悩みと驚き
ヴィルフィー兄様は昔からよくフィルナの異変に気づき、相談にのったりしてくれていたのだ。
そこでフィルナは、ヴィルフィー兄様に悩みを打ち明けた。
「ヴィルフィー兄様、少し悩みを聞いていただけますか?」
「フィルナ、どうしたんだい? なんでも話してごらん。」
「実はダンス教育がうまく出来ず、自己練習もするようにしているのですがなかなか上達が見られないとメガルマ先生に指摘されてしまったのです。いくら頑張っても失敗してしまうのです。」
「そうだったんだね。状況は異なるが、僕も剣術のエキジュナ先生に駄目だしばかりされていた頃があったなぁ」
「えっ…? ヴィルフィー兄様が剣術で駄目だしばかりの頃があったのですか?てっきり初めから才があったのかと…」
「僕もはじめは駄目だしばかりだったよ。フィルナの淑女教育が始まる頃、ちょうど今のフィルナの年齢くらいでようやく才があるって言われるくらいになったんだ。それまではがむしゃらだったなぁ」
「そうだったのですね。ヴィルフィー兄様もそんなに努力していたなんて。私もこんなことで挫けずにもっと頑張ります!」
「どうやら元気が出たようだね。よかったよ。 誰だって苦手なことやなかなか出来ないことなんかはある。でも努力すればいつか出来るようになることだって沢山ある。フィルナはあきらめずに頑張れる強みがある。だから頑張って。そうすればいつか出来るようになるはずだよ。」
「はいっ!ヴィルフィー兄様、忙しい中お時間をいただきありがとうございます。出来るようになるまで頑張ってみます。」
落ち込んでいた様子から活気を取り戻し、再度頑張る気になったフィルナを見て安心したヴィルフィーはフィルナの部屋をあとにした。
それと同時に、元気になったフィルナの様子を見てヴィルフィーも剣術をもっと頑張ろうと思えたのであった。