三十七話:イリーズカ先生の軍用級の精霊魔術
レイクウッド王国、王都クレアハーツにある王城内の謁見の間にて:
「樹界脈の分脈が通るはずのないこの【王都クレアハーツ】にいきなりそれが可視化されるようになって暴れ出して世界獣を出現させたじゃとー!?」
「はっ!斥候からの報告だと既に王都の3箇所に同じようなパターンが確認され、現れた世界獣共を精霊術学院生が討伐したと記録されたのですが、 アイデールスの町から近くの『ケルノット平野』にも大勢の世界獣が大群を成して町へ侵攻してくると、町長アールノイド殿が『反人力探知機』で察知したそうで御座います」
広くて奥行きの長い謁見の間にて、壁や天井が白と青で統一された清潔感の高い雰囲気が醸し出され、
壁に伝う両脇には数多くの【近衛騎士団】が配備され、玉座に腰かける冠をつけた老人の存在をもっと際立たせるものにした。
玉座へと続くのが3段の段差で、あそこから斜め下へと視線を向ける先には老人に向かって、深々と頭を垂れて報告をつづける上品な貴族用の服を着ている男性がいる。恐らく上層部の高級官僚を務めている者なのだろう。
「じゃ、アイデールスにて駐屯してある第二旅団に精霊術師がおらぬか!?」
「はっ!それなら二人までいたと聞き及んでいますが、どれもが下級精霊ばかりでおそらく剛力級相手に有効な戦力にはなり得ないかと存じております。ですが、部隊の中には下級の世界獣を傷つけられる幾人かの魔術使いがいるため、抵抗は十分できることは否めない状況で御座います。それでも『剛力級』相手では彼らの実力が遠く及ばないと判断したから、すでにイルレッドノイズ公爵が学院からの実力あるゲルトルード精霊術学教師と実力ある二人の生徒をアイデールスの町へ向かわせました」
今のあの老人の苦難と憂鬱そうな顔を見て口が裂けても言えないが、数多くの有力だった軍の精霊術使いと魔術師は昔のあの『最悪な一年間』でたくさん殉職したので、今の王国軍が如何にも優秀な精霊術使いと魔術使いの人材に不足しているかをよく物語る今の出来事となった。
「なるほど……しかし、…樹界脈は本来、この王都にまで分脈が流れたり通ってきたりはしないはずのものじゃ。先日の【カラーン海】の海上にて突如として可視化した樹界脈がフェクモに分脈を伸ばしていった一件といい、それがどういう訳で今までに前例のない可視化状態になって世界獣を顕現させたのか、詳細なことはまだ何も発見がないというのかー!」
明らかに心労が絶えない老いぼれ果てた顔して髭が生え茂っている冠をつけた老人が苛立った様子を見せると、
「はっ!それについては斥候と彼らを伴って今現場に向かってもらう【樹界脈流通元調査隊】が調べようとして下さるので、少々お待ちして頂ければ幸いで御座います、国王陛下様!」
「良かろう!引き続き状況を追っていてくれ!王国が建国して以来の重大な事件なのじゃぞー!それと、フェクモの海岸沿いに派遣されることになった帝国軍の動向も探れー!」
「はっ!」
それだけ頷いて、退室していった高格の官僚の後ろ姿を見ながら、
「エリシャ、我が娘よ……どこにいるんじゃろう、お前……あの世へ迎えが来る前、もう一度………お前の顔が見たかった……」
悲痛そうな表情を浮かべて、今でも枯れた血の涙を垂れ流そうとした憂いの残る顔を浮かべるレイクウッド王国が元首、レイクウッド8世国王が玉座に腰かけて無力感いっぱいのつらい思いに苛まれ続けるばかりだった。
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イリーズカ先生の視点:
「もう直ぐ着くわよ~!今から戦術の再確認を行うから良く聞いていてね~!なにがあってもワタシが前衛になるわね~~!これだけは譲れないよ、二人とも!そして、ワタシが敵軍に向かって砲撃を完了した途端、すぐに中衛ポジションの二人が後から向かってくる残党めがげて精霊魔術で片付けて下さい~!忘れないでよね、ジュディにクレアリスちゃん~!」
「はいです!先生のいう通りにしますから安心して下さい!」
「ふふふ……『今のところ』は言われた通りにするわね、先生…」
『魔道飛行車』に乗っているイリーズカ先生、ジュディとクレアリスがこれから起こるであろう大規模の戦闘に関する戦術を再確認しているところに、急にあることを思いついたジュディがイリーズカ先生に聞いてみる、
「そういえば、先生!王都では【樹界脈】が決して流れ着いてこない場所だと前々から【樹界脈分布地調査省】の官僚達が断言してたんですよねー!?何故今になっていきなりそれが王都で見えるようになるまで現れ、前にオードリーさんが教えてくれた通りに暴れ出して強力な世界獣を呼び寄せたんでしょうか!?」
「それについてもルネヨー・フラックシスでの一件があった先日からずっと調べる最中なのよ、ジュディちゃんー!実際に現場にいて死にかかっていた状況だったオードリーちゃんが真っ先に体験した異変となったそうなんだけれど、彼女からは何か重要な情報を伝え忘れてないかオードリーちゃんから再確認する必要があるわねー!」
「ふふふ……それについてはうちも同感よね、先生。なにせ、帰る前にルネヨー・フラックシスの休憩場にいた時、オードリーがオケウエー君の様子を観察していたイーズちゃんの側へ寄っていったオードリーが見えたんだもの。何か大事な話をイーズちゃんから聞いていてうちらに伝えるのを忘れているって可能性もあると思うのよね」
「……まあ、今はそれを考えていても仕方がないわよ、みんな~~!頭を切り替えて集中して下さい!もうすぐ戦場なのよ!」
「「はい!」」
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アイデールスの町より、外のケルノット平野にて:
「くそ!もう少しまで耐え忍ぶのだ!増援が必ずやってくると町長がー」
バサーーーーーー!!
「ぐぁ~!?…」
戦場の中心箇所にて、2体の闘志級、『レッド・タイガー』と剣で切り刻もうとした最中に、やっぱり魔道兵器じゃないということから奴らの『反人力』がある程度発せられている表面の毛皮や皮膚を貫くことは困難であり、その隙をついて片方に鋭い爪で背中から深々と切り裂かれ、沈んでいったレイクウッド王国軍の第二旅団所属の兵士が見えた。
普通の武器と違って魔道兵器は高価で製造法が手が込んでいるものばかりだから、今の経済面で疲弊している王国は軍のすべての旅団の兵士に対して十分な軍備が配給できずにいる現状だ。
それに、たとえ魔道兵器で一般兵士が武装していても、魔術の心得がない者はそれに聖魔力を通して十分な戦力を発揮できずに敵に返り討ちに遭うのが落ちだ。
「ヘンリック!くそ!ついさっき大怪我を負って治療隊に離脱させられたジョハンズの件は痛手だったし、もう片方の精霊術使いのユグラムも殉職したし、4人までいた魔術使いが今一人だけに減っていてあそこで防御魔術ずっと張っていて苦戦してるようだし、何なんだよ、この絶望感しか湧かない状況はよーー!」
明らかに異常なまでに平野で群衆を成した剛力級3体と闘志級50体の世界獣にされるがままになっている第二旅団の兵士達を見て、嘆いている団長であるハールトマンができることはただ後衛に陣取ったまま、弓矢隊に向けて、
「まだ諦めるな、野郎どもーー!増援がすぐ来るから今は俺ら第二旅団の根性をバケモン共に見せつける瞬間だ!打て――!」
「はっ!ハールトマン団長様!」
フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!フシュゥーーー!!!
「「「「くらおおーーーー!!!」」」」
カチャン!カチャン!カチャン!カチャン!カチャン!カチャン!
「ーー!?ダメだ!魔道兵器じゃない矢が当たっても貫通できない!そして魔道兵器だって分類されたごく少数な矢が撃たれても撃った射手本人の聖魔力の制御が上手くないか、矢に込められてる聖魔力量が十分な力を発揮できずに、あれら闘志級何体かに与えあれた傷が浅すぎるーー!!」
「くそー!だから諦めるなって言ったろうが、野郎ども!俺の今ー」
「「「グロオオオアアアーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」
「「「「「「ーーーー!?」」」」」」
「あ、あれはー!くそったれが!さっきは後衛でただ小規模な砲撃だけ時々かましてきた『剛力級』、3体の【アース・フーリックス】だったってのに、なんの風の吹き回しかいきなり前へ出て走り出してきやがったぞーー!?」
「「「グロオオオオオオオオオアアアアアアーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーー!!!!
世も終わるような地震めいた地鳴らし音を上げて3体もの石のような色を全体に彩られてる巨大な蠍が尾も揺らしながら王国軍の陣営に向かってくる。
『レッド・フーリックス』と違って頭は潰れた虎の頭部みたいな醜い顔じゃなくて今回の『アース・フーリックス』はどれも石像の無表情な顔をしており、咆哮を上げる時もただ口を異様なまでに何メートルも大きく開ける様を見せつけてくるだけで別に怒りといった表情の変化が見られない様子。
「お前ら、一か所に固まらずに散会しろーーー!!踏み潰されるか呑み込まれることになるぞ!」
「くそが!もう間にー!?」
「『我の元に降臨せよ、蒼厳の天海から舞い降りし大賢霊の七色巨鳥【ハーミリー】』ー!」
『グエエーーーーーーッ!!』
ゴドオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーー!!!!
「「「グロアァー!?」」」
何が起こったの一瞬で反応に困っている兵士達だったが、よく冷静になって観察してみると、彼らに向かって駆け出していった『アース・フーリックス』3体がいきなり何かの大きな色とりどりの片方の巨大な翼によって行進を止められ、たたらを踏んでしまった様子だ。
その巨大な翼より上を見てみると更にとてつもない巨体を誇る超大型な大鳥がいて、その本体にも七つの色で構成されている身体で彩られてるようだ。七つの色は白、黄、赤、青、緑、紫、橙といった様々な配色が複雑な模様をサーカス団のごとく良い外観を演出し、見る者を簡単とさせられる目の保養となるだろう。
「もう~。あの大きさがあるから、野外の広~~い開けたところにしか『真体姿』した【ハーミリー】を召喚できないわよね~~」
「団長!あそこの上を見ろ――!」
「はー!彼女はー!」
そう。
地面に向けて翼を伸ばしながらアース・フーリックス3体を止めている超大型鳥こそ、イリーズカ・フォン・ ゲルトルード精霊術学教師の契約精霊であり、今は【魔道飛行車】の屋根となる天井の上に彼女が腕を組みながら立っているのが見えたのだ!
「ゲルトルード精霊術学教師だーーー!!!増援がやってきたぞーー!!一気に戦況を巻き返せるぞ野郎ども!!」
「「「「うううおおおおおおおーーーーーー!!!レイクウッド王国万歳ー!レイクウッド王国万歳ー!」」」」
イリーズカ先生の登場した姿を見ていっきに舞い上がった様子を見せる団長と他の隊員が高揚した気分のまま、これから大反撃を始めるであろうイリーズカの活躍を期待するような大声を張り上げるのだった。
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………………
「で、デカすぎますよーー!先生の契約精霊ーー!!」
「ふふふ……噂は聞いたことがあるけれど、まさかそこまでの巨体だなんて、びっくりしてるわね、ふふ」
素直に驚きの仕草を見せるジュディと違って、どこか言葉に反してさほどびっくりしてない顔を浮かべる涼しい顔してるクール系キャラを崩せない様子のクレアリスがいる。
それぞれの反応が違うことを気にせずに遥かあそこ斜め下の平野に巨大な翼を使って3体の『アース・フーリックス』をまるで蚊でも手で払うように突き飛ばしていったことを見届けた後、
「レイクウッド王国軍第二旅団の皆さん~~!そこから早く撤退して下さいーー!ワタシが剛力級3体共々すべて一掃してやるからーーー!!」
「ーー!?そう!聞いたか野郎ども!ゲルトルード嬢の御忠告通りだ、早くここから離脱しておくんだ!この辺り一面と一緒に焼け焦げた犬みたいにでもなりたくなけりゃなーー!」
「「「「ーーーはい!ハールトマン団長様ーー!!」」」」
だだだだだだだだだだだだだーーーーーーーー!!!
イリーズカ先生からの忠告を聞き届けたハールトマン団長が隊員すべてに対して撤退命令を下したので、慌てているような走行で町の中へと入っていて退却行動が完了したのを上空から確認し終えたイリーズカ先生は、
「よかった~!後退してくれて~~!ワタシの ハーミリーって少々派手過ぎるところがあるわよね~~!だから周りに大勢の味方がいると都合が悪いったらないわよね~~」
それを口から漏らした後、
「でも、ワタシが着いてきたからにはもう終わっても同然わね、この戦い~。じゃ~!今からいくわねジュディにクレアリスーー!!戦術通りにワタシが砲撃というか、…敵群全体への『爆撃』が完了した途端、連続して追撃を頼むわねー!何故なら『爆撃』を完了させた後のワタシは身体中が超~~~怠~くなっているからそれから10分も精霊魔術を使えなくなるわね!だからその間に残党を一掃することはあなた達ならではの仕事だからね~!」
「はいです!」
「ふふ、望む通りにしておくわね」
「それでこそワタシの可愛い教え子二人なの~!さあ、終わりにするわよ、そこの平野にうじゃうじゃ群がってるやん~ちゃな害虫共~!【七色七巨球大規模爆撃(セーヴンカラー・オブ・セーヴンヒュージュボールズ・ビッグスケール・ボンバードメント)】よ降り注げーーーーー!!」
『グエエエエーーーーーーーーーーッ!!!』
今度、イリーズカ先生からの命令を受けた『 ハーミリー』という超巨大型鳥はあそこから遥か上空へと天高く飛び上がっていって、そして眼下にある世界獣が群がっている【ケルノット平野】辺り一面に向かって、
『グエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!』
二つの超巨大な翼が前後で羽ばたいているかと思うと、次にはそこから大規模な七色で構成された様々な巨大な球が眼下に散乱している世界獣の大群に向かって放出され、昔の『ケロボロッス黄金時代』にあった『超大型魔空戦艦』みたいな大砲から打たれた大爆撃のように止めどなく溢れ出て、地面にいるヤツらをーー!
バコココココココバココココココバコココココココココココココバココココココココココココココココココーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
様々な七色をしているけれどサイズだけが画一的な巨大爆弾が次々と眼下にある平野の広い面積を覆い尽くすような大巨球の大雨が降り注ぎ投下され、その500発近くにも及ぶ凄惨で大規模な爆撃が辺り一面を轟音と大範囲的な逐一な爆撃と爆炎で焼き尽くしている様子だ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………………………
今は魔道飛行車に乗っているからその大範囲的な爆撃に巻き込まれずに済んだけど、車の窓から外の光景を見ているジュディとクレアリスはただただ感嘆とした気分しかなれないように目を大きく開けて絶句している様子だ。
「あはは……これ、夢、じゃ…ないんですよね?な、なんか……す、すごすぎて声も出ません…」
「……ふむふむ……これはイリーズカ先生の本当の実力なのね。……思った以上に恐ろしい契約精霊だわ!」
驚きすぎて夢でも見てるんじゃないかと疑い出してるジュディのと対照的に、どこか驚愕というより単なる好奇心が刺激されている表情を見せるだけのクレアリス。
下を向いてみると、平野の大規模は広い範囲ではあっちこっちで350個以上のクレーターが開き、画一的なサイズの球からの爆撃があったのにも関わらずクレーターのいくつかが交差するようになっているから穴のサイズと散乱具合もバラバラに(爆撃の時は同じ個所に何度でも着弾してるところがいくつかあるから)
「きききけーーーー!!」
やはりというべきか、闘志級レイジ・エープに並ぶほどの反人力量を有する『ダーティーモール(汚いモグラ)』3匹が地下深く潜っていてイリーズカの『 ハーミリー』から投下されていった【七色七巨球大規模爆撃(セーヴンカラー・オブ・セーヴンヒュージュボールズ・ビッグスケール・ボンバードメント)】からの爆撃を逃れ、今は地中を出て地上まで昇リ上げたその3体の大型モグラはオードリーみたいな瞬発力よろしく、まるで弾丸のようにアイデールスの町へと肉薄していったーーー!!
「「「ききききききききーーーーーー!!!」」」
カチ――――――――――ン!
「「「きーーくーー!?」」」
運よく、防御系の魔術だけが得意な魔術使いの兵士が一人だけ残っているので、【小規模防衛障壁】が町の各所の門で展開され、地面すれすれに飛び出してきた汚いモグラからの侵入を防げた!
「今だよ、二人ともー!ワタシはもう眩暈起こすほど疲れてるからここの車の屋根で少しの間で横たわるわねー!」
大規模爆撃の『軍用クラスの精霊魔術』を使って疲れ果てたのか、聖魔力が枯渇状態になった先生は契約精霊の顕現に費やす聖魔力量が足りず、『 ハーミリー』が霧散して先生の体内に仕舞いこまれていった様子だ。
「任せておくわ、『我が手元に睡魔3射よ参れ【シュート・ザ・リシャー】』ーーー!!
『ほーほ!ほーほ!ほーほ!パチーーーー――ン!』
魔術にて、窓から既に空中へと浮遊しているジュディとクレアリスはイリーズカ先生の指示の元で
まずはクレアリスの契約精霊である『サリシャ』というフクロウが武器化した状態から睡眠誘発できる矢を弓から3本まで素早く打ち出して、
「きぐゥー!?~………」
「きけエー?!~………」
「きぐゥー!?~………」
正確無比な射撃により、3発見事に命中して、糞とカスに塗れていて悪臭を放つ『ダーティーモール(汚いモグラ)』3匹を眠らせることに成功できた!
「フロンデルヒート ーーー!!我が敵に向け【長燃十二火球(トゥーエルヴファイ―ボールズ・オブ・ロングバーニング)】 を放って下さいーーーー!!」
『ミミヤヤヤアアアーーーーーーーーー!!! 』
そして、眠らされ、地面に倒れるように深い睡眠に落ちたモグラ3匹を容赦ない12発の大きな火球が向かってきて、そして!
バココココーーーーーゴウーー!!ゴウゴウゴウゴウゴウゴゴゴゴゴーーーーーー!!!!
爆発を上げて、跡形もなく消し炭になった!
「これで終わりますね、クレアリス!」
「ふふふ……そうみたいだわ!手掲げて」
「え?」
「だから手掲げてって」
「こう?」
パチ―――!
「ーー?」
「ふふふ……。ハイーファイヴよ。うちの【グランドブードリック大王国】からの文化的なお祝いする時の挨拶っぽい作法」
「な、なる程です!なんかいいですよね、こういうのって!文化の違い人からの発見があるとこうも楽しくなるものとは思いませんでしたー!えへへ…」
「喜んでもらえて何よりだわ。さて、先生ー?いつまでそこで寝てるの?」
「もう少しここで休ませて~~クレアリスちゃん~!さっきの爆撃で聖魔力の殆ど使っちゃったからーー!聖魔力量がある程度で歩けるよう回復するのはまだ8か9分まで要するわよ~~!」
クレアリスが屋根まで飛び上がると、だらけた姿勢で横たわっている先生に訊ねた。
「これでやっと任務完了ですね!世界獣の全滅で私達もやっと学院に帰れますよね」
「そうみたいわよね~~!少しここで様子見てから、まずは下の団長達へのご挨拶をー」
キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!
「えー!?何の音ですーー!?それに、何ですこの海のような息苦しさも錯覚しちゃうほどの反人力はーー!?」
「ま、まさかーー!あれがーー!」
「せ、先日のと同じ現象なの~~~~!?」
慌てて耳鳴りな音の発生源を確認すべく、地面まで着地したジュディとクレアリスが目撃した光景は誰もが驚愕の顔を浮かべること間違いなしの物となるだろう。
キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!
そう。
今回はとてつもなく、超巨大なまでに、海のように広がっている樹界脈がそこの広い平野の前方1200メートル先に『見えるようになって』、そしてーーー!!
パチイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイィィンンンンンング!!!!!!!
ピカアアアアアアアアアアアアア―――――――――!!!!
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『グネイ~~~~!グネグネグネイ~~~~~~イ!!』
そう。あそこで、猛烈な大閃光が炸裂したと同時に、樹界脈が見えなくなったと同時に、
『グネエイ~~~~!グネグネグネイイイ~~~~~~イ!!』
小型な島ほどの巨大な図体を誇る超巨大な亀のような『剛力級』がそこに出現!
ルネヨー・フラックシスでオケウエーが戦ったことある先日の剛力級最強にして極まれな個体である【グリーン・ジャイガント・スイーパー】より弱いながらも明らかに同じ上格な部類に入っているその超大型亀は、【オレンジ・ジャイガント・ランドフォールトレッス・ヒュージュタートール】と呼ばれていて、そこで聳え立つのが見えたのだー!
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