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72.「突然の事実と新しい場所での生活」

「ねえ? みんな、ちょっと気になることがあるんだけどいいかな?」

「なに? どうしたの相倉さん……」

「相倉君何か面白い発見でもあったのかい?」

「もしかして小鳥遊君の事ですか?」

「ううん……実はねー」


 私は、御崎さんたちに最近気になっている疑問を投げかけてみた。


 小鳥遊班に加わったルークランシェ王国のお姫様──メルア・フィオーナ・ルークランシェ・セレスティア・イーリスさん。


 こんな長い名前を全部覚えている人なんてなかなかいないんじゃないのかな? 

 私たちはメルと呼んでいる。というか彼女がそう呼んで欲しいと言ってくれたの。

 彼女は本当にどこかの御伽噺に出てくるようなお姫様で綺麗な金色の髪がとても魅力的でその外国人特有の美しさに女の子の私でも見惚れちゃう。


 そんな彼女が恋麗学園に転校してきたのは最近の事、例のプロジェクトの為に日本まで来たっていう話だけどルークランシェさんも小鳥遊君の恋人候補でもある。


 正直この学園に通う誰よりも高貴な身分でそこいらのお嬢様では到底太刀打ちができないほど……。


 そんなすごい人とお友達になれただけでもすごいのに彼女とはLIMEでやりとりをする仲でもある。


「私が気になっているのはね、メルのことなの」

「……ルークランシェさん?」

「あのお姫様がどうかしたのかい?」

「うん、あのね、彼女の小鳥遊君を見る目が何かちょっと怪しいなって思って」

「言われてみれば……」

「うむ、彼はあのお姫様とは仲が良さそうだね。一体どう言う経緯でステディな関係になったのかは確かに気になるところではあるのだけれど」

「でしょう? 小鳥遊君何か私たちに隠している気がするんだよね」


 どうも怪しい──仲が良すぎるって言うか、ただのクラスメイトってだけじゃ無いんじゃないかと思うの。


 私たち小鳥遊班の女の子とは親しい関係だけど、それとはなんか違う……。

 どう言うふうに説明すれば良いんだろう? 私の目から見ての特別な関係じゃないかなって疑わしい雰囲気が漂っている。


 疑問を抱いたのはこの間遊びに行った時の事、私たちはルークランシェさんと思いっきり遊んで、日本の文化を楽しむ彼女に色々な場所を案内してあげた。

 小鳥遊君はルークランシェさんのお付きのアイリス? さんと一緒にいて常に彼女のことを気にかけていた。


 自分が楽しむ事よりもルークランシェさんを優先していたし、私たちが気付いてないかと思っているんだろうけど、アクセサリーショップで何かを買っていたのよね。


 多分他のみんなも同じ様に気にかかってはいるんだろうけど、言い出すタイミングを掴めていないみたい。


「それで何だけど、その疑問を解決するために協力して欲しいことがあるんだ」

「協力して欲しいこと?」

「相倉君、やはり何か面白いことを考えているようだね。良いだろう私にできる範囲のことであるなら協力しよう」

「ありがとう藤森さん。他の子は嫌なら無理しなくていいからね?」

「あの……何をやるつもりなんですか?」

「それはねー」


 **


「理事長、今日は放課後にFクラス所属の【相倉麻奈実】さんが訪ねて来る事になっていますが」

「ええ、知っているわよ。何でも私にお願いしたいことがあるらしいのよね。大体のことは担任に話せば解決する問題なんだけど、直接理事長室まで訪ねて来るって言うことはそれだけ重要な用事なのでしょう。藤森さんから彼女が訪ねて来るというメールを貰ったし要件は直接会って話すそうよ」

「そうなのですか? わざわざ理事長を訪ねて来ると言う用事一体なんなんでしょうね」

「彼女が来たら少しだけ外してもらえるかしら?」

「はい、わかりました」


 生徒されたデスクに座り麻奈実が訪れるのを待つ歩美だった。



「ふぅ。緊張する……」

「私も理事長室には始めて来たので緊張します」


 私は御崎さんたちと一緒に理事長室の扉の前までやってくる。一旦深呼吸してドアをノックすると中から「どうぞ」と言う声が聞こえる。

 私は皆んなの顔をそれぞれに見て、頷いてドアノブに手をかけてゆっくりとドアを開く。


「ご機嫌よう」

「ごきげんよう。あなたを待っていたのよ。さあ、中に入ってちょうだい」

「はい」


 緊張した表情で理事長室に入りソファに座る。


「あら? この子達は?」

「ああ、私の友達です。私一人だと不安で来てもらったんです」

「藤森さん、あなたもいるのね」

「やあ、神崎理事長。ご機嫌はいかがだい?」


 理事長室へ来ても相変わらずな藤森さんに私たちは驚きながらそろそろと中に入ってる。


「立ち話もなんだし、あなたたちも座ってちょうだい。すぐに飲み物を準備するわ」


 理事長は冷蔵庫からジュースを取り出してグラスを四つ並べて注ぐ。


 私たちは緊張してジュースに手をつけられていなかったらまずは藤森さんが「飲まないのかい?」と声をかけてグラスを持ち上げた。


「「「いただきます」」」


 私たちはグラスに口をつけてジュースを飲む──甘い果汁の味が口一杯に広がる。


「それで? 今日はどんな要件があって来たのかしら」

「はい! あの今日は理事長にお願いと聞きたいことがあってきました」

「お願い?」

「はい、実は小鳥遊君の事で相談がありまして」

「まあ! 彼の事で相談? 一体何かしら」

「実は私たち男子寮に行きたいと考えているんです」

「男子寮へ? 何か特別な理由があるの」


 そう聞かれてしまうと言葉に詰まってしまう……。だって私の考えていることはちょっとした好奇心が混じっているのだから。


「小鳥遊君とルークランシェさんの仲が気になるのだよ。相倉君は」


 悩んでいると藤森さんが助け舟を出してくれた。ほっとしていると理事長は私の前に座るとコーヒーカップに口をつける。


「彼とルークランシェさんとの関係は機密事項ではあるのよね。だから学園側は安易に許可を出すわけにはいかないのよ」

「そうなんですか?」

「ええ、でも、いずれは分かることだしいつまでも隠し切れるとは思ってはいないわ」

「良いわ。これからルークランシェさんをここに呼びましょう。あとは小鳥遊君もね。全員揃ってから話の続きをしましょう」


 理事長の言葉に私たちはそれぞれびっくりしたようなリアクションを取るとすぐにスマホで彼に連絡を取り始めた。


 十分もたたないうちにルークランシェさんと小鳥遊君が理事長室までやってくる。


「神崎理事長、一体どういう要件なのでしょうか」

「まずは座ってちょうだい。話はそれからよ」

「相倉さん、隣に失礼するわね」


 メルは私の隣に座る──シャンプのいい香りがして綺麗な金髪がさらりと揺れた。小鳥遊君は頭に? マークを浮かべながら今の状況が理解できていないみたいだった。



「小鳥遊君、一応あなたの考えも聞いておきたいわ」

「はい、何でしょうか?」

「そうね、実は男子寮は元は学園を警備のする人が泊まるために準備した建物だったのよ。それを改装してあなたが住めるようにしたのだけど、今後の事を考えて学園は小鳥遊君の住む場所を別に用意する方針なのよ」

「そうだったんだ……男子寮ってそういう意味だったんですね」


 男子寮の存在は聞かされていたのだけど、私たちは理事長の許可なしで気軽に訪れるようなところでは無いし、と第一場所もわからない。


「女子寮に新しく併設された建物があるのは知ってる?」

「はい、気になって色んな人に尋ねてみたんですが、理事長の許可がないと話せないって言われました」

「そうね、実はあの建物は今回小鳥遊君の住む場所として新しく利用する事にしたの」

「それはどうしてですか?」


 理事長は小鳥遊君とメルの顔を交互に見る。


「あの狭い部屋に同棲していたらルークランシェさんも窮屈でしょう? それに小鳥遊君だってゆっくりと休める場所は必要なはず」

「待って下さい、話が見えないんですが……」

「黙っておいてもいずれはバレちゃうことなのよ。だからもう隠すことはしないように決めたわ」

「今彼女は男子寮で小鳥遊君と同棲しています」

「「「「同棲!?」」」」


 一同は驚いて二人の顔を見ると──小鳥遊君は苦笑いを浮かべつつ「実はそうなんだ」と理事長の言葉を肯定する。


「ルークランシェさんが学園に転入する為の条件でもあったのよ。彼女がどうしても小鳥遊君と同じ部屋で暮らしたいと。だから学園側がその希望に沿って男子寮の部屋を提供したのだけど、あの狭い場所での同棲なんてお互いにストレスが溜まるんじゃないかと考えたの」

「だから女子寮の横にある棟を今後は小鳥遊君の住む場所として利用する事にしたの、彼には近いうちに私から連絡をする予定だったけどその手間が省けたようね」

「あなたが今住んでいる男子寮が今後は取り壊す事になるわ」

「そして小鳥遊君の住む棟に女子生徒が訪れる時に学園の許可は必要なくなるわ」

「私はねもっと彼と学園の女子生徒と交流を深めてほしいと思うのよ。だから今回新しい住居を用意して他の子たちが行きやすい場所を提供したの。今後ルークランシェさんのお部屋は彼とは別になるのだけど同じ棟に住むことになると思うわ。規模感で言えば女子寮よりも豪華かしらね」

「そうだったんですね」

「ええ、プロジェクトを成功させる為に学園側は最大級に環境を活かす必要性があるの。ごめんね。せっかく同棲にもなれてきたのに急にこんな話をして」


「いえ、僕は平気です。じゃあこれから引っ越しをするってことですよね?」

「そうなるわね。ルークランシェさんの荷物を棟へ運ぶのは今週の土日になるかと思うわ。そこで小鳥遊君も新しい部屋に移る予定になるかしら」


「あのっ! 一つ聞いても良いですか?」


 今まで黙っていた牧野さんが声を出す──いつもより大きな声だったからみんな彼女に注目する。


「その棟に私が住む事って可能なんですか?」

「えっ……?」


 面をくらったような顔をする小鳥遊君をじっと見つめて牧野さんは理事長に尋ねる。



「ええ、可能よ。そうなると今の女子寮から移ってもらう事になるとは思うけれどそれであなたが平気なら。ただし、部屋を移る際は学園側に申請は必要になるわね」

「……そうですか。ならお願いしても良いですか?」

「大丈夫よ。その前に、あなたの所属クラスと名前を聞かせてもらえるかしら?」


「Dクラスの牧野栞と言います」

「牧野さんね、すぐに申請書を準備するからそれに記入してもらえるかしら」

「はい」


「何だかすごいことになっちゃったね」

「そうね」

「御崎さんはどうするの?」

「えっ……?」

「あなたも小鳥遊君と同じ棟で暮らすの?」

「あたしは──」


 御崎さんは間を置いて考えている。牧野さんが申請用紙を記入している最中私も考えをまとめる。


「あなたはどうするの藤森さん?」

「私も申請用紙をもらえるかい? こんなに魅力的な話は他に無いと思うからね。小鳥遊君とはもっとステディな関係を築いていきたいと考えていたんだ。同じ棟で暮らせばお互いに信頼関係を築く事だってできるだろう。こんなチャンスを見過ごすのはもったいないんじゃないかな?」


 藤森さんはちらりと御崎さんに視線を送るとまだ悩んでいる彼女の背中をポンと叩く。


「すみません……あたしにも申請用紙ください」


 御崎さんも決めたみたいね、こうして小鳥遊班の女子が彼と同じ棟で生活することになった。


 もちろん私もみんなが書き終わった後に申請用紙をもらった。私たちの荷物は棟に運ばれる手続きがとられる。


 そして理事長はこの後学園集会で今回の件を説明する。

 小鳥遊君と同じ棟で生活する女の子は希望性で絶対に選ばないといけないわけじゃない、けれど、他の子たちがその条件にどれほどまで魅力を感じるかは個人差があるけれど、私たちは彼と同じ空間で暮らせることに幸福感を抱いていた。

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