第二話:地下訓練ホール、そして生徒会長の大発見!
精霊術学院、 聖神歴895年、1月の21日、放課後て:
「いよいよ放課後だな……」
「そうだわ。もう準備はいいー?」
「ヒルドレッドさんのことですから、オードリーさんみたいに負けず嫌いな性分を持っているみたいだから初っ端から全力で挑んでくるはずですよ?」
「ええ、俺もそうだと分かっているぞ、ジュディ。だから準備についても万端だぜ」
「じゃ、行くわよ、オケウエー!私に代わって、あいつをぶちのめしてきなさいー!格の差を見せつける瞬間なのよー!」
「おうー!」
パチー―ッ!
クレアリスから学んだグランドブードリックの文化に基づいて、ハイファイヴをした俺とオードリー。
もちろん、教室を出る前にも軽い作戦会議を交わし合ってもいたので、ヒルドレッドと戦うことに関してどういう戦い方が有利なのかみっちり教えられたので万全な状態で挑めるはず!
「大丈夫わよ、オケウエー。前に自信満々に自慢したヒルドレッドだったけど、彼女の実力がどれほど上がろうと、あんたには【愛の大聖霊】の力があるわ。同じ系統の『反人力に対する対抗力が強い聖なる力』を持っているとしても明らかにあんたの方に分があるわね。大聖霊の肩書は伊達じゃないわよ?だから、勝利を掴みに行って頂戴ー!」
締めにそんな励ましの言葉をもらった俺。
………………………
「…あら、オケウエーサン。ご機嫌ようー。覚悟はもういいかしら?」
「ああ……やっとこの瞬間が来たんだね」
訓練場に向かう途中で建物の外にとある木々が脇に並んでる粋なところでヒルドレッドと出くわしたので挨拶を交わした。
ちなみに、魔道通信機で知らされたんだけど、俺とオードリー達が作戦会議を始めていた時から既にジェームズとクレアリス達が訓練場の観客席で腰を下ろしていて、俺達の試合が始まるのを待っているそうだ。
「それはこっちの台詞ですわ。貴方を無様に這い蹲らせて自分の方こそ上ですと証明できる瞬間になるんですから、今からでもワクワクが止まりませんわ~!お~ほほほほ!」
「そんなに俺を打ち負かしたかったのか?」
「ええ、だってオケウエーサンってエキゾチックな褐色肌をしておいて愛の大聖霊とも契約出来るほどの天才級な男性ですもの。そんな珍しい相手…いいえ、『獲物』をわたくしが完膚なきまでに負かすことが出来たら、我がオールズティニア家の株が上がること間違いなしですわー!」
「ははは…そう簡単に聞こえるかもしれないが、俺もそうやすやすと負けてやる気がないんでね。だから、これからは正々堂々とー」
「勝負ですわー!」
がしー!
俺の褐色の手と彼女の真っ白い手が握り合っていて、力強く握手を交わし合っている俺とヒルドレッドだったが、ふとあっちへ視線を向けると、
「……」
オードリーと目が合った。
むすっとした表情?を浮かべながらもなんか目配せしてくる様子で、さっき話し合っていた『例の作戦』についての合図をしているようだ。
分かったよ、オードリー!ついさっき議論してた戦術だったし、忘れるはずがないぜ!
俺の返事みたいな軽い会釈を確認したオードリーは次にジュディに向き直ると、
「いい心構えだわ、二人とも!これから私達は観客席に向かうけど、精々頑張ることね。ジュディ!」
「はい!」
「行くわ」
「うん!」
先に『空中浮遊魔術』で飛んでいったオードリーとジュディを見ている俺とヒルドレッドに、
「さあ、行きましょう?」
ニコニコと微笑んでいるヒルドレッドと目が合った。
なんか近い距離で見ると、確かにヒルドレッドは美人だ。薄い金髪のドリル型のツインテ―ルで、容姿も端麗でありながら青い目が大きくて可愛い印象も見受けられる彼女の顔からは感嘆とさせられる気持ちしか湧かなかった。
さらに、横から見るとやっとはっきりと確認できたが、やっぱり思ってた通りに、ヒルドレッドの胸のサイズはオードリーより大きいようだね……。
なんか見てると、血が顔に沸き上がるみたいな感じなので慌てて目を背ける俺!
タタタ………
照れながらの俺でも何とか平静さを保って隣り合わせでこんなスタイル抜群な金髪ツインドリール型の美少女ヒルドレッドと歩いているとー
「もう着いたな、貴様ら!」
え?訓練場の前まで歩いてきた俺とヒルドレッドに、舞台上には既に一人の人物が立っているようだ。
ズボンも含まれる赤色の軍服を上着の長いローブみたいなブレーザに覆われている、薄い白髪のショートヘアー三つ編みを後ろで結んだ女性が見えた。イルレッドノイズ学院長だ!
「あら、学院長までわたくし達の決闘を観戦なさいますの?四大貴族ともあろう学院長が直々に一年生のわたくし達の決闘をご覧になるなんて光栄ですわ、お~~ほほほほほほー!」
また始まったヒルドレッドの高笑いにまたもこめかみを抑えることになった俺に、
「うむ、そのことに関してだが、貴様らの決闘が始まる前に重要な伝達事項を伝えなければならないので良く聞くようにな」
ヒルドレッドの黄色な笑い声をスルーした学院長がそんなことを言っている。
ん?今度は何なんだよー?改まって……
「貴様らが戦うのに打って付けの場所を提供するぞ!この小さな舞台よりも貴様らの能力に相応しい場所だぞ」
「「--はい~?」」
学院長の告げた言葉に対して、ただぽかんとした顔になっている俺とヒルドレッドだけだった。
……………………………………………
……………………
「まさか、学院の地下にこういうだだっ広い訓練用の大広間があるなんて……しかも!明らかにこの前のルネヨー・フラックシスの第2階層より天井もバカみたいに高いし、広さも十分に数々の上級の精霊魔術を使うのにぴったりな空間ばかりだし、至れり尽くせりだな!」
「…前々から、この学院には聖エレオノールの手掌紋が学院長室のとある厳重な『隠れた箇所』に保管してあると聞いてはいましたけれど、まさか学院長室で隠し通路があってそれをこんな広い地下の訓練場へと繋がるなんて……やっぱり興味深いですわね、オケウエーサン~!おほ~!」
はしゃいでるように両拳を作って俺に笑顔を向けるヒルドレッド。こうしてみるとやっぱり美人だ!
ちなみに、この地下の訓練場がこんな超巨大な空間を誇っているから、天井も空まで届きそうなぐらい高すぎるし、一体どこまで掘ってこんな空間を学院の下に作れるんだー!
「今まで、学院長の座につくあの日からずっと言い伝え通りにこの【地下大訓練ホール】をみんなから秘密にしていたんだが、『時が満ちたら、解放してもいい』という伝承も代々我が家で伝わってきたので学院初の『愛の大聖霊』と契約できたフェクモ人男子生徒の功績と類稀なる才能を評して、ヤツが心置きなく戦えるように提供したまでのことだぞ!なにせ、『すご過ぎる技』ばかり持つようになったからな、その南黒人少年は!」
このホールの中心に立っている俺とヒルドレッドをあそこの遠くて高い観客席の最上階の段差から見下ろしてきながら【魔道拡声器】で説明した学院長だったがそれに続くように、
「では、両者はそれぞれ離れた位置に移動しろー!そしたら、十までカウントダウンするぞ。0までになったら決闘開始となる!」
言われた通りに離れていった俺とヒルドレッド。
【聖眼(ホリーアイ―)】を発動した俺はあの遠いところにある観客席に腰を降ろしているオードリー、ジュディ、クレアリス、ジェームズ4人の【チームオケウエー】の面々を確認する間ー
「3、2、1、決闘開始だー!」
「では、わたくし、ヒルドレッド・フォン・オールズティニアの名に懸けてー」
ミニスカートの両端を摘まみながらお辞儀した彼女は、
タ――――――!!
「オケウエー・フォン・オケウエーサンを『狩ります』わー!」
時間を無駄にしたくなさそうで、その後まっすぐにこちらへと駆け出してきたヒルドレッド!
………………………………………………
…………………
同日の同時間帯の生徒会室にて:
「彼らの決闘を観戦しにいかないんですか、会長?」
銀髪ショートヘアなドリル型な女子生徒、マーリエラに聞かれた会長は、
「ボクはいいよ、そんなのぉ。どうせ『結果は既に見えているのだからねぇ~』。 それより、彼らの身辺を調べるよう指示したけど、あれからどうだったぁ?」
「そう、ですね…ワタクシが調べたことある幾つかの事柄に、どうも微妙に合致してない点が複数あって、謎に包まれてるままでしたね」
「ほぉー?面白そうだから聞かせてくれるぅ?」
茶髪セミロングの髪の毛を横に一つの束に結い上げた豊満な胸を誇るエルヴィーナ生徒会長に促されるように、
「はい!先日、オケウエー男爵が貴族と聖騎士の称号を国王陛下様から授与して頂いた同日に、少しその前の昼過ぎ…でしょうか、の頃に彼は王都のはずれで、ニールマリエー嬢を誘拐したイリナだった子が『聖体正義戦獣』って呼ばれる新型な剛力級になった時、オケウエー男爵が相手であるあの超巨体さえも丸呑みした真っ白い球体に包み込んでいた【聖霊魔術】らしき【魔技】を発動した様子でしたけれど、全てが終わった頃には既に球体が消えたと同時に、オケウエー男爵が出てきて、中での『 聖体正義戦獣』での残骸や反人力の残滓が綺麗さっぱり消えてなくなったそうです!斥候からの報告でしたから間違いないはずです!これは明らかに異常ではないでしょうか、会長!?」
「ふーん。普通、【聖霊魔術】自体は強力な【魔技】の一種だから彼があの球体の中に入るまでもないけどぉ、……何か、彼をそうさせないといけない状況でもあったからかなぁー?たとえば、あのバケモノに聖なる力、あるいは…『聖魔力が主な力の源』の聖霊魔術と一般的魔術全般に対する耐性が強すぎて、それだけで傷つけられなかった彼は、……『なんらか別の方法で、……つまり、聖魔力をまったく必要としない技で始末する必要が出てきた』ってこと、なんじゃないかなぁーー?」
「何ですと---!!!?……でも、それはただ会長の憶測に違いないですよねー?オケウエー男爵が聖魔力を必要としない技で止めを刺す羽目になったなんていくら何でも話しが飛躍しすぎはしませんか?あれほどの大物を、聖魔力なしでどう倒すって……はあー!?」
「どうやら、マーリエラくんもついに気づいてるようだねぇ?……聖魔力を必要としない強力な攻撃手段なんて、……それぐらいしかないんだよぉー?」
「つまり、……会長が仰るには、オケウエー男爵はー」
「そうだよぉー。彼は、…『混沌の波力』を媒体に使う魔術であのバケモノを倒したって予想するんだねぇ!根拠はたったこの二つの点だけだぁ。一つ目に、彼がその球体の中から出てきた時には、【 聖体正義戦獣】の遺体は既に消えて霧散済みだってことぉ。これは明らかなに変過ぎるんだねぇーー。もしも普通な聖霊魔術で倒したとしたら、あの短い期間だけで残骸がすべて綺麗さっぱり消えたのではなく、霧散していくには徐々に時間がかかるはずぅー!だから、異質な『混沌の波力』だからこそ、彼はそのバケモノを短期間だけで跡形もなく、反人力の残滓も残さぬぐらい消し去れましたともいうんだねぇー」
「で、でもー!そうなると、会長が仰るには、オケウエー男爵は実はー!」
「そうよぉ。オケウエーくんは、実は魔神の一人かもしれないよぉー?何かの重要な任務があってうちの学院に入学してきて、ずっと正体を悟られないように隠してきたに違いないんだよねぇ……根拠その二つ目、彼が今までに成長する過程が早すぎたからだぁ!いくら天才肌とはいえ、あんなフェクモから出てきたばかりのひよっこ魔術使いごときがああも早い成長速度を見せるのは明らかに異常すぎるんだよねぇー?だが、彼は実は【隠れ魔神】だったら、全ての疑問点に納得がいくはずだよぉー!」
「……成程、ね……。確かに、言われてみれば会長の仰る通りになっちゃいそうで合点がいきますね!でも、そうなると、対応するにはどうすればー」
「今の時は様子見、だねぇ……。学院や王都には大勢な罪のない民も多いんだから、今は魔神らしき彼を刺激しないようにするのがベストだねぇー!対策を取るのは彼の目的が判明してから行うのも遅くないはずぅ!」
「では、引き続き彼の監視を継続させて頂きますね、会長!」
「そうしてくれぇー。ボクも気を付けて彼との交流をどうすべきか、思案していくんだねぇ!」
それだけいって、退室していったマーリエラがドアを開けて、閉じるのを確かめた学院長に、
「でもぉ……まさか魔神でありながらも【聖霊】と契約できるなんて……というと思ったぁ?残念~ボク知ってるんだよねぇ、本当は魔神じゃなくてぇー。さっきのはマーリエラに対して真実をごまかすための方便」
でも、まだボクに決定的な証拠が何もないから、憶測で人を糾弾したりはしないからマーリエラに彼をもっと監視するように指示したのは間違ってない行動だったともいえるんだよぉ
「なぁ~、ゾンビーボイの黒男爵くんーン?」
それだけいって、先日に【神隠し】の術を使って、エルヴィーナ自身が彼女の身体にその精霊魔術を付与して、オケウエーに忍んで彼がオードリーとニールマリエーを助けた時の光景を思い出した。
そう、オケウエーが人形でイリナの首を捥いでいた時に、
あの時、愛の大聖霊の結界のせいで、魔道映像機器全般が正常に機能してなくて、カメラで撮ってみても写真が撮れなかった会長だったが、特有な自身用の結界に身を包まれていた会長は確かにオケウエーが何をやっていたかはっきり確認することができた!
「忌避とされる魔術とはいえ、今のところは証拠も残せなかったので何も出来なかったけどぉ、彼にも事情がありそうなので今のところはさっき言ってたように様子身しておくのだけれどぉ、変な動きでもしたら絶対に止めてみせるからねぇー!」
そう。
あの時、確かにイーズの結界はただ【悪意を持った者にしか能力を無効化出来なかった】ので、会長にオケウエー達を襲うような【悪意】がない以上、愛の大聖霊とてエルヴィーナの【神隠し】の精霊魔術を無効化することが出来なかったのである!
もちろん、ケルノット平野の戦いに臨んだ『もう一人の会長』は彼女の分身だった。そう。
会長の契約精霊であるその雷性の豹もバケモノ級の上級な精霊で、軍用級精霊魔術まで使えるほどの精霊である!だから、分身用の会長、しかも、聖魔力量が本体の半分まで有する別の身体を自由自在に生成できる精霊魔術が使えるのだ!
もちろん、分身体も本体がコントロールできる身体の二つ目なので、名実ともに精霊を持つエルヴィーナは身体が2体ほどあるというようなものだ。
今まで、誰にも明かしていない彼女の契約精霊の奥の手のひとつでもある。
それで、本体の半分ほどの聖魔力量の分身型のエルヴィーナはあの超大型の亀を【軍用クラスの精霊魔術】の発動が可能で討伐できたという訳だ!
そして、本体である王都の外れにいた会長とて、役職の仕事がある以上、すぐに戻らないといけないので目で首を捥いでたところのを目撃した会長はすぐに学院に戻ったけど。
「それに、このことに関して、学院長も何か知ってそうな気がするので、今のところ彼に糾弾しても危険なだけだねぇ……何か理由をつけて黙らせるためにボクを真っ先に始末しにくるし、やっぱり今はまだ【監視の期間】だけにィ!……って、やっぱりボクって頭切れる女の子なのだねぇ、ひひひィー!四大貴族様には悪いけれど、ボクにも矜持ってものもあるからねぇー!」
慎重そうな心境を表現できた複雑な表情を浮かべるエルヴィーナ生徒会長はただただ、自分の優秀さを誇りながら大収穫を得ることについて満足するだけだった、今のところ。
…………………………………………………………
……………………………
________________________________________




