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第四十七話:パーティーへの招待

「ねえ、オケウエー……」


「うん?」


「あんた、いつまでクリスティーナをお姫様抱っこしていたいのー?」


さっき、オードリーとジュディの二人が勝利したばかりで浮かれた気分のままに俺のいるここへと駆け出してきたが、どうやら彼女達が着いてきて30秒間近くが経っても俺はまだクリスを地面へ降ろすことを失念していたのでそれを指摘された。


「あっ!…っと、そうだった、すっかり降ろすの忘れてしまったみたい!…色々考え事しすぎてしまったからー!」


なんか言われてみれば、あそこに待機している部活動中の2年生の【特別治療遊撃隊】の子達3人もいるんだし、恐らくクリスのことを保健室へ運んでいきたそうなので、早く降ろさないとな―!


「もう~!早くしてよねー?これからは気を失っていて保健室でお世話になってるヒルドレとジェームズを見にいく予定なんだから!」


「っと、それもそうかぁ!なら善は急げってな!」


慌てて降ろそうとした俺だったが、


「……!ヨっとー!」

ぽいーーん!


「「「--!?」」」


どういう訳か、いきなり目が覚めたクリスは俺の抱きかかえている両腕から素早く抜け出して、跳躍までしながらあそこへ着地するとー


ター!


「……オ世話になったな、…キサマの両腕の中で…」


すっかり全回復したみたいで、若干で頬が赤くなっていながらも元気いっぱいな状態のクリスにそんなことを言われたので驚愕した顔の俺がまだ状況を呑み込めていない様子を見せるとはっとなったクリスは、


「アあ、これはあれデスぞー!マたもの【気絶後傷身全快聖魔回復エヴァニシェール・ヘロネヴィーダルシアー】なのデス!サっきキサマと戦った時みたいに、敵の攻撃によって気絶させられでもしたら、自動的に傷も聖魔力量もどっちも全快すると同時に、まるで長い眠りの後みたいにすっきりと睡魔が吹き飛んで起き上がれるようにしてくれる【自動型精霊魔術】デスぞよー!本来、アタクシの精霊の権能の元で一週間以内で一回ぐらいしか自動的に発動できないが、アタクシがこうして2回までも発動できたということは、自分の【ネトロファイッス=セデロ】もこの戦いを通して成長したということなんデショウなあー…」


「あ~はははは…なんか便利すぎる能力みたいで私にはチートにしか映らないようズルいですねー!」


「確かにそうだわね……1週間以内に1回だけで使えたのも神業の中の神業級の理不尽極まりない能力だったし、それが更に2回まで増えるとかあんたの精霊ってどれぐらい規格外なのよ、もう~~!」


ジュディとオードリーからそんな反応が返ってくると、


「フはははー!確かに理不尽と言われればそうデスがな、これー!……トころで、オケウエー…」

「はい…」


真剣な表情になって俺の方へ向き直るクリスを見つめ返すとー


「アタクシに勝利したこと、……オめでとう!……コれで、なんかアタクシの中に色々とすっきりさせてもらった気分を感じてな」


「お、おう!そ、それは良かったな……」

なんといえばいいか分からなかったので、無難な回答にすると、


「オっと!忘れそうなところデシター!早く連絡して中止にしないとー!」

ビュウ―――ン!


「ん?」

どうしてなのか、いきなり【異空間収納魔術】を発動したクリスがいるんだけど、


「ンん……ア、あったな!」

ずいー!


トー!トトトー!


どうやら、取り出してきたのは【魔道通信機】みたいで、それを慌てて特定の電話番号を叩いて自分の耳に当てると、


「モしもしー!イるか、レッド・ワン!?」

「--」


「ソうかー!ソれなら話が早い!ソの計画についてはもう断念したんデスー!モう実行する必要もなくなったから、キサマはそこから退場して戻ってくるといいぞ!」

「--」


トゥー!トゥ!

………


誰と話していたか、ホッと胸をなでおろしたっぽい気分になったらしいクリスを観察し終えると、


「もう話が終わったの?さっきは誰と会話したんだ?」

「アあぁ……ソれに関しては、……ノーコメントデス!プライベート過ぎる内容デシタからな…」


「そうかぁー」

クリスがそういうなら無理強いはしない。後は、


「ところで、これからどうするの?土曜日だし、俺達【チーム・オケウエー】は今夜、祝勝会パーティーを開こうと思ったんだけど、俺とこいつらと一緒に来てみないかー?さっき、気絶してた時に魂の状態で分かり合ったばかりだったし………せっかくだから、みんなも混じって本格的にパーティーを通して仲直りしに俺達と一緒に参加してくれないかなー?」


「「--!?」」


俺の提案について、少し驚いた顔を浮かべるジュディとオードリーがいるんだけど、一旦無視しておくと、


「…………イ、いいんデスかぁー、ソんなの?……アタクシ達、まだ色々と整理できてない心境も複雑な思いもいっぱいあるのに、……ソれに、まだ恨みもあるそっちの子……ヒルドレッドデシタか…もいるんデスし……イくら男に対するコンプレックスが薄れてきた今のアタクシ一人だけが行っても……」


「他のチームメイトと話し合ってから決めてもいいし、それに別に全員で来る必要ないぜー?俺達とこれから良好な関係を築くことに対して積極的な子だけ連れてきていいんだよー?」

はっきりと提案を出してみると、


「ソ、それなら……」


「オケウエー、待ちなさいわよ――!」

「そうですよ、オケウエーさん!まずは私達と話をつけてから決めるべきでしょうー?もう~!」


「そうは言ってもー」


「「問題無用―!あんたはこっちへ来なさいー!「オケウエーさんはこちらへ来てください―!」」


……………


と、そういう訳だから、俺はクリスをあそこで待つよう言いやると、すぐに離れたところで待っているオードリーとジュディと話をつけるために歩いてきた、


「で、クリスに関することで何か聞きたい事とか?」


「…まずはあたくしからだわ。……正直に聞くけど、オケウエー…、あんた、……クリスティーナになにかしたの―?」


「へえー?」


「そうですよー!あんなに大の男嫌いだったクリスティーナさんが、いきなりさっきみたいな吹っ切れた感じのままで貴方と話なんて出来っこないじゃないですかー!ですから、オードリーさんの聞いた通りに、彼女に対して何やってたんですかー?ひょっとして、あの真っ白い球体の中で何か『人に言えないようなこと』でもクリスティーナさんとやっちゃってたんですかーーー!?」


「オ~ケ~ウ~エー~?」


ヤバイー!


ジュディの捲し立ての追求にオードリーも触発され、すごい形相でこっちを睨みながら詰め寄ってくるのを冷や冷やした気分で宥めるように両手を向けて止めてよってポーズを取ると、


「オーライ!ストップだよ、二人とも!全部話すから、まずは落ち着いてよねー!ねー?」


もちろん、キスについてだけは死ぬまでに絶対に誰にも言うつもりはないので、そこだけ割愛するがな。



…………………………



……………



接吻に関するいきさつを除いて、俺は全部を話した。


真っ白い球体の中で俺が実はクリスに向けて石化する聖封シリーズの精霊魔術をかけていたこと。


そして、長い間の奮闘の末に、つい『クリスのしつこいまでの抵抗で身体が半分の石化状態から自力で破壊していきながら抜け出せてきて、それで俺の術が失敗して球体が消えること』(実際には、確かに長い間でクリスと俺は聖魔力量による我慢比べでどっちかが先に枯渇状態に入り、疲れて油断した瞬間にいっきにクリスの頭まで石化される好機を待っていたことがあったが、実をいうと、最後は俺がイーズの【愛の渇望】の権能を使って、クリスを魅了したままでキスを交わすことで聖魔力量が増えたってことってだけなんだが……


そして、球体が消えるのは俺自身がもっと訓練をしたくて、戦っているクリスの全力の奮闘を見たくて、それを利用する形で聖魔力量が増したばかりの俺が自ら喜んで解除してやっただけの話だったがな!)


それから、二人ともが自分達の目で見た通りに戦闘が継続され、そしてラストのクライマックス時にクリスがああいう荘厳で大仰な姿に変身してから、さっきのとびっきり超弩級な大技の精霊魔術を俺目がけてぶっ放そうとしてきた時に俺がイーズに教えられ習得したばかりの新しい【改:絶清大聖魔術】の第3段階である【聖大海霊抱敵陣浄化清巨楔』(エリーヴァララー・オネッグスバーグ=カッレンガールト)】でこの辺り一帯を浄化できる【切り札】を使ってクリスを気絶させたこと。


そして、俺の大技の一環として巨大な楔が出現して、海のような膨大な真っ白い光の所為で目を晦まされ、凄まじいイーズの聖魔力オーラで身体が動かせなくなったクリスに対抗する術を持たないところに俺の楔がクリスの頭に振り下ろされ直撃したことで気絶をさせられたので、気を失った彼女の脳内へと俺の意識を魂状態にしてくれたイーズベリアが潜り込ませてくれて、そしてクリスの心と頭の中で彼女の過去の記憶を掘り起こし、肝心な部分すべてを見終えたことで観念した状態のクリスの魂も現れ、自嘲気味に過去で起こった幼馴染への間違いの対応と罪悪感について打ち明けてくれることですっかりと全部を吹っ切れた状態にしたクリスが俺達に対して、仲直りの姿勢を曖昧ながらも見せ始めることを……………


……………………………………………


「そ、そんなことがあったんですねー!……やっぱり、クリスティーナも私達と同じ人間ですね………【四大貴族】だからか、オードリーと同じような地位を持っているから完璧な人間としての印象が強いけれど、彼女も彼女なりに苦労してたんですね……」


「ほ、本当よー、全くわねー!……公爵令嬢だからって苦労ばかりしなきゃいけない決まりでもあるっていうのかしらーー!?」


確かに、オードリーも公爵令嬢で幼少の時代から随分とたくさん苦い経験ばかり味わわされてきたんだったな……(厳しい訓練といい、実の姉が惨めに魔神に敗れて戦闘不能まで障害者となったことを妹のオードリーが自責の念を感じる程に悔しい思いをした、……そして色々な不自由ばかりの生活を余儀なくされたこと)


「という訳だから、親睦を育むっていう意味合いで、クリスを俺達の祝勝会パーティーに参加させたいんだけど、如何だろうか?」


「「……」」


俺が全てを説明してやっても未だにイェースと言いづらそうな顔している二人……

まあ、当然だよな……


気の知れた仲ならまだしも、まだ友達の関係すらなっていないクリス達を俺らの【チーム・オケウエー】が開催する祝勝会パーティーに招待してやることに対して抵抗感を感じるのがごく自然なことだと思う。


……だが、こっちにも考えがあるのでな!


「…よく考えてみろ、二人とも!仮にも学院にとっての超~強力な精霊術使いで超エリートの中のエリートであるクリスティーナの奴なんだよーー!?彼女をこちら側の味方として、友人として引き込めたら、これからの俺達の学院生活における色んな場面での融通も効くだろうー?だから、これこそチャンスなんだよー!クリス達ともっと仲良くなっていくチャンスがー!」


「そう言われましても……」


「……まあ、仕方ないわね、まったく!…あんたがそういうなら、……善処はするけどね…」

ジュディが言葉を濁した代わり、意外にも俺の意見に賛成したオードリーがいるので、それに対してジュディが、


「ちょっと待って、オードリーさん~~!ほ、本気でそう言ってるんですかーー?まだ気心も知れた間柄じゃない彼女達4人を、……しかも、内のヒルドレッドさんに至ってはまだ恨みつらみも濃く残っているあの帽子の子とのいざこざもありますし~!本気で内の祝勝会へ招き入れていいと思ってるんですかーー!?」


「まあ、問題ないんじゃないー?さっき、別に全員来なくてもいいとオケウエーが提案したようだけれど、恐らくクリスティーナもそうするだろうと思ったので、案外トラブルが発生する可能性もないと思うわ…それに、オケウエーの言う通りに、あれほどの強力な精霊術使いにしてずっと男嫌いな姿勢を貫き通してきたクリスティーナの考えをも更生させながら仲間に加えたら、学院にとってのあたくし達【チーム・オケウエー】の影響力も名声も発言権も以前とは比べ物にならないほどに増大するわ」


さすがはオードリーだ。元々生まれも平民だったジュディと違ってオードリーは根っこからの貴族令嬢なので、物事を打算的に考えられるのは俺以上にお手の物なんだろう!


「で、でも……」

まだ頑固そうに賛成してくれないジュディに、


「なら、最後は俺が上手いこと良い折り合いをつけてくるから、クリスと交渉する俺を見守るだけしてほしいが、まずは俺に任せてくれないか、ジュディー?」


「………も、もう~!オケウエーさんがそういうなら仕方ないですねー!でも約束して下さいねー!クリスティーナさんに、【厄介そうな人だけは連れてこないようにして下さい】って念押しをして下さい!」


「それならお安い御用だよ、ジュディ!じゃ、俺があちらで待っているクリスと交渉するから、二人はここで待っていて」


「「ええ。「……もう知らないです~」」


不安が無いわけでもないけど我慢して無表情で了承するオードリーと拗ねているジュディを置いて、俺はクリスのいるあそこへと戻っていった。



…………………



「デは、今夜のキサマの【オケウエー屋敷】での【祝勝会】に参加するのはアタクシと妹のリーリスだけにするんデスが、キサマのチームメイトはそれでいいんデスか?」


「ああ……オードリーは理解が早くて了承してくれたし、ジュディも拗ねながらもどうにか俺の面子を保つために譲ってくれたし、他のチームメンバーもきっと分かってくれると思うよ、お前が内のパーティーに参加してても……だって、そっちは問題児になりそうなあのジュリアもレイーザリンも当分の間は連れてくる気がないみたいなので、ヒルドレッドもジェームズも安心してピリピリ感が一切ない祝勝会に臨むことができて、お前達二人の来場を受け入れてくれるはずだろうね…」


「ソれなら、お言葉に甘えてキサマの招待を受けるんデスが、パーティーが開催されるのキサマの王都での屋敷で時刻は今夜の午後7:00時でいいんデスなー?」


「うん!お前とリーリスがやってくるのを楽しみにしてるから、約束通りに絶対に来て下さいね―!」


「ウむー!…最初は男だからって理由だけでキサマも、あのジェームズ?って名前だったっけ?ノ優男の方に対しても偏見な印象を持っていて毛嫌いしていたんデスが、サっきのキサマとの戦いを通じて、やっと分かったんデスぞー!キサマなら、絶対に昔のエールムみたいに自分の契約精霊をあんなに酷く罵倒して虐待するようなことは絶対にしないタイプだと確かめられたので、コうしてキサマと新たな良き関係を築けそうな気がするんデスね」


「うんー!そう評価するなら嬉しいものだな、ははは~!俺なら絶対に自分の大聖霊イーズベリアに無茶なことはさせないし、命令したり言うつもりもないので、そこだけは安心してくれ!」


「良かろう―!ジゃ、アタクシはこれで失礼するが、行く前に、……少し、…言おうと思った言葉があるのでな……デスから、その………さ、サっきは悪かったな、キサマを【南蛮人】だの【文明最下位】だの言い放題だったこと……」


「…ううん、もう別に気にしてないからよ、クリス…。でも、…強いて言うなら、呼びかたをお互いに変えてしまわないかな?『キサマ』ばかりで呼ばれるとなんか怒られる感じがして落ち着かないんだ……せめて、『キミ』とかにした方がいいんじゃないかな?その代わり、…俺はクリスのことをお前とか呼び捨てばかりせずに、『クリス先輩』と『先輩』だけにして敬意を持って呼ぶから…」


「ソれだかなら、問題ないデスぞー?普段、こういう言葉遣いになったのが昔に、アタクシがエールムの尊大な態度とあの精霊を見下す目をみて憤慨してたから、ソれで身分の低い者と部下に対してだけじゃなくて、『男』や敵と認識している相手には大抵、ああいう呼び方にしたんデスが、オケウエーがそう望むなら、『キミ』と呼んであげても良いぞー?」


「ありがとうな、クリス先輩!これから、宜しく頼むぜ!」

握手を促すべく右手を差し出すと、


「コちらこそよろしくな、オケウエー!……トいうか、呼び方に関する話なら、普通は逆の方デショウー?ダって、明らかに『キサマ』とか先輩が付け足されない方の『クリス』の方がもっと親近感があるのデスが……」


俺の手を握り返しながらそう返事してきた先輩なのだが、


「確かにクリス先輩の言う通りかもしれないけど、元々は俺達は友人関係とかで始めるのではなく、自己紹介から、初対面の時からは敵対同士の関係にあっただろうー?それで遠慮もせずお互いに対してどんな酷い言葉も気安い表現も相手を見下したり、挑発し合う時に使っちゃったこと多い俺達だったんだけど、最初からやり直すためには敬意を持って接してからじゃないと変だと思うよー?だから、まずは正式に、相手を敬うっていう気持ちを大事にしてから、親睦を深めていきながら徐々に砕けた口調になっていった方がもっと筋が通る話になるんじゃないかなって……」


「確かにそうデスな…。フェクモ人を知能指数低い人間ばかりだって挑発したことも謝ろう!今までの発言で、キミの見解と物言いが如何に洗練されていて、如何にたくさんの読み物を堪能してきたかが窺えるんデス。頭がそれなりに賢い方と断言してもいいだろう。ソして、確かにさっきのキミのあの全てを真っ白く塗りつぶした究極級のあの精霊魔術の必殺技で、ちょっとだけ気絶させられたアタクシが魂状態になってキミと話をする前に、フェクモの『オールグリン王国』での町の風景がちらっとデスが見ることが出来たんデス!確かに、地面の道路を這う『車』と『自動車』もそれなりにあって、文明レベルはそこまで低いって訳じゃないことが確認できた!デスから、さっきの偏見な印象から口走ってしまった挑発のつもりの数々の罵倒、……済まないな!」


頭を下げる真摯な態度をとったクリス先輩に対して、俺は、


「だからもういいって、そんなの!それを言うなら、俺も先輩に対して挑発のために口走ってしまった数々のセクハラ発言を謝るよ!ごめんなさい、クリス先輩ー!...って、もういいよ、こういうの~!俺達はこれから『友達』になるんだろうー?いい友達は絶対に過去の過ちを引きずってばかりでいるんじゃなくて、もっとお互いを許し合ったり、励まし合う仲だと思うぜー?だから!」


「「今夜の祝勝会でまた会おう!「今夜また会おうねー!」」


重要な約束でも交わす勢いに見えて、一斉に声が重なり合ったように俺達が今夜の予定について了承し合った。


挿絵(By みてみん)


それだけ一旦別れの挨拶をかわした俺達は、頬をほんのりと赤く染めたクリス先輩の顔を見てから、彼女が次にゆっくりとここから立ち去っていくのを見つめるだけだった!



……………………………………………



………………………



一方、クレアリスと眠っているジェームズとシャルロットのいる男性用の保健室にて:


「……どうやら、向こうも諦めてくれたみたいなのね?」

「ええ……危うく後悔しそうな過ちを犯すところだった…」


なんとも言えない気まずい表情を浮かべるシャルロットに、クレアリスが、


「ふふふ、そう思うなら、『最初から襲わなかった方がいいのに』……」


「仕方なかったんだぞ―!あたしはどうしてもー」


「弟の病気に関する情報が欲しかったんでしょうー?」


「--!?どこからそんなことをーー?」


「ふふふ……こればかりは秘密なのよー?そう、……暗くて、黒~~いい秘密でね、ふふ…」


「………まあ、いい。あたしはこれで!ジェームズを宜しく頼むぞー!」


既に彼の上から降りたシャルロットはこの保健室から出ていこうとするようにドアへと歩き出していくとー


「彼のこと……どうするの?『会長さん』は多分、今頃はチーム戦に勝ったオケウエー君と仲直りしているはずなのだから、ジェームズ君のことに関してばかりは君の好きにしていいはずになっているのよ?」


「…もう少し付き合ってから決める。……これから、本気マジ恋愛するか別れるかにしろ、今はまだ彼とは離れ離れになりたくない……一応、彼の顔が弟のそれに似ているのは嘘ではなく事実なので」


「そう?好きにして頂戴。うちはただオケウエー君の事を第一に考えているだけだから、ジェームズ君についてはどうでもいいと思ってるんだけれど、くれぐれもうちら【チーム・オケウエー】に対してうちらが損になる愚行をしないでもらいたいね」


「……善処する!」

バター―ン!


それだけ短く返事をして、クレアリスからいなくなったシャルロットなのであった!




………………………………………………




…………………………




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