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チラシの裏  作者: あきの
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子育ての話(机上の空論)

 世の中に激震はもたらさないけれど女性にとっては命懸け、妊娠出産乳幼児の育児、があります。母親にとっては自然災害にも匹敵する、環境の巨大な変化。

 これまでのお父様方は、自分の配偶者が助けを求めているって、あまり感じておられなかったようですが。


 たいていの初産の女性にとって、子育ては初体験。妊娠と出産は間違いなく初体験。子育ては、歳の離れた弟妹の面倒見てた可能性はあるけど、自分が責任者になるとぜんぜん違うよね。

 初体験母親業にきりきり舞いしている初心者マーク母親に、「女には母性本能あるだろうけど、男はなかなか父親の自覚持てなくてさぁ。指示してくれたら喜んで手伝うよ?」なんてスタンスの初心者マーク父親が言うこともあるらしい。母親も同じ初心者だよ?


 初心者同士でも、男性は頼られたらドヤって教えてあげたり、「こんなこともわからないのかよバカじゃね〜?」ってマウントとったりするんだろうか。ドヤって間違ってたらどうするんだろ……。

 妊婦も出産後の女性(産後の肥立ち)も、産まれて間もない赤ん坊も、まじめに生命の危機に陥るんだけど。障害残るかもしれないし。そしたら一生だよ。

 会社の仕事は強烈な叱られ、悪ければ自主的な退社勧告? だけど死にはしないでしょう。まあ懲戒免職レベルだと再就職は大変だろうが、犯罪じゃなくミスならば、懲戒免職はなくないか? 犯罪またはそれに類する行為なら、するほうが悪い。悪質なくらいTPOわきまえない人間に仕事ができるとは思えない、って言われても仕方がない。


 で、初心者マークの母親と初心者マークの父親がいて。女性側からは「いっしょに考えよう」「一人より二人で意見を出し合おう」「有識者に聞きに行こう」あたりの共同作業を求められているんじゃないんだろうか?

 あるいは、「当事者意識を持って自主的にできることを探してくれ! もういっぱいいっぱいなんだ!」かもしれない。


 ここでも、求められているのはコミュニケーションなんだよね。

 赤ん坊に振り回されて何もできなかった、って落ち込んでいる初心者母に、「部屋散らかってんな」ってトドメ刺すことじゃなく。

「お〜、今日も一日戦ったんだなお疲れさま! メシは俺、簡単なもんしか作れないけど、レンチンパスタとレトルトミートソースでいい?」

 みたいな、同志、戦友としての応答が求められているのではないのか。

 部屋散らかってるのが気になるなら、拾って籠に入れとくだけでもいいじゃないか。掃除機かけられなくても、それだけでだいぶ印象が変わる。床に落ちているものを拾うくらいは、男女の能力関係ない。できるよね、誰でも? できないなら、相手だけに求める自分の胸に手を当ててもらいたい。そんなこともできないくらい疲れているのが自分だけだとでも? そんなこともできないくらい、配偶者が疲れているとは思わないのか?

 それくらい疲れている配偶者の仕事を肩代わり、できるんじゃないのか? 会社の仕事と違って、家庭の仕事は父親がやっても、母親がやっても構わない。なんなら育ってきた子どもが練習を始めたっていいんだから。外注もあり。


 自分の世話のついでにプラスアルファ、してくれればいいなぁって話。自分と配偶者二人分の夕食を作るとか、自分の服洗うついでにたまってる洗濯物、洗濯乾燥機に放り込むとか、自分が風呂入ったあとちゃちゃっと洗っておくとか。入る前に洗ってからお湯ためるのでもいいし。あなたの出す洗い物や洗濯物がちょっとだけだったとしても、慣れない上に責任重大な育児で疲れ果てている配偶者にとっては、「成人している配偶者であるあんたの世話までやれと?!」って青筋立つだろう。疲れ果てていれば。あるいは悪阻中とか、体調すごく悪い時。


 終わりが見えないワンオペなのがつらい。限界になれば父親に(安心して)任せられる実績があるとか、相手も父親として自分とともにがんばってくれていると感じられるとかがあれば、「この家庭に父親いる?」って思われないですむと思う。たぶん。

 子ども産んだばかりの母親という生き物は、生物学的に神経質なので、絶対とは言えないが。

 んで、その結果何もしない妻ができあがったら、離婚考えていいんじゃないの、別に。許しがたいと感じて、話が通じないなら。ホントに「何もしない」人かどうかはわからないけど。外で働いているひとが『家庭のことを顧みていないわけではない』ように。


「家事のやり方が違うって怒られたからやらない」っていうのは、やらないための理由探しだよね。「才能ない」のと「雑(明らかに真剣にやってない)」は違うし、それってわりと伝わるし。真剣にやってもできない人にやらせようという人はあまりいない。真剣にやってないふうに見えるから、バカにしてんのか? って眦釣り上げる。


 もちろん、家事育児を苦もなく行なっていて、配偶者にも手出しされたくない人だって存在する。人間の能力も考え方も様々だからね。そういう人にとっては、手伝いますってぐいぐいくる人より、一分でも多く働き、一円でも多く稼いできてくれる人のほうがいいかもしれない。それぞれ、各家庭で違う。

 違うんだから話し合おうよ。コミュニケーション。


 ワンオペ育児つらい奥さんを見て、旦那さん側のお祖母さんに手伝いを頼むのは、旦那さん的には自分の母親だから楽でしょう。でもお嫁さんが、お姑さんにとても気を遣う人だった場合、この手伝いはかえって負担になる。気遣いっていうのは、旦那さんがお嫁さん側のお祖母さんに電話して助けてもらうことかもしれない。

 お嫁さんの親子関係が良好ならね。母親の手助けを求めるくらいならセルフブラック労働のほうがマシな人だっているかもしれない。

 だから、話し合いましょう。どんな手助けがほしいのか。助けてよ! って叫んだその時じゃなく、できれば子どもが生まれるより前に。つらいときになるべく楽にお願いしやすい方法を、話し合っておくのでもいい。


 配偶者が『やりたいけどできていない』部分はどこか。自分はそれを肩代わりする能力があるか。能力がないなら、他にどういう手段が選べるのか。たとえば、「まとまった時間眠りたい」っていう配偶者のSOSに対して、子どもを世話する自信がなくても、一時預かりの施設を調べて予約して連れて行くぐらいは可能じゃないか? 

 そうして真剣に寄り添ってくれる配偶者なら、「会社の仕事が繁忙期でごめん」って時にも、理解を示してくれるかもしれない。子どもが小学校に上がったら共働き復帰して、家計も支えてくれるかもしれない。

 まあすべてがそうではない。絶対に働きたくない女性もいるだろう。それでも働いてもらいたい働いてくれないなら、離婚を考えるのは選択肢の一つ。


 妻子を守る、ってそういう選択肢もあるはずなんたけどなぁ……、たぶん。




 ところで専業主婦とサラリーマンで皆結婚していた時代において、「夫が病気で働けない」「夫が働かない」とかの家庭、妻が働きに出てる気がするけどなぁ……。家事もしない夫となれば長時間働けないし、就職先の選択肢少なくて、パートや水商売になるけど。

 夫が病気で寝たきりの妻を介護、とかは美談として取り上げられるか、介護に疲れて殺しました……ってニュースになるか。いるんだろうけど、普段、あんまり目にしない。子育てと介護をして家事をしている女性は、取り沙汰されなかったのにね。子育てしない、家事しない、介護しない女性は取り上げられるけど。

 ありがちな日常はニュースにならないって理屈を考えれば、女性側の無償労働が『義務であった』のはなんとなく察することができそうよね……。


 まあわたしの周りが働き者の女性が多かっただけかもしれないし、時代は変わりつつありますけれども。

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