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 いよいよ面接当日を迎える。啓徳は緊張気味だったけれど、気さくな男性マネージャーが面接官だったこともあり、面接を乗り切ることができた。その場で即採用され、週明けから啓徳はクリーニング工場で週に3日アルバイトをすることになる。



 初出勤の日、啓徳は緊張のあまり朝の5時に起きてしまう。勤務時間は朝の9時から夕方17時までなので、家を出るまではゆっくり過ごすことにした。それから、15分前に職場に着くように家を出る。

 職場に着き、面接官だった福徳(ふくとく)マネージャーが朝礼で啓徳を紹介した。

「今日から初出勤の辰巳啓徳さんです。どうか皆さん、慣れるまでは辰巳さんをサポートしてあげてください」

啓徳も自分の言葉で自己紹介する。

「今日から働かせていただきます、辰巳啓徳です。19歳です。まだ緊張してるんですけど……。一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします!」

周りでは拍手が起こり、啓徳は自分が歓迎されているような気持ちになった。それからは福徳マネージャーに簡単な作業から教えてもらい、慣れないながらも一生懸命作業に取り組む。最初はパジャマのボタン掛けやタオル畳みから始めたが、日にちが経つにつれてできることも増えていった。そのうちパートの女性陣から啓ちゃんと呼ばれて可愛がられ、職場内に啓徳は溶け込んでいく。

 「啓ちゃんは学生さん?」とパートの女性・大原(おおはら)さんに聞かれ、啓徳は「実はフリーターです。大学は中退してて……」と答えた。大原さんは「あらそうだったの、ごめんなさい。何か夢とかあるの?」と啓徳に質問を重ねる。「まだわからないですね〜」と啓徳が言うと、「啓ちゃんまだ若いし、今すぐじゃなくてもいつかやりたいこと見つかると思うわ」と大原さんは言ってくれた。


***


 クリーニング工場でアルバイトを始めて、啓徳は気づいたら叶絵のことは思い出さなくなっていった。3ヶ月を過ぎると啓徳にも後輩(といっても啓徳より年上の人ばかりだけれど)ができ、教えられる立場から教える立場へと変わっていく。そんなこんなで啓徳はクリーニング工場でのアルバイトを始めて半年となる。仕事は楽しいし福徳マネージャーもパートの女性陣も良くしてくれるけれど、このままで良いのだろうか。いつまでもフリーターとして、実家で親の脛をかじる生活を続けていて良いのだろうか。学校に行き正社員として安定した生活をした方が、両親への負担も減るのではないか。啓徳はそんなことを考えるようになった。

 高校生のころ、将来は公務員になりたいと思っていた啓徳。大学に入り直すことも考えたけれど、お金がさらにかかる。それならば、日中はアルバイトして夜間専門学校に通った方がお金もかからないかもしれない。というわけで、啓徳は夜間専門学校を探すことにした。

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