表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/100

トナカイにお小遣いをあげたら

 冒険者となって世界を旅するドラゴン娘リリーと、森の精霊トナカイ。

 面白いものや新たな発見を求めて、今日も旅を続けるのであった。

「リリー、今日はいっぱいお魚がとれたから、お昼はお魚料理なのよ!」

「おー凄いね。でも、この近くに川とか海なんてないよね? どこでとってきたの?」

「あそこなのよ!」

「あ、あれは……!?」

『鮮魚店くじら』

「「……」」

「トナカイ、あれって……」

「なんと……お金を渡すだけで、いっぱいお魚がいる場所に連れて行ってくれるのよ! しかも、お金をいっぱい渡したら、その分いっぱいお魚をとってもいいのよ!」

「……もしかして、そのお魚って、氷の上で寝てなかった?」

「さすがリリー、物知りなのよ! 普通お魚って、川とか海の中を泳いでるのに、そこのお魚は氷の上で寝てたのよ!」

「なんでこんな平地に一件だけ鮮魚店が……ちなみに、どのくらいのお金を渡したの?」

「トナカイのお小遣い全部よ!」

「ぜん……ぶ? トナカイのお小遣いって、この前冒険者ギルドからもらった、魔物討伐報酬の一割くらい渡したやつだよね?」

「そうなのよ!」

「あれ、結構な額だったけど、全部渡しちゃったの?」

「うむ!」

「……トナカイ、私ちょっと用事を思い出したから、料理を作りながら待っててね。買っ……とってきたお魚って、その籠に入っている分で全部だよね?」

「そうなのよー。これだけあれば色んなお料理が作れるのよ!」

「そ、そうだね。私、道中でもお魚食べたいから、出来るだけ保存がきくものも作ってほしいな」

「わかったのよ! トナカイの腕の見せ所なのよ! おいしくて腐りにくい料理を頑張って作るのよ!」



「……はぁ、なんとか払い過ぎた分のお金を取り戻せた。トナカイに渡すお小遣い、少し減らそうかな」

「リリー、お帰りなのよ。お魚料理、いっぱいできたのよ!」

「ただいま。さすがトナカイ、どれもおいしそうね」

「こっちがおさしみでー、こっちが煮つけでー、こっちが燻製でー、こっちが創作料理なのよー」

「当分お魚には困らないね……この創作料理、なんだか動いてない?」

「むふふ……動くだけじゃないのよ!」

「我を食したくば、汝の力を示すが良い」

「……この創作料理、なぜか偉そうことを言ってるんだけど」

「味は保証するのよ!」

「いや、味じゃなくて……」

「リリー? この世は弱肉強食だって、じいちゃんも言っていたのよ?」

「弱肉強食って、そういう意味じゃ「来ないのであれば、こちらからゆくぞ!」あぁぁもう! 食べ物は黙ってて!」

「ちなみに、おいしさに比例して強くなっているのよ!」

「くっ!? 料理のくせに意外と強い! ……トナカイ、もしかしなくても創造の力で作ったのね! 厄介なものを……」

「心配しなくても、料理の味に関しては力を使ってないのよ! 無事に食べることができたら、いつもより長くもふもふしてあげるのよー」

「!? ……本気を出さざるを得ない! けしとべぇぇい!」

「ふっ……考えが浅いな。我を消しとばしては、食すことなどできぬぞ!」

「ぐっ……トナカイ、この料理なんか癪に触る!」

「性格は多分、食材のものなのよー。トナカイ、ノータッチなのよー」

「もぉぉ! もふもふをいつもの二倍要求してやるー!」



 ちなみにこの後、無事に料理を倒し食べることができたリリーは、一日中トナカイをもふもふした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ