第30話 採用面接再び②
「今回の面接は以上で結構です」
「あ、はい!」
「採用の可否については、後日改めて御連絡させて頂きますので宜しくご承知下さい」
「分かりました。本日はありがとうございました!」
瑠璃は元気よく頭を下げると面接会場を後にした。
「タカシ君…私は泣きそうだよ…」
「館長…僕もです」
田端とタカシは感慨深げに頷き合っていた。
2人が喜びの余韻に浸っていた頃、出口に向かっていた瑠璃は記念館の廊下で自分にうやうやしく頭を下げる燕尾服姿の男を見て表情が凍った。
「ど、どうして…西園寺が…ここにいるの?」
その男は背がすらりと高い。
瑠璃も身長は178cmあるが、男はそれ以上の背丈がある。
彼は柔らかく上質な笑顔を浮かべた。
「瑠璃ぼっちゃまこそ。何故このような場所においでなのです?」
瑠璃は長いまつ毛をたゆらせながら睨んだ。
「僕が…応募した事を調べたんだね…」
「はい。左様でございます」
瑠璃は眉間にシワを寄せて叫んだ。
「いつもそうだ!僕の事はほっといて!」
「そうは参りません。瑠璃ぼっちゃま…お遊びはこれまでで御座います。白鳳堂を背負われるあなた様には、もっとこれからご精進頂かねばならぬ事が沢山ございますので」
「ふん!僕はここで働かせてもらうんだ!ダメだって言っても聞かないからね!」
「それは叶いません」
「な、なぜなの…」
「それは、私も応募しているからです」
「え?何だって!」
「私がここの仕事に入れば業務は全て片がつく 。あなた様の出る幕はございません。瑠璃ぼっちゃまはしっかりお勉強に御勤しみ下さい」
「う、うぐう…」
瑠璃は美しい眉を潜めて蒼白になりながら後ずさりをしたが、玉のような声で絶叫した。
「ぼ、僕は…和子様…和子皇女様の元で働くんだ―!」
そしてわっと泣きながら制服の袖で涙を抑えながら走り去った。
西園寺はやれやれと言った風情でふっと笑うと「さて…それでは参りますか」と言って面接室に向かった。
次回 西園寺の面接と3人目の男の登場
「おや…珍しい方がおいでですね。大蔵省の御仕事は大丈夫なのですか?」
「ふん!てめえこそ、白鳳堂家の筆頭執事がなんでこの場にいやがる?」




