第二十八話:それぞれの過去、そして復讐欲に駆られるヒルドレッドの燃え上がる闘心
リーリスの視点:
ビュウウウーー――!!!!
「もう姉者のゲームに付き合ってられないのですねー!リリとはなんにも関係のない目標に巻き込むんじゃないのです!」
今、リリは空を飛んでいて、いち早く自分の学生寮の一室へと向かっていく最中なのです。
リリのフールネームはリーリス・フォン・イルレッドノイズと申します。
昔から存続してきた、数々の【上級の精霊術使い】を輩出してきた伝統ある長い歴史を持っているイルレッドノイズ家に、末っ子にしてクリスティーナ姉者の妹として誕生したリリは、幼少時からは他の普通の良家の子女とは異なるすぎる性質を持っていたのですー!
そう。どういう訳か知らないのだけれど、リリと姉者は他の多くの若い精霊術使いとそれに『なれる素質を持っている』殆どの少女達は7年前の【最悪な一年間】が勃発した当時にはどうしてなのか大半が【魔神アフォロメロ】に『選ばれる』ことなく、こうして普通に攫われずにここまで日常生活を送れてきたのです!
だから、子供の頃からでもリリは何の不幸も感じることなく、今日まで精霊術使いとして生きてこれたのですが、本当のことを言えばリリが【ベリヘリアヤール】と契約できたあの【サイセニア遺跡】っていう我が一族がよく【練習場所】として使ってきた『ダンジョン』に行く当時の6年前よりも若い幼少時のリリに、他の子と違って性格と物を見る見方がちょっと変、……というか、独特すぎるというか………
だって、リリは5歳の時から、犬とかっていうよく見かける動物を見ていてはあれらをすごく『虐げようとする衝動に駆られる』なのです!実際に、その衝動があったことで、いくつか、……否、ここまで生きてきて数えたことはなかったんですけど、恐らく何百もの動物の命をこの手でかけてきたのだと思うのですよね………
どうしてその衝動があったのか原因が分からなかったのですが、母様の仮設によれば、『前世が殺戮者で魂を清めるために今世こそは真っ当な人生を送る努力に勤しむために敢えて前世記憶もないままにその衝動だけが残って打ち勝つがためにリリが誕生してきた理由なのだとか………
なので、力のあるイルレッドノイズ家の後ろ盾もあって、我が領地の屋敷の周辺には多くの家畜用の牧場もあり、リリが動物を心ゆくまで屠っていられる場所としてはうってつけのモノを提供してくれた母様!だから、母様には感謝ばかりしかなかったのです!
しかし、動物を殺すとかいっても、リリは猫だけが大好きなので、殺すことにしたのが主に嫌いになっちゃった犬と鳥だけだったのですが………
だって、犬はよく人間を噛むし、狂犬病になった類もいるので、リリが楽しく屠る相手にしたのがそれが理由なのです!
でも、9歳になったら、どんどんその【虐げようとする衝動】が人間にまでも及ぶことになったと気づいた時には確かに、これからは危険だっていう自覚があったので、リリの歪んだ衝動を厚生させ、直すためには母様からの厳しい指導で、ずっと他の人と付き合ったり触れることなく『ホームスクール生活』をずっと続けてきたのです!
リリの中の歪んだ【残虐なる衝動】っていう精神病を直すために、母様がよく『 ホームスクール生活』という厳しい数人からの先生の指導を課し続けてきたお陰で、今はすっかりと6年間もの間に、必要と感じた場合以外に殆ど動物を殺したり虐待する衝動を覚えなくなったのですよねー!
幸い、一流の精霊術使いになってから、その衝動をすべて満たせるのが【世界獣】の討伐任務に参加してきたリリだったのですよ!
もちろん、先生達の指導を受ける他に、12歳の時にリリも屋敷とさほど離れてない【アールヌグラム教会】に修道女として1年間も過ごしたことがあったので、その時は【残虐なる衝動】は【優しくしてやる衝動】にとって代わって、今度は誰かを見るたびに直ぐに優しくしてやりたい衝動が強くなって、今までの数年間に何百人もの庶民に覆面で相談を受け自分のもらったお小遣いも混じっての手助けをいくつかしてあげてきたなのですよね………
だから、さっきのジェームズに対しても優しくしてやりたかったのですが、生憎と戦いの場において、一度でも相手を攻撃したり、されたりしたことがあれば、昔の【残虐なる衝動】が巻き戻って、昔のリリと同じ性格も持っているリリの悪趣味な2重人格を持っている契約精霊である【ベリヘリアヤール】に憑りつかれやすくなり、さっきの無様なところをジェームズ様に見せてしまったなのです!
自分は姉者と違って、元々は男に対してだけ嫌うような性格を持ち合わせてはいないのに、本当はこんなどうしようもない【チーム対抗試合】になんて参加したくもないのですが、参加させられたことにより、可哀そうなジェームズ様を自分の【ベリヘリアヤール】で傷つけてしまっていたので、本当に申し訳ない気持ちが募ってるばかりで自分が嫌になるのです!
なので、リリのことをずっと妹として扱っておらずに疎んできて、【残虐なる衝動】っていう一種の精神病を患っている自分のことを同じイルレッドノイズ家の人間であることに対して恥じている姉者のためにどうしてこんなしょうもない戦いに参加する必要が……
いくら過去にリリが沢山の犬や鳥を殺したことがあるからって、その罪滅ぼしの一環に姉者に協力しなければならない程にジェームズ様とオケウエー様を学院から追い出す理由にはならないはずなのです!
……やっぱり善人になるために、通るべき道は容易ではないのですよね……『あの姉者』を持っている身として………
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ヒルドレッドの視点に切り替わった:
「まさかあの時の『床舐め令嬢ちゃん』がこうしてまたもあっしの目の前に【オールズティニアの若き鋼の撲殺女】として呼ばれてるようになったまでに一流の精霊術使いとして現れてくるとは……感慨深くて仕方がないっぽね」
「……過去に、……6年前にわたくしが感じた屈辱感…それを晴らすために今度は貴女の身に返させてもらいますわ、レイーザリンーー!!」
昔に、アールドヴィオーレとまだ契約を交わしていない9歳だった頃のわたくしが父の仕事の都合でレイーザリンのエルグムーンド侯爵家が統治しているレイクウッド王国の南西地方、【フェーアチャイルド】の一部の彼らの領地である【ノールトックス町】へ半年間で滞在することになりましたけれど、あの時は:
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「ヒルドレ、オレは仕事があるから、夜まで『エルグムーンド邸宅』を訪れなくてはならないが、その間に買ったばかりのここのマンションに留守番を頼んだぞー!執事長アダム!」
「はーッ!」
「ヒルドレを頼むぞ!外へは決して出すなよ!」
「かしこまりましたー!」
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同日、昼飯を済ませた後のわたくし:
「あぁああ!つまらないですわ、アダムサン~!今日は日曜日だから授業がありませんけれども、一人でオーガンを奏でいても本を読むのも飽きたから、外の町を見て回りたい気分ですわー!」
「それは駄目でございます、お嬢様!旦那様が厳しくおしゃられた通りに、お嬢様のご面倒を一日で家の中だけで見なくてはならないから、外へは決してお出しになってはならないとご指示がございます故、どうかご辛抱のほどをー」
「それなら、お母さんについて聞きたいんですが、今はあちらで良くやってましたのー?」
妹ベタニーとお母さんだけは父の赴任についてきておらず、実家で母さんが【精霊術学】の研究に勤しんでいたと聞きましたので、ついに近況が知りたくなった。
身体能力強化の魔術はもちろん、基礎トレーニングも良く教えてくれているお母さんなので、これからの2年後にわたくしが契約を受け継ぐ予定である【あの精霊】に備えての前準備を手伝ってくれた方でもあるのでちょっと憧れを抱いているのですわね。
「はい、良くお過ごしになられているそうだと存じますよ。ご研究が大きく進んでいらっしゃると最近小耳に挟んでおりました故、お嬢様も奥様の御尽力に水をさしませんよう、ご素行に気をつけて下さいませー」
「はい、はい~!ちょっとわたくしにあれこれと【魔導兵器】の魔導ロッドを使って訓練を施してくれただけでアダムサンもお母さんもあまりグイグイとわたくしになにかを強制してこないようにしてくださいまし、ね?」
「承知致しました」
「宜しいですわ」
それだけ言って、リビングの玄関から踵を返したわたくしは外出することを諦め、自分の部屋に戻るため2階へと続く階段を昇って行ったのでした。
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「と、そう簡単に諦められると思いますのー?残念ですわ、お~ほほほほ!」
自室にいるわたくしが笑い出すと、すぐにベッドシーツにまるでわたくしが寝ているかのように抱き枕を忍ばせていて、そしてドア越しにアダムサンと他のメイドから声がかけられたら自動的に『自分の声』で適当な『今は忙しいので後から来てくださいまし』って返事が返ってくるようお母さんから買ってもらった【魔導人形】をセットした後、窓を開けて、【空中浮遊魔術】を習得したばかりのわたくしが発動しながら家を出ていったのでしたー!
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それから、遊べそうなところを探すと、すぐにそこで中規模な公園があるのを空から俯瞰して発見できましたので、人気がいなさそうな木々や植物が多く生い茂っている裏の方に着地すると、
「あら、こんなところにきて何の用っぽ?」
「また町の外からの余所者かー?随分と生意気な佇まいをしている新入りよねー」
「これこれは金髪とは珍しいものですな!金髪って遺伝子的な分布が多い方のが北方地域と湖周辺の中心地方でしょー?なんの目的であなたの家が遠路はるばるここ南西の【フェーアチャイルド地方】にきて、こっちの『偉大なるお方』のご実家がご統治なさってらっしゃる【ノールトックス町】にまでー?」
どうやら、先客がいるようで、二人の同い年に見える子達が茶髪をしているばかりなのに反して、一人だけ黒髪のリーダー風なオーラを纏う子がいる様子ですわね!
「新入りならそこで地べたに座りなさいー!あっしの家が縄張りにしてきたこの町でどういう振る舞いをしていていいっぽか、あっしからの『指導』を特別に新人のソナタにきっちりと頭の中に叩き込むからで早くしなさいー!」
いきなりそんな理不尽な命令をしてきた黒髪ショートの三つ編みお下げの子がいるので、彼女の要求に対して正当性も必要性もまったく感じなかったわたくしでしたので、こう答えましたのを今でも覚えているのですわね、
「それは嫌ですわー。だって、わたくしはこのホワイトドレスがお気に入りですし、地べたに座れば汚れちゃいますわ」
きっぱりと言い返すと、
「へえ~、あっしの『提案』を良くも突っぱねてくるっぽ~?」
「きゃ~ははは!もう終わりよね、あんた!この『偉大なる方』の『提案』を断るなんて……」
「あなたがどれほど故郷ではお偉い令嬢さんだといっても、ここだけはこの『偉大なる方』の御実家の縄張りなのですねー。大人しく言う事を聞ければ良いのではー?」
何故か場の空気がいきなりぴりぴりしてきて不穏な流れを感じ取ったわたくしなので早くここから離脱するべく静かに飛び上がろうとするとー!
「おっと~!どこへ行くっぽー?」
「なにしてるんですのーー!?放しなさいよーーですわ!!」
何てことしてくれましたの――?そこの黒髪の子ーー!
【空中浮遊魔術】にて、飛び上がろうとするわたくしの片方の足をよくもまあ、掴んできましたわよねーーー!!
「放さないっぽよ?むしろこれでも喰らいなさいー!」
ビュウウ―――!!
「きゃあああーーー!!」
ゴー――ド!
「痛あぁぁ―――!」
あろうことか、わたくしの脚を掴んだまま力強く土壌と草が良く生えている地面へと落下させ、わたくしの顔もここの地べたにくっ付かせるようにしやがりましたわよーーー!!!?
「あっしの言うこと聞かない子にはお仕置きっぽよー!またも喰らうがいいっぽねー!それー!」
バー――コ!!
「ひゃああーーん!?」
なんてことしてくれましたのよーー!!
地べたに顔から落ちてきたので上の状況が見えないわたくしが確認しようがありませんけれども、恐らく黒髪の子ですが彼女がわたくしの背中に対し、ありったけの力で以って跳躍してからの踏んづけをかましてきやがりましたわよーーーー!!!?
「こ~~の!」
抵抗してどうにか立ち上がろつとしたらー
ガァ――――!!
「あう~~~ぐ!?」
今度はわたくしの頭に足を乗せてきた別の茶髪二人のどっちかが近くにきて、もっと土の味を口内で味わわされる羽目になったわたくし!!
許しませんわーー!!!良くもまあ、オールズティニア侯爵家の長女 であるわたくしに~~!?
「『偉大なる方』が宜しいっておっしゃるまでそこにいて下さいよねー!あ~はははは!!!」
バコ――!!
ボコ――!!
ゴ―ド!!
バーーコ!!
こうして、わたくしを地面に這い蹲らせ、最も酷いイジメの類を侯爵令嬢であるわたくしに卑怯にも外道にも体験させてきましたそこの黒髪女がーーーー!!!
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あれから、傷も酷い状態で帰ってきたわたくしに『何があったのか』って聞かれたので、最初は誤魔化そうとしましたけれど、父の強い追求で言い逃れも出来なかったわたくしが渋々もすべてを話すことになったのですけれど……
最初は怒ってくれてはいました様子でしたが、わたくしが『黒髪お下げの三つ編みショートの子』と名前こそ名乗らなかったんですけれども『偉大なるお方』って呼ばれていた少女のことについて話すと、いきなり血相を変えた父がわたくしを強くハグしてから、次の日に慌ててわたくしを母と妹であるベタニーが住む実家のオールズティニア領へと返して、父ひとりだけあそこで滞在を続けていくみたいですわね………
名前も知らなかったあの黒髪ビッチ!あれから、調べてきましたのですが、あの町を統治しているのが【エルグムーンド家】だということが分かりましたので、復讐を向けるべき相手は恐らくあの家の黒髪お下げ三つ編みであるということもはっきり出来ました!
そして、あれから2年も経って【契約精霊】もできたわたくしの一家がつい12歳に入った時のわたくしは王都へと引っ越すことになり、ここの3年間にずっとオードリーサンという素敵なライバルを見つけて彼女と切磋琢磨できる環境を満喫しながらも精霊術使いとしての忙しい訓練と修業を重ねてきましたが、先日の『あれ』との最悪な再会が発生し、やっと復讐の衝動が濃くなってきたと感じましたの!
しかし、今でも考えていましたけれども、もしかしてあの時にわたくしがちゃんと執事長アダムサンと父の言う事を聞いたら、あんな惨めで大変な屈辱感いっぱいの体験もしなくて済むというような自責の念も少なからずありましたので、怒りの矛先の半分は自身にも向けられているって感じてもいるのですわよね........
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現在のチーム対抗試合の場面に戻ると、
「あの日から、わたくしをあんなに屈辱感満載の酷い仕打ちを味わわせてきたエルグムーンド家のあの子……貴女の事がー!許せないと断言できましたので、こうして再会できたということはー!」
カ――――シイイ――――ング!
青白い光が炸裂したかと思うと次にはレイーザリンの両手には握り持っている中型の魔導杖が出現し、それをわたくし突き付けてくると
「戦う以外ないっぽねーー!!今度はあっしのこの綺麗な整ってる顔を地べたの土壌で味わわせる番の復讐がしたいんでしょうーー!?でも残念だけど、その思惑は真っ向で粉砕してみせるっぽよー!そしてまたも『同じことかそれ以上のもっと凄いのをソナタにやる』ってだけっぽー!だからかかってきなさいー!ヒルドレッド・フォン・オールズティニアさんー!」
「望むところですわー!今はしっかりと決着をつけるのですわー!はああー!【我が白盾聖騎士アールドヴィオーレ、わたくし自らの武器と盾になって】 ーーー!!」
契約精霊を武器化した状態で召喚したわたくしはレイーザリンを睨みながら、わたくしの握っている盾と槌矛をそれぞれの手が燃え上がるような感覚を感じるまま、まっすぐにあそこの15メートル以上も離れた木の枝に立っているレイーザリンのいる位置へと駆け出していったのでしたわー!
絶対に勝ってみせるからオケウエーサンもオードリーも良く見ていて下さいましー!試合が終わった後の魔導円盤でー!
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