かがみよかがみ
かがみよかがみ
世界で一番うつくしいのはだあれ
お妃様のパロディです。
白雪姫は今回は登場しません。
かがみよかがみかがみさん
世界で一番うつくしいのはだあれ
この問を発すること自体
自信をなくしていることに
お妃様はまだ気づいていない
鏡の精はいかにして
お妃様のこころをほぐし
自信を回復していただいたらいいのか思案した
「世界で一番うつくしいのは
お妃様、あなたです」
お妃様は仮りそめのなぐさめを得て
満足そうに頷いた
お妃様とて鈍感ではない
本当は若い頃のようにはいかないことがたくさん
おしのびで
街に出かけては
イケてる年配のご婦人を観察しては
ああいうファッションなら私も似合うかも?
ああいう髪型なら侍女や美容師を呼ばなくても自分でキープできるかも
あのように背筋ピンシャン
カクシャクどころか元気もりもり
羨ましい限りじゃ
城に帰って
隠し扉の裏の隠し厨に入ると
「今も昔もアップルダイエットが効くらしい。どれ何個かあったはず。(冷蔵庫をガチャリ)ちょっとスカスカかのう。どれ、もったいないからアップルパイにしてみよう」
こう見えて
お妃様は凝り性
毎日アップルパイをこしらえては
ああでもない
こうでもないと
試食につぐ試食三昧
魔法の鏡の中の人も
いつの間にか
ぽっちゃりした
おばちゃんに
交代していた
「あ、あんただれ?」
鏡の中と外でぽっちゃりしたおばちゃんが向かいあって驚きあったのは
ここだけの秘密だ
この歳になると、どうしたってお妃様に感情移入してしまいます。