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トナカイとリリーのダンジョン探索 その七

 敵の魔法により無力化されたリリーであった。

 

「おらぁぁ!」

「なかなか激しい攻撃なのよ!」

「封印のダンジョンのボスと思われる敵と、かっこよく戦うトナカイ。愛用の棒で敵の攻撃をさばいているが、決め手に欠ける状況が続いている」

「チッ……意外とやるな。だが、弱体化の効果が効いているようだな!」

「弱体化のおかげでいつものように戦えないのよ。これはちょいと厳しいのよー」

「このダンジョン内は、弱体化の魔法が常に働いており、挑戦者の力を大きく削っていた。これが封印のダンジョンと呼ばれる所以である。それだけでも難易度が跳ね上がっているのだが、更に厄介なのが」

「食らえぃ!」

「おっと! 今のは危なかったのよー」

「敵が使う魔法の光線だ。これを受けてしまうと、弱体化が極限まで高まり、指一本動かせなくなるのだ。今の私のように」

「さっきからゴチャゴチャうるせぇよ!」

「やる事がないからナレーションしてる」

「鬱陶しいからやっぱり先に殺すか」

「!? さすがに今の状況で攻撃されたら死ぬ……助けてトナカイ!」

「リリーをいじめたらあかんのよ?」

「トナカイが一瞬で、私をかばう位置に来てくれた!」

「くっ、こいつ……急に動きが良くなりやがった。さっきまで加減していたのか?」

「ちょーっと作戦タイムなのよ!」

「何言ってんだお前……まぁいいだろう。三十秒だけ待ってやる」

「リリー、ちょいと小さくなるのよ」

「えっ……わかった。このくらいでいい?」

「うむ。よいしょっと」

「こ、これは! 久しぶりのお姫様抱っこでは」

「どうみても赤ん坊を抱きかかえる着ぐるみだな」

「……ちがうもん。か弱いレディを優しく抱きかかえるトナカイなんだもん」

「リリーが拗ねちゃったのよ。とりあえずこのまま戦うのよ!」

「ほう、片手が使えない状態でやりあおうって言うのか。面白い、いつまでその格好が保てるか試してやるよ!」

「トナカイ、私に構わず敵を倒して!」

「そういう割に、しっかりトナカイにしがみついてるのよリリー!」

「戦いながらもイチャつくとか、舐めるにも程があるだろうが……もう出し惜しみなしだ。ダンジョンコアとガーディアンが融合し、自らダンジョンマスターとなったこの俺様が限界まで魔力を使えば……」

「急に説明口調になったのよ?」

「しーっ! きっと今、あのボスの見せ場なんだよ。黙って見守ってあげるのがマナーなんだよ!」

「そう思うなら、せめて声量を抑えろやぁぁ!」

「なんとっ!? 人間サイズの鎧人形みたいなのがいっぱい出てきたのよ!」

「ダンジョンを構成する魔力のほとんどを、ガーディアン生成に回した。全てのガーディアンが俺様と同じレベルの強さだ。さぁ、せいぜい足掻け!」

「むひょーっ、多すぎるのよ!? トナカイの目算で四桁はいるのよ!」

「トナカイ、さすがに盛りすぎだよ。どうみても三桁しかいないよ」

「お前らの目は節穴か? ガーディアンは百体しか出しとらんわ! いや百で十分多いだろうが!」

「むふー、冗談なのよー」

「私が言った三桁で合ってるじゃん!」

「……ガーディアンども、あいつらを始末しろ!」



 トナカイとリリーのボケにツッコミきれなくなったダンジョンマスターであった。

 迫り来るガーディアン達とトナカイの死闘が今、始まる!

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