ひとつだけではない
食事マナーの習得段階で苦戦することのあるフィルナだったが、淑女教育の内容は礼儀作法だけではなかった。時間を区切って、様々な種類のことを学ぶのだ。
礼儀作法の次は、ヴェリエット先生による地理や自国等の歴史などに関しての勉強であった。所謂、知識の面である。
地理と言ってもただ地図を見て各国の位置を覚えるだけではなかった。
各国の位置に加えて、それぞれの特産物や特徴、地形など覚えることはやまほどあった。
それに加えて、自国や他国などの歴史などまで覚えないといけないと思うと頭が痛くなる思いのフィルナであった。
はじめのうちは地理のみであり特産物や特徴、地形などを覚えることから始まった。だが、どうしても混乱してしまい覚えるのには時間がかかる様子であった。
知識面の教育が終わる頃には、フィルナの頭の中はもうほぼパンク状態であった。
それが考慮された部分もあり、少し休憩の時間となった。
自室に戻り可能な限り整理するフィルナであったが、これはなかなかに大変そうだと改めて感じた。
だが、読書に関しては大好きであったフィルナ。
まだまだ拙さは残るが読み書きはある程度可能であったため、文字に起こして読み返すことで頭に入りやすいことに気が付いた。
文字の読み書きができるようになる前のフィルナは、よく書斎から本を持ち出して使用人や時にはフェシエナお母様やヴィルフィー兄様に読んでもらっていた。
そのおかげもあり、文字の読み書きの習得がはやかったのだ。そしてフィルナは、書斎に礼儀作法や地歴など様々なことに関する本があることもわかっていた。
だが、まだ幼いフィルナには内容が難しく、自身でまとめて読み返すことにしたのだ。