表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/21

4 同期「C」 身内への電話対応を学ぶ

 自分が入社したその当時、自分を含め、報道には4人「ワタナベ」がいた。そのため必然的に、局内では下の名前でみんな呼び合うようになる。

ベテランの報道デスク、ワタナベ「カズヒコ」さんも多聞に漏れず。


そのワタナベ「カズヒコ」さん宛てに外部から電話がかかってきた。


その電話を受けた新人同期が「あ、ワタナベさんですか。ワタナベさんは今、席を外しています」と答える。

受話器を置いた瞬間、周囲から

「外部から身内への電話は呼び捨てだろうが!」

「『さん』をつけるな!ワタナベでいいんだよ」と叱責される。


その様子を遠目で眺めながら、小さく頷いていたのが我々と同じ新人の「C」である。

何やらCには

「呼び捨て」「身内」

それらのワードに何やら感じるものがあったようである。


その直後にかかってきた電話。

Cは「オレが手本を見せてやる」とばかりにすぐに受話器を取った。

またもやワタナベカズヒコさん宛ての電話だった。

Cはやや尊大な口調で言った。


「『カズヒコ』は今席を外しています」

 

お前はワタナベカズヒコさんの親父かーい?


大概の事件や災害に対し、冷静沈着に対応してきた報道局の3階フロア全体が、全員のツッコミで底が抜けた瞬間であった。

2階スポーツ局フロアにドリフのごとく頭上からたらい、いや、天井から3階の床をもたらしたのは、我々報道局ではなくC個人であった。


「『カズヒコ』は今席を外しています」

確かに「身内」である。そして「呼び捨て」でもある。


何も間違っていないことを互いに確認し、一瞬のカオスから顔を上げ、

人々はまた何事も無かったかのように、底の抜けた3階フロアで

ニュース原稿を書き、そして、映像編集に戻るのであった。


満足そうな笑みをたたえる「C」を置き去りにして。


これもまた、Cという同期が引き起こしたことではあるが、ワタナベは「たまたまワタナベカズヒコさんと同姓だった」という以外には何の責任も無いのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ