トナカイと肝試し
「今日は恒例の肝試し大会だよっ!」
「ちなみに今回が第一回なのよ」
「今回は来れそうな知り合いを全員呼んだ、豪華バージョンだよ!」
「アクアと黒トナカイが来てくれたのよ。知り合い、片手で数えられるくらいしかいないのよ」
「……」
「どしたんリリー?」
「トナカイ! 一々ツッコミが冷静すぎるよ! こう、もっと……ほらっ! いつもみたいにテンション上げてよ!」
「トナカイあんまり肝試し好きじゃないのよー」
「えっ……? もしかして、トナカイ……ふふっ、お化けとか怖いの?」
「ふむー、トナカイお化けとかあんまり好きじゃないのよ!」
「そ、そうなんだ。トナカイってあんまり、見栄を張ったりしないよね」
「トナカイはいつも自分に正直なのよー」
「ちょっと! いつまで待たせるのよ!」
「……」
「それじゃ、早速ルールの説明をするよ!」
「「おー!」」
「この森の中を進んで、奥にある祠の前に置いてある、ミニトナ人形を取って戻ってきた人が優勝だよ!」
「……肝試しって、競う要素あったっけ?」
「今考えた」
「そうなの……まぁいいわ。それじゃ、早い者勝ちね!」
「あっ、アクアがフライングしたのよ!」
「さすが泥の精霊汚い! 姑息さに定評がある!」
「う、うるさいわよっ! 勝てばいいのよ! あと私は泥じゃなくて水の精霊よぉお!」
「……」
「……まぁ少しくらいハンデがあってもいいよね。それじゃスタート!」
「リリーのことだから、一筋縄で行くはずがないわね。気をつけないと……」
「……薄暗いわね。精霊にとっては暗さなんてあまり意味ないけどね?」
「……あ、あれはっ!?」
「キャァァアア!?」
「……遊びに呼んでもらった」
「……これが、友達? ちょっと、うれしい」
「……! あれは……」
「……! ……!?」
「私が開催したみたいになってるけど、この森の仕掛けは全部トナカイが手がけたんだよね……」
「あっ、あれはミニトナ人形! あれ? ここまで特に何も無かった……まぁいっか!」
「ミニトナ人形げっと! あとは戻るだけ……!?」
「ミニトナ人形が勝手に動いた!?」
「何かを指し示してる……ん? よく見たらミニトナ人形があった場所に張り紙がある」
『ミニトナ人形を持ったらお化けが出るのよー』
「っ!? お、お化けなんているわけが……」
「うらめしやーなのよぉぉ」
「ぴゃぁぁぁああ!!?」
「おもてもめしやなのよぉぉ!」
「ま、まさか本物のお化け!? 私の爪で成仏させてあげる!」
「足元がお留守なのよ」
「へぶっ!? このお化け……できる!」
「めしやーなのよぉぉ」
「爪が当たったはずなのに手応えが全く無い!? こ、こんなの、倒しようがないよぉ……」
「当たるギリギリでかわしてるからそう見えるだけなんけど……隙ありなのよー、ていっ」
「きゅうっ……」
「結局誰も、ミニトナ人形を持ち帰ることができなかったのよー」
「「お化け……怖い……」」
「黒トナカイ以外はすっかりお化けが苦手になっちゃったみたいなのよー」
「……」
「黒トナカイは全然動じてないの……およ? 気を失ってるのよ……黒トナカイは、大人しいから、今まで気づかなかったのよぉ」
あまりにもリリーもアクアが怖がっていたので、仕方なくお化けの正体を明かしたトナカイ。
その後二人に簀巻きにされるトナカイであった。




