第三十四話:3対1の戦いに興じる美しき勇猛なる乙女達、そして恋人の様子が気になる一人の少女
ズリュリュリュリュウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーー!!!!
ター!
薔薇から生え出てきたジュリアは最初は小さな身体だったのに徐々に大きくなって本来の体格に戻ってきたので、その異様な光景、……強いていうならまるでホラー小説みたいに出てきちゃいそうな、その奇怪なプロセスにただただ息を呑む事しかできない3人。
ゴキー!ゴキー!ゴキー!
「ふぅぅぅ………」
骨のあっちこっちを鳴らしたり息を整えるジュリア。そして、
「変わった契約精霊を持っているんですね、ジュリアさんー!」
「そういえば、…あんたってまだ自分の精霊の名前を紹介してなかったじゃないー!私達に対して攻撃ばかりを仕掛けてきてそんな基本的なマナーも知らないなんて、『暴力女』に相応しい脳筋っぷりわねー!」
ジュディとオードリーにそう言われたジュリアは、
「……【ニョールクテングライム】だぞー!…わたしの契約精霊はニョールクテングライムというのだ!特徴は見ての通り、変幻自在な攻撃と敵からの精霊魔術をはじくことに長けているだけじゃなくて、『こんな芸当』でわたしを『敵の魔技によって捕らわれの状態』から助けだすことも可能なのだぞ!もっとも、わたしが前もって鞭の一部をあそこで周囲と溶け込む色にさせ、放り投げておいたからこうして【切断鞭薔薇主人救出転移】を発動できたぞー!」
またも新たな鞭を無から召喚したジュリアがそういうと、
「そもそも凍り付いていた状態から外で待機させていた精霊魔術の類に助けられたなんて…なんかずるくないですかー?」
「ふふふ、確かにそうね…」
「そんなことより、そこの暴力女ジュリア―!あんたに提案があるわよー!」
いきなりそう言い放ったオードリーなので、
「提案だとー!何なのだそれ?もしろくでもないモノだったら断るぞ!」
「簡単な話だわー!あんたが私達3人に負けたら、これからの学院生活を送っていく上で卒業するまでは一切の試合以外での暴力……オケウエーじゃないけどその【足癖の悪さ】でこれからは私達『チーム・オケウエー』に対する蹴ったり殴って来たりといった暴力をすべてしないようにしなさいーー!」
「……」
オードリーからの提案に少しだけ思案した顔になり沈黙したジュリアだったが、
「…いいだろう…。その提案、…乗ってやるぞ!だがな!わたしが勝った場合、……もちろん会長もきっとあの男二人を学院から追放できると踏んだから言うが、これからはお前達3人がわたしの学院生活を過ごしていく中に尽くしてくれる『従者』になるのだぞー!どんな時でもどんな状況でもわたしがお前達を必要とする場合、わたしの手足となってわたしのために動いてもらうが、それでもいいというのか、ああぁ!?」
「…ええー!その条件、飲んでやるわよー!クレアリスもジュディもいいわよねー?」
「はい!そもそも最初から負けるつもりがないんですー!」
「ふふ、そうね。うちも絶対に負ける気がしないから、あいつの手下になんてなれる未来が絶対にないと断言できるのよ」
「…二人ともありがとうー!これで賭け事は成立したから、あんたもせいぜい頑張りなさいー!私達3人はまだまだこれからだから、本気になっても泣いたりしないようにねー!だって、そうなったら私達は力の加減が分からないんだもの~」
オードリーの挑発に対して、
「寝言は寝てから言えー!わたしはお前達に負けることなど、永遠にない事だと知れ―!それに、【四大貴族】であるドレンフィールド家の娘ともあろう者がわたしの従者になる日が来るのを考えると、笑いしかこみ上がらないけれど、それでも愚かに賭けに乗ったなら喜んで受けるだけだぞー!オードリー!」
タアァ――――――――!!
言うが早いか、すぐに駆け出していったジュリアが真っ先にオードリーの立っている位置に向かって鞭を振りながら上へと跳躍したのだったーー!!
ジュリアの武器化した【 ニョールクテングライム】という茨の鞭は伸縮能力もあるので、オードリーに鞭の先端まで攻撃するために伸ばしながら振っていても、上へと跳躍してリーチを保てるようだ。
まるで両方の先端部分と『柄部分』がシンクロしている動きをしているかのような.........
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学院寮の屋根にて:
「いよいよチーム対抗試合も終盤へと向かっていきそうね-!どのチームも二人まで脱落してるようだし…」
「そうみたいだネ~。というか、あたしちゃんもさっきからず~っと観戦してたんだけど、オケウエーちゃんとクリスティーナちゃんが戦っているだろうその真っ白い球体の中…長いんだネー!」
「うむ。それはあたしも変に思ってたところだったね。なにをしたら、そこまで長くなってるのかなって、……ずっと考えてた…んだけど、もしかしたらー」
ニナとイザベラが試合の状況について意見を述べ合うと、なぜオケウエーとクリスティーナがずっとあの白くて巨大な球体の中にまだいるのかを仮説を立てようとしたシャルロットに、
「膠着状態ー?」
「うむ!きっと両方の戦力が拮抗しているから、あんなにに長く『攻防』が続いてきたんだと思うんだ。あたしもこの戦いの行く末が気になるけれど、気を失っているジェームズ君も気になるので、あたし先に
ここから退散して、ジェームズ君の様子を見に行くねー!バイバイ―!」
タター!
ニナに言い当てられ、肯定したシャルロットだったが、ジェームズのことが心配みたいな口ぶりをした彼女が退散するといって学院本棟の保健室へと走り出すために屋根から飛び降りようとすると
「あ、ちょっとー!……自分も行きたー」
「エリスとイザベラさん、そしてニナとリルカも来なくていいよー!あたし一人だけジェームズ君の状態を見ておくんだよー!なぜなら………二人っきり……がいい…から…」
エリスも行きたいと言ったようだけど、来なくていいと強く訴えるシャルロットに、
「あラ~」
「ひゅ~ん!」
「やっぱり、……そう、…ですね」
「うん、うん~。前々から気づいてましたけれども、どうやら彼のこと…好きですものね~…?ならお行きになってあげて~?きっと喜んでもらえると思いますよー?ジェームズ殿…」
「ありがとう、みんな!…じゃ、あたし行くね?」
ター!タタタタ―!
それだけいって、屋根から飛び降りたシャルロットは気絶して保健室へと運び込まれたジェームズの見舞いをするべく、まっすぐに学院寮の門へと駆け出して、出ていくのだったー!
……………………………………
……………………
「【捕食薔薇獣化恐撃】ーー!!」
茨の鞭の先端がオードリーの位置へ近づくと、いきなりその先端の周りにある二つの薔薇の花が巨大化すると、中心にある『可愛い顔』がいきなり怒ったような『憤怒の顔』に切り替わると、それも巨大化して、鋭い牙がいっぱい並んでいる口腔を開けて、オードリーを呑み込もうとしてきたがー
「甘いわー!これでも喰らいなさいー!薔薇のバケモノ!」
バーン!バーン!バーン!バーン!バーン!
またも五つ連続の『中型氷弾』にて、拳銃を撃ったオードリーが薔薇のバケモノを口内へ命中すると、
カチャーーー!!カチャーーー!!カチャーーー!!!カチャーーー!!カチャーーー!!
中型氷弾五つが統合された威力のある大きな氷の柱が隆々と出来上がったので、体外も体内(口内)も氷漬けにされた薔薇の顔が凍えて無力化されたが、どうやら他の鞭の部分がかなり頑張っているようで、オードリーの氷の浸食を上手い具合に食い止めている様子だー!
「『精霊魔術』の一連の動作がまだ終わらぬことだと気づかないとは愚かだな、オードリー!だがその前に他の二人にもギフトを与えるぞー!【投擲鞭撃】---!!」
さっきから跳躍して空中にいるジュリアがそういうと、すぐさまオードリーが氷漬けにした先端部分より少し近くの無傷なとこの鞭にも多数の薔薇が生えてきて、そしてー
ズリュリュリュリュリュウウーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
それぞれが大きくなり、鞭の本体から抜け落ちると、突如として抜け出した『薔薇とその中心の顔』が両四肢を生えさせ徐々に人型になっていくと、そしてーー!
シュウウーーーーーー!
複数の『薔薇の兵士』となったそれらは迷いもなく、まっすぐにオードリー目がけて襲い掛かっていくのだった!
……………………………
そして、上にいるジュリアが鞭をもっていない逆側の腕を横薙ぎ払いにすると、斜め下方向にいるクレアリスとジュディに向かって放たれていった二つの三日月の固定した形を保つ『茨の鞭』がそれぞれの位置に到達しそうになるとーー!
グリリリリリーーーーー!!!!シャシャシャシャシャーーーーーーー!!!!
グリリリリリーーーーー!!!!シャシャシャシャシャーーーーーーー!!!!
それぞれの三日月の形をした『鞭』が彼女達の至近距離で炸裂すると、夥しい程の蔦と茨と尖った植物がそこの周囲を呑み込んだようだが、既に上へと跳躍して避けたクレアリスとジュディがいるのだー!
「【大火暴砲撃】、『2砲門、一斉射撃ー!』ーー!!」
「~~~!?(この感覚ー!?」
どういう訳か、【大火暴砲撃】をジュリアに向けて放ったジュディをよそに空中に飛び上がったクレアリスが『とある感覚を感じた』ようなので、
「(これはー!?昨日シャルロットの首にこっそりと張り付けておいた『ジェームズ近づくセンサー』が反応して、直接うちの神経に響いてきたー?)」
「クレアさん、何やってるんですかー?反撃を開始するべきではないでしょうか?私は既に2発の【大火暴砲撃】をジュリアさんに撃ちましたから、何ぼっとしてるんですかー!?」
そう。
さっきから【大火暴砲撃】をジュディのレイピアの先端から撃ち放たれたというのは、一直線向けのビームのような劫火なので、それがジュリアの浮遊しているあそこへと向かっていくと、ジュリアに避けられたのだが、追尾能力もあるその火属性の精霊魔術は難なく追跡していって、見事の背中からジュリアに着弾した!
【切断鞭薔薇主人救出転移】を発動できなかったのは、既に負担の大きい【捕食薔薇獣化恐撃】を発動中のジュリアなので、今回は成す術なくジュディの炎に焼き尽くされるだけしかないようだ!
一方、
「きゃあああーーーー!?なにこれ~!?」
『みゅ~みゅ~みゅ~みゅみゅうう~~~』
どういうことか、地面に押し倒されたオードリーの全身に這いまわっているのは小さな人型の姿をしている『薔薇の兵士』が20体もいるようで、今はその薔薇の子みたいな化け物がオードリーを床に組み伏せ、動けないようにしている様子だ!
どうやら、さっきオードリーに襲い掛かっていたその『薔薇の兵士』はヒルドレッドの小さな騎士達より動きがもっと素早くて、変幻自在な軌道も走れるようでオードリーからの拳銃の照準が正確にとらえられないみたいだから、それでオードリーが氷弾を命中することができなくて、何も出来ずに『薔薇の兵士』20体によって組み伏せられる以外ないのである!
拳銃を握っている方の手も複数の薔薇のバケモノが組み敷いているので、反撃すらできぬ様子だ!
「クレアさんー!オードリーさんがピンチみたいですー!早くあのちっちゃい薔薇達を取り除けてやらないとーー!」
「--!?え、ええー!分かった!行くのよー!」
ビュウウーーーーーーー!!!ビュウウーーーーーーー!!!
下へと急いでいる二人だが、
「近づかないで、二人ともー!こいつらに触れられたら倦怠感に襲われ、体力も聖魔力も徐々に吸い取られていくだけわよーー!」
「「---!?」」
すぐにオードリーを助けてやれそうな位置まで近づいたクレアリスとジュディだったが、オードリーがそう警戒したので、動きを止めた様子だが、
『みゅ~みゅ~みゅ~みゅみゅうう~~~』
ビュウウウウウーーーーーーーーーーーーー!!!!
二人に気づいたか、彼女達に注目を変えた『薔薇の兵士』が飛び上がって襲い掛かる!
さらにーー!
「舐めるんじゃないぞ、こらーー!!」
プシュウウ―――――――――――――!!!
【大火暴砲撃】による凄まじい炎を夥しい程の茨の鞭と蔦と千本の薔薇で自身の身体に包み尽くして炎を強引に消させたジュリアがそこから降りてきて、まっすぐに『薔薇の兵士』達に襲われているクレアリスとジュディへ追加攻撃でもするように駆けていく!
「クレアさんー!どうするんですか!?この薔薇の鬼たち、もう私達を囲んできて抜け出せそうにないですよー?今は私のレイピアから発生させてる【炎の盾(ファイ―シールド)】でなんとか追い払ったり、間合いに入れないようぶんぶん振り回してますが、この包囲状態から抜け出さないと勝ち目がー」
「『薔薇の兵士』どころか、わたしまで追加攻撃をお前たちに仕掛けようとしてるのに随分と舐めた真似しようとしたんだな、そこのオレンジ色髪の少女―!」
「「---!?」」
「クレアさんーーー!!マズイ状況ですーー!!」
「ちぇー!『我が天頂に魔矢100射よ全域を延期状態で降り注げー!【 レインボンバー・ザ・リシャー】』 」
どういうことか、突然に弓を真上へと構えるクレアリスが比較的にとっても巨大な青色の矢をつがえて、そして実際に打ち出した後に、
「何したか分からないがもう遅いぞ、青色髪の子!せやああーーー!!」
『薔薇の兵士』達が包囲した二人を主であるジュリアを包囲網の中へと通すように隙間を開けさせたら、
ゴドオオオオーーーーー!!!
さっきの矢というか【精霊魔術】を放つことに全神経と全集中力を注いでいたクレアリスの隙をつく形で、見事に背中から蹴り飛ばしたジュリアなのであったーーー!!
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