リリーのお菓子作り
「トナカイーっ!」
「どしたーん!」
「クッキーが、食べたいーっ!」
「そうなーん!」
「作ってトナカーイ!」
「分かったのよー!」
「……なんでそんなに勢い凄かったん?」
「特に理由はないよ。何となく勢いをつけてみただけだよ」
「そうなんねぇ。そんじゃ、クッキー作り、スタートなのよ!」
「おーっ!」
「まずは材料を用意するのよー」
「わかった!」
「うむ、これくらいなのよー……リリー、それ何なん?」
「ほら、やっぱり大好物は入れるべきかなって」
「……リリー、今回作るの、お菓子なんよね?」
「うん、クッキーだよね」
「今までお肉入りのクッキーとか、食べたことあるん?」
「ないよ?」
「うむ、つまりそういうことなのよ!」
「なるほど……つまり、独創的ってことだね!」
「違うのよ! 何でもかんでもお肉を入れたらおいしいってわけじゃないのよ!」
「えーっ!?」
「とはいえ、チャレンジ精神は大事かもしれないのよ。お肉入りも試しに作ってみるのよ」
「わーい!」
「次に、材料を混ぜるのよー」
「分かった! えいっ!」
「ちなみに、一気に混ぜるより少しずつ……もう遅かったのよ。まぁいいのよ!」
「えっ……うん、頑張って混ぜる!」
「うむ、そのくらいでいいのよー。そんでもって、この粉を入れてー、ぐりぐり混ぜるのよー」
「ふむふむ、ぐりぐり……何だか水気が少なくなった気がする」
「んー、そろそろいい感じなのよ! 混ぜてできたやつの形を整えてー、しばらく休ませるのよー」
「料理も休むんだね……私も少し休もう」
「うむ……リリー? トナカイによじ登ってどうしたん?」
「えっ、休むならトナカイの上かなって」
「そうなん? そんじゃトナカイもしばらく転がってるのよー」
「小さくなって、トナカイのおなかの上で寝そべるのが、私のマイブームなんだよ!」
「そうなんねぇ」
「……あれから数時間経ったのよ」
「すやぁ……すぴー……」
「リリーは寝付きがいいのよ。なでなで……」
「ふにゅ……えへへ……」
「このまま寝かせてたら、明日になっちゃうのよ……仕方がないから起こすのよー。リリー、起きるのよー!」
「うーん……あと五年」
「長すぎなのよ!?」
「おはようトナカイ……」
「やっと起きたのよー。そんじゃ、クッキー作りを再開するのよ!」
「おー」
「休ませてたやつをゴロゴロして平らにするのよー」
「ゴロゴロ……どう?」
「うむ、いい感じなのよー。そんじゃ、型抜きするのよ!」
「いろんな型があるんだね? お、これトナカイの頭みたい」
「むふー、ドラゴンをイメージした型もあるのよー。ぽんぽーんっと!」
「よいしょ、よいしょ」
「むふー、あとは焼くだけなのよ!」
「おー、意外と簡単かも!」
「むふー、お菓子作りはそれほど難しくないのよー。余計なものを入れようとしなかったら……なんけど」
「ん? 最後の方があんまりよく聞こえなかったけど」
「なんでもないのよー。ささ、焼くのよ!」
「おー!」
「「できたー!」」
「やったよトナカイ! サックサクだよ!」
「うむ、おいしいのよー。クッキーのお肉乗せもダメ元でやってみたけど、絶妙なバランスなのよ!」
「うん、やっぱりお肉は何にでも合うんだね!」
「それは違うのよ」
「えっ……「リリー、今回は奇跡が起きただけなのよ。なんでもお肉混ぜたらあかんのよ?」わ、わかった」
トナカイにおいしいお菓子を作ってもらおうとしていたのに、いつのまにか自分で作らされていたリリーであった。




