表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/100

トナカイの限界チャレンジ

「ねぇトナカイ」

「どしたんリリー?」

「トナカイの創造の力って、なんでも作れるんだよね?」

「うむ、大体のものは創れるのよー」

「例えば、生き物とかは作れるの?」

「頑張ったらできる気がするのよー? でも何となくアカン気がするから創らないのよー」

「そうなんだ。じゃあ、大きさはどのくらいのものが作れるの?」

「んー、あんまり試したことないのよー」

「トナカイ、気になることはー?」

「試すのよリリー! さっそく色々創ってみるのよ!」

「おー!」



「何を創るか決めるのよー」

「じゃあ、家とか」

「わかったのよー! よいしょーっ!」

「おぉー! 二階建ての家が出てきた!」

「家具とかもつけてあるから、すぐに住めるのよ!」

「すごいよトナカイ! ちょっと中を見てくる!」

「どうぞーなのよー」

「ふかふかなベッドに、お風呂、トイレ付きで、何より調理場がやたら立派だったよ!」

「むふー、トナカイがリリーと暮らすことを想定して創ったのよー。いろんな料理を作れるようにしておいた方がいいと思ったのよ!」

「!? ということは……この家はトナカイと私の、愛の巣ということに……ごくり」

「そんじゃ、このお家はそろそろしまうのよーいしょーっ!」

「あぁっ……」

「んー? どしたんリリー?」

「な、何でも、ないよ……」

「むふーっ、トナカイとリリーに、まだお家は早いのよ! もっといろんなところを旅して、いろんなものを見て、楽しいことを探すのよ!」

「うん……そうだよね!」

「うむ!」



「次はー、何を出したらええのん?」

「うーん、じゃあ適当にお城でも」

「リリー、飽きて内容が適当になってるのよぉ……」

「そ、そんなことないよ? ほんとだよ?」

「まぁいいのよ。よいしょーっ!」

「おー、何だかお城っぽい!」

「お城の中ってどうなってるのかよく分からなかったから、適当にお菓子を詰め込んでおいたのよー」

「えっ!? この中、全部お菓子が……うわっ、ほんとだ」

「ちなみに、賞味期限は無限大なのよ! 気候の変動にも負けない最強の保存食になるのよ!」

「無駄に高性能!?」

「まさか、こんなに大きなお城まで出せるなんて……トナカイの力ってすごいよね」

「むふー、でも創造の力に頼ってばっかだと、あんまり良くないのよ。自分でできることは自分でした方が、達成感とかあっていいのよ!」

「そういうところ、真面目だよねトナカイ。でも、確かに何でも簡単に出来ちゃったら、面白くないもんね」

「うむ!」



「……ん? 何かが向こうから走ってくるよ?」

「んー? そうなん?」

「急におかしな城が出現したぞー! もしや隣国の侵略行為か!? 野郎ども、追い返すぞ!」

「「おぉーっ!」」



「「……」」

「トナカイ……あれ、明らかに私たちを敵と思ってるよ」

「うむ、多分説明しても分かってくれないのよ。こんな時はー?」

「「逃げる(のよーっ)(よっ)!!」」



 ある国の片隅に突如姿を現した巨大な城。

 その中に人はおらず、見たことのない食料が大量に詰まっていた。

 飢餓で苦しんでいたその国は、神からの贈り物だとたいそう喜び、国の者全員で仲良く分け合ったそうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ