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リリーとトナカイダンジョン その一

「トナカイ、これは?」

「トナカイ特製のダンジョンなのよ!」

「えっ……ダンジョンって、作れるの?」

「普通のダンジョンみたいなコアはないのよ。どちらかというと、ダンジョンみたいな娯楽施設って感じなのよー」

「そうなんだ。そういえば最近よくいなくなると思ったら、これを作ってたんだね」

「うむ! このダンジョンは安全設計なのよ! このダンジョン内で死んだら、身ぐるみ剥がされてから入り口付近で復活できるのよ!」

「身ぐるみは剥がされるんだ……ん? 復活できるとはいえ、死ぬような仕掛けがあるって事だよね」

「うむ、だから油断しちゃだめなのよー。そんじゃ早速リリーに踏破してもらうのよ!」

「頑張る!」



「……見た感じただの洞窟だけど、トナカイが作るものに普通なんてあり得ないもんね。気をつけないと」

「リリー選手、慎重にダンジョンを進んでいるのよー」

「!? 何処かからトナカイの声がする!」

「実況のトナカイなのよ!」

「解説のトナカイもいるのよ!」

「……まぁいっか」

「ダンジョンの序盤は罠ゾーンなのよーっ」

「そういうのは教えてくれるんだね。気をつけて進まないと」

「リリーの足元がお留守なのよーっ」

「ふぎゃっ!? 今トナカイが直接攻撃してきたよね! そんなのアリなの!?」

「今のは罠トナカイなのよー。たまに出てくるから注意なのよ」

「それは罠って言わないと思う……ん? 転んだ先にあるスイッチを手で押しちゃってる「あっ、それ危ない罠なのよ」なんか飛んできたっ!?」

「おぉーっと、リリー選手、飛んでくる矢を華麗に避け続けてるのよーっ!」

「矢がっ、どんどん! 飛んでくる!」

「ダンジョンの罠としては一般的な、矢が飛んでくる罠なのよー。もちろんトナカイ特製の矢だから、当たったらリリーでも無事では済まないのよー」

「容赦ない!?」



「……や、やっと矢が飛んでこなくなった。これは本気でやらないと本当に死ぬかもしれない」

「死んでもちゃんと復活できるのよー」

「身ぐるみ剥がされて復活とか嫌すぎるよ! 絶対生きて踏破してやるんだから!」

「あ、ちなみにドラゴン化は出来ないように制限してるから気をつけるのよー」

「えぇっ!? 私のオリジナリティが……」

「そんな所でドラゴン化されたらダンジョンが崩壊するのよ!」

「うぐっ……た、確かに」

「なんて喋ってると足元がお留守になるのよー」

「甘いっ! 何度も足払いを受けたりしないよっ!」

「おぉーっと、リリー選手罠トナカイの足払いをジャンプで避けたのよ!」

「うーん、そこでジャンプするのは悪手なのよー」

「!? 蜘蛛の糸に捕まった!?」

「さっきの足払いはジャンプさせるための囮なのよー」

「ぐっ……ネバネバして抜けづらい」

「早く抜けないと大変なことになるのよー」

「!? 何かがゆっくり近づいてきた!」

「蜘蛛トナカイなのよー。獲物を食べちゃうのよー」

「ここにもトナカイが!? わ、私を拘束して美味しく食べようとするなんて……」

「リリー? 何で顔を赤くしてるんか分かんないけど、早く抜けないとゲームオーバーになっちゃうのよ?」

「このまま捕まっていたらどうなってしまうのか気になるけど……やっぱりこのダンジョンをクリアしたい! えいっ!」

「おー、何とか糸から抜け出したのよー。ちなみにあのまま捕まってたら、捕食用ハルバードでぷちっ、だったのよ」

「怖!?」



 リリーはトナカイダンジョンを、無事に踏破できるのか!

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