トナカイとリリーのダンジョン探索 その六
しばらくボス部屋っぽい扉の前で休憩した後、元気よく先へと進むトナカイたちであった。
「死ねぇぇい!」
「あぶなっ!?」
「おっふぅ!?」
「よりにもよって俺様の部屋の前で延々とイチャコラしやがってぇぇ!! なぶり殺しにしてくれるわ!」
「何のことかさっぱり分からない。それよりよくもトナカイを……骨も残さない!」
「まさか部屋に入ったとたんにぶっ飛ばされるとは思わなかったのよぉ……あとリリー、トナカイ別に死んでないのよ? 『トナカイの仇!』とか叫びながら戦うのはどうかと思うのよ」
「封印の力が効いていないのか? まさか俺様相手にここまで粘るとは……」
「はぁ……はぁ……さすがボスだけあって強い。でもトナカイを弔うまで死ねないんだっ!」
「リリー、多分なんけど、本気でトナカイ死んだとは思ってないんよね? 口調が芝居がかってるのよ」
「今トナカイの仇を取る大事なシーンだから、トナカイは静かにしてて!」
「えぇ……そんじゃトナカイそこで転がってるから、気をつけて戦うのよー?」
「コケにしやがって! これでも食らえぃ!」
「!? その光線はあかんやつなのよ、リリー避けるのよ!」
「えっ……くあぁぁっ!?」
「弱体化の効果を極限まで高めてやった……もはや指一本動かせまい!」
「ぐ……油断しすぎた。体が動かない」
「お前は最後に始末してやる。そこで未だ転がっているふざけた野郎が死ぬのを、指をくわえて見ているがいい!」
「……ふっ、私は四天王の中でも最弱の存在。私を無力化したくらいで調子に乗らないほうがいい」
「何なん四天王って……ここに来てるの、トナカイとリリーの二人だけなのよ? 弱体化しすぎて発言が頭弱い子みたいになってるのよ……恐ろしい効果なのよ!」
「いや、さすがにそんな効果はねぇよ。下げるのは魔法と戦闘に関する能力のみだ」
「そうなんねぇ。そんならリリーは……」
「トナカイ、お願いだから可哀想な子を見る目をやめて。ちょっとテンションがおかしかっただけだから……もう治ったから!」
「リリー、落ち着くのよ。リリーの言動がなんか変でも、トナカイの大事なパートナーであることに変わりはないのよ!」
「トナカイ……」
「リリー……」
「お前ら……俺様を無視したあげくイチャコライチャコラと……絶対に生きて返さんぞ!」
「何だかすんごく怒ってるのよ!?」
「トナカイ、それは多分嫉妬ってやつだよ」
「やかましい!」
「トナカイとボスらしきものが激しい戦いを繰り広げてる」
「見た目に反してなかなかやるじゃないか」
「さすが、リリーが苦戦するほどの相手なのよ。トナカイもちゃんと戦わないと危ないのよ!」
「お前も極限まで弱体化してくれるわ!」
「あっ、トナカイが弱体化光線を「トナカイ必殺、ブレス逸らしなのよ!」逸らし……ぴゃぁぁこっちに飛んで来た!?」
「はぁ!? おかしいだろうが……俺様の魔法はブレスじゃねぇよ!」
「ダメ元でやってみたら、意外といけたのよ!」
「光線がちょっと掠った……ちなみにトナカイは、私の全力ブレスですら逸らすからね」
「見たこともないお前のブレスを基準に言われても、分からねぇよ!」
リリーの力を封じられ、窮地に立たされたトナカイたち。
二人は生きて帰ることができるのか!




