大袈裟な白鳥
スィ――ッ。スーッ。湖を、白鳥が泳いでいる。
しかし、大きな羽をバタつかす。知らない人が見たら、溺れていると、思うに違いない。なぜ、そんな泳ぎ方をするのか?
足に人間が捨てたゴミがからまっているのだ。何とか取ろうとして、泳いでいるのであった。
けれど、仲間の白鳥からは不評だった。そもそも人間のゴミなんぞつけてしまう時点で手際が良くないし、その白鳥が来ると、エサになる小魚が逃げてしまって傍迷惑だ。白鳥は〈泣きっ面に蜂〉状態だった。 だから、人間がなんとかするか、大分低い確率で運良く自然に取れない限りは、そのままなのであった。
優しい人間がきちんと色んなことに気を付けて、助けてやるなどしない限り、仲間からは『大袈裟な白鳥』と、思われたまま死んでしまうのであった。
終
具体的に助けないと、どうにもならないことはある。