編み上げリボンがあしらわれたコルセットドレスを着用。


体のラインをきつく締め上げているビスチェ構造で、肩から胸元近くまで大きく露出している。


紫のレース生地で肌が透け透けである。


超ミニのフレアスカートも透け生地で全体的に下着感を感じさせるエロチィカルな仕上がり。


首にはハートの飾りのついたチョーカー、頭には赤いリボンをあしらったミニシルクハットがアクセントとなっている。


足元は紫の光沢のあるタイツに厚底のロングブーツ。


(爪痕を残そうと必死になっている地下アイドルみたいだ…)


タカシの唇はかすかに震えていた。



夢子はほうれい線が露わな口元に銀歯混じりの前歯を見せながら笑みを浮かべた。


「タカちゃん…いつも一生懸命仕事してる姿、ずっと見てたんだぞ!ユメコ感動してるんるん!」


そう言うと目尻のシワがくっきりと目立つ由美子の笑顔がドアップになった。


タカシはビクッとした。


「でもそんなタカちゃんに…夢子謝らないといけないことがあるんだ…シクシク!」


そう言って両目に手を当てて泣く真似をした後、 ペロッと舌を出した。


「実はあたし…タカちゃんに嘘をついてた。私の歳 …タカちゃんには29歳って言ってたけど…本当はね …」


夢子は前かがみになって胸の谷間を見せつけた。


思わず後ずさりするタカシ。


「本当はね…えへへ…うふふ…あたし…19才なんだ!」


「はあァァァ―!」


タカシは顎が外れそうになった。


和子は思わず自分の頭を床に落とし、慌てて拾い直した。



「夢子はね…永遠の19歳なんだ…本当だぞ!えへ!」


そう言うと右目をバチンとウィンクした。



(もうちょっとましな嘘を……うん…ま、まあいい…何も言うまい…)


タカシは力のない諦めの笑みを浮かべた。



「でもねタカちゃん…そんな19歳乙女ブリブリの私が…誰にも絶対に見せない恥ずかし~いところを見せてあげる!」


そう言うと夢子は懐からビッグサイズの石焼き芋を取り出し、むしゃむしゃと咀嚼し始めた。


一体何が始まるのだろうと二人は固唾を飲んで見守る。


ほとんど芋を食べ終えたところで突然夢子がお腹を押さえて苦しみだした。


「いや~ん!お腹が膨れる~!」


激しくお尻を振りながら身悶えする夢子。


「出る出る出る出る出そ~う!放っちゃうぞ~!」


夢子は絶叫するとくるりと背中を向けお尻を突き出した。


その瞬間ボバンと爆発音がし、画面が真っ黄色に染まった。


「臭っさ!臭っさ!何これ…毒ガス?誰よ!一体…」


夢子は右手で鼻をつまんで左手で鼻先をパタパタと払いながら顔をしかめた。


(自分のおならだよな…でも画面越しにこちらまで匂ってきそう…)


呆れ顔のタカシ。


しばらく身悶えしていた彼女だが、こちらを見ると急に笑顔になった。


「うふ!恥ずかし…もう…タカちゃんったら!み・る・な!」


両拳を顎に当てて激しく身をくねらせる夢子。



2人は悟りの境地に近付いていた。




次回  ウェディングドレス姿の夢子が現れる。


    「タカちゃん…夢子…来ちゃった…」

























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