49.「これから先に起こる出来事は今までに体験したことがないものになるでしょう」
小鳥遊君たちと一緒に遊んでわたくしは女子寮の自分の部屋に戻りました。
彼がゲームで取ってくれたぬいぐるみを机の上に置いてベッドに倒れ込みます、生まれて初めて体験した出来事にまだ興奮が冷めないんです。
ああ言うところでお友達と遊ぶと言うのは今までで一度たりともありませんでした。
本当に気兼ねなく接することができる友人──そんな存在に憧れていましたの。
もちろん高校生になるまで仲が良い友達がいなかったわけじゃありません。ですが、大抵の人はわたくしの立場や生まれ育った家柄を羨んでいる人ばかりでしたの。
わたくしと仲良くするのは自分の実家の為、好きで友人関係を続けているではないと言うのは分かっていました。ずっと周りからそういう扱いをされてきたのですから……。
小阪の名前を聞いたら態度を変えてわたくしにぺこぺこと頭を下げる様子を見ると彼女たちの本心を知る事ができるのでした、中学生の頃はわたくしの取り巻きみたいな子がたくさんいて結局あの子達は【小阪亜理紗】と友達だということを周りに自慢したいだけ──わたくしと対等な立場で人間関係を築いていきたいだなんて微塵も思っていないはず。
「小阪家の女性は常に周りを惹きつける存在でないといけません。その意味が亜理紗には分かるかしら?」
幼い頃からお母様に言われ続けた言葉──子どものわたくしには深い意味を理解するのは難しいことでしたが、母に倣って素敵な女性になろうと努力しましたわ。
まずは言葉遣いや作法を徹底的に学ばされました、食事のマナーや礼節に至るまで今思い出すと辛いことばかりでした……。
それでも周囲の期待、お母様の期待に応えたいと弱音を吐く事も無くやり続けました。
そんな生活が続いていよいよわたくしが高校へ進学すると言うお話が小阪家で話題に上がった時に海外への留学や名家の方とのお見合いの
、そう言ったことも問題になり、お母様は小阪家の親族の人たちとわたくしの将来について話していました。
実はわたくしには姉妹がいますの、姉と妹とわたくしの三姉妹。
妹はわたくしとは正反対の自由な性格をしていて、周りからはあまり良い評価をされていない事を知っていますが、それでも明るく振る舞って家柄に捉われず自分の好きなようにやりたい事をしてますの。
古臭い小阪家の伝統等にいつもうんざりしている様子でした、妹はわたくしと一歳しか歳は変わらなくて来年には受験を控えています。
あの子の進路はわたくしは聞いていないのでどこの学校に通うのか未だにわかりませんの……。
妹との仲は悪くありません。むしろわたくしはあの子みたいに自分に素直で前向きになれたら良いなぁと思っています。
わたくしやお姉様が厳しい躾を受けているのを間近に見ていたので妹とは子どもの頃から自分の将来をしっかりと考えていましたわ。
いつか本当の意味で家族と向き合わなくちゃいけない日が来る。その時にわたくしはどういう選択をするのかしら?
お父様とお母様は常に将来の事を考えていてわたくしや姉妹に様々な経験をさせる事で人間としての成長を促すつもりなのでしょう。
後継者問題が囁かれる中でお姉様は名家の方といくつかのお見合い話がきています。お互いの利害が一致して、名門の家系同士で結婚をすれば小阪家の地位も更に揺るぎないものとなるでしょうね。
両親に反発せずに生きてきたわたくしとお姉様のこれからの将来はどういう風になっていくのか予測ができません。
ただ、妹はそんな状況からひとりで抜け出して自由に生活している──それがとても羨ましく感じると共にわたくしも自分の事を決めてもいい頃合いなのかもしれません。
学園に通っている目的、そこは忘れることがないようにしておかないといけませんわね。




