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トナカイとリリーの冒険記録

「リリー!」

「どうしたの? そんなに慌てて」

「リリーとトナカイのお話が百話達成なのよ!」

「うん? 何それ?」

「実はトナカイとリリーの冒険は、所々文章として記録および公開されていたのよ!」

「えぇぇーっ!?」

「トナカイも気付かないくらいすごい魔法で、そんなことが秘密裏に行われていたのよー」

「なんて事……私とトナカイのあんなシーンやこんなシーンが、晒されていたなんて!」

「リリーが想像してるのがどんなシーンなのかよく分かんないけど、そういう事なのよー! この前異世界に行く過程で、偶然発見したのよー」

「ち、ちなみにそれ、どうやって見るの?」

「少し待つのよー……ほいっ! トナカイ特製の魔道具で、記録を読み込んで見るのよ!」

「おー、どれどれ……ぴゃぁぁ!?」

「リリーがどこからか取り出したお布団の中に籠っちゃったのよ」

「あぁぁぁ黒歴史が……ぁぁ」

「リリー」

「ぁぁぁ……何?」

「心配はいらないのよ」

「えっ?」

「あんまり他人に見られた形跡はないのよ!」

「それなら恥ずかしくはない、かな?」

「うむ、だからお布団から出てくるのよー」

「わかった」




「……よく見たらこれ、幕間も数に入ってるんだね」

「恥ずかしがりながらもしっかり全部読んだのねぇ」

「それはいいのっ! 最初にトナカイが百話とか言ってたけど、その数え方で合ってるの?」

「むふー、トナカイそこまで考えてなかったのよー」

「そっかぁ、まぁいいけど。でも、これからも見られ続けるのって何だかなぁ……」

「そんなに心配しなくても、誰も興味なんてないのよ!」

「それはそれで、何だろう……何とも釈然としないなぁ」

「トナカイたちの物語はトナカイたちのものなのよ。他人の評価を気にしてても仕方がないのよー」

「トナカイ、たまにまともなことを言うよね」

「むふー、思いついたことを言ってるだけなのよ!」

「とはいえ、見られている可能性を心の底に抱きながら生活するのは、何だか嫌だよトナカイ!」

「そうなーん?」

「うん、こう、心置きなくトナカイをもふもふ出来ない気がする」

「ふむー、それは大変なのよー」

「と、いうわけで何とかしてトナカーイ!」

「まっかせるのよーん」




「できたのよー!」

「おーっ、これは……仮面?」

「うむ、この仮面は認識阻害の機能を持ってるのよ!」

「おーっ、何だか凄そう!」

「早速つけてみるのよー」

「わかった……つけたよ?」

「成功なのよ!」

「おーっ、どうなったの?」

「声しか認識できないのよ! トナカイはリリーの魔力が見えてるけど、普通の人には全然見えないと思うのよ!」

「すごいねっ! これで何も気にせずトナカイをもふもふできるよ」

「むふー、よかったねぇ」

「うんっ!」

「さっそくリリーがもふもふしてるのよー」

「えへへ……トナカイとくっつき放題……うふふ」




「……トナカイ」

「どしたんリリー?」

「確かに姿は隠せて街の中でも堂々ともふもふできるけど……」

「うむ、くっつきすぎて飽きたん?」

「そうじゃないよっ! よく考えたら公開されてるの、私たちの会話じゃん!」

「そういえばそうなのよー」

「だめじゃんっ! 姿が見えなくなるだけじゃ意味ないじゃん!」

「ありゃー、トナカイうっかりしてたのよー」

「もうっ、トナカイはうっかりさんなんだから……」

「そんじゃ、別の方法をとるのよー」

「どうするの?」

「記録を妨害する魔道具を創るのよー」

「おーっ、何だか凄そう」

「ほいっ、これなのよー」

「何かのスイッチみたいだね」

「うむ、これをぽちっと押すと、発動するのよー」

「なるほど。それじゃ早速、押すよ?」

「うむ、景気よくいくのよーっ」

「せーのっ、ぽちーっ!」




 ここでトナカイとリリーの冒険記録は途絶えている。

 しかし記録の魔法が全て阻害されたわけではないことを、二人は知る由もなかった。

 またどこかでトナカイたちの冒険が記録されるのだが、それはまた、別のお話。


 トナカイとリリーの物語にお付き合いいただきありがとうございました。

 ダラダラと思いつくがままに書いていましたが、百で切ることにしました。

 もしかしたらまた新たな物語として書くかもしれませんが、その時はまたチラリと見ていただけると喜びます。

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