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異世界を無限のスキルで生き延びる。  作者: 巫女崎
異世界召喚編
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06.冒険者ギルド


「マジか、いや確かに普通ならそうなんだけどさあ。あー、何で完全に忘れてたんだよ俺。さっさと日本に帰りたい、帰ってしばらく家でニートする。学校休む」

<主、かなりの重症ですね。そんなに嫌ですか、だったらそれくらい考えておけば良かったと思いますが>

「それはまさか王宮に一日も滞在しないとか思ってなかったししばらくは不自由なく過ごせるはずだったんだからさ」

<まあ、それはそうかもしれませんが>


 俺は今、まさにピンチを迎えていた。

 あの後俺は歩いて国境外の街、カラエナに来ていた。

 来たのだが、そこで俺は思わぬハプニングに遭遇していた。

 宿屋に入れなかった!

 理由は明白、俺たちがお金を持っていないから。


「まずいなーこのままだと俺一生外で過ごすどころか金がないから食べ物すら買えないんだよなー」

<主、...可能性としては一応方法が存在するのですが>

「マジで!?どうすればいい付属品さん!ほら!話してごらん!」

<暑苦しいですね。方法としては冒険者ギルドに入ってクエストを達成することですね>

「ギルド、か。とりあえずギルドを探してみるからその間にギルドの説明を頼む」

<了解です主>


 付属品さんはこほんと一回間をおいて話し始めた。


<まず冒険者ギルドとは主に常設の依頼と個人、団体からの通常依頼、大型や強力な魔物の討伐を目的とする討伐依頼、街の防衛などの緊急依頼、この4つを扱う団体を指します。そこに入団して初めて依頼を受けることが出来るようになります。そうした彼らを冒険者と呼び、それぞれの冒険者にランクが存在します。最低のランクがF、基本全員がここからスタートし、E、D、最終的に最高がSとされています。

依頼については制限のないものもあれば最低ランクが決められているものもあります>

「なるほど、全部頭に入った。多分。...ん、ここか、冒険者ギルドは」


 俺は付属品さんの話を聞いているうちにお目当ての建物の前まで来ていた。

 冒険者ギルドなる建物は木造でできており、中からは酒場のような騒がしさが聞こえてきた。

 覚悟を決めて中に入るとそこは完全な酒場だった。


「あれー、もしかして俺酒場と冒険者ギルドを間違えて来ちゃったかなー」

「おう兄ちゃん、珍しい格好だがこんな夜遅くにどうした」


 扉のすぐ近くでお酒を飲んでいた男が話しかけてくる。

 やけ酒なのか普段からなのか、男一人の席に対してテーブルにはジョッキが10数本置いてあった。珍しい恰好とは今着ている制服のことだ。


「いや、確かここって冒険者ギルドで合ってましたよね?」

「おう、その通りだが、夜遅くに依頼でも出しに来たのか?」

「そうじゃなくて俺、冒険者登録しようと思って」

「こんな遅くにか?兄ちゃん、悪いことは言わねえ、明日の朝出直しな」

「なぜですか?」

「そりゃ兄ちゃん、夜担当のギルド員は対応は悪いし愛想は無いしでいいことが全くないからな」

「そうですか。それくらいなら問題ないです」


 そういって俺はギルドカウンターらしき場所に向かう。後ろからさっきの男が何か言ってるけど気にすることじゃない。と思う。

 カウンターには無表情——否、睨みつけるような鋭い視線を俺に向ける女性が立っていた。


「...すみません、冒険者登録したいんですけど」

「そうですか、ならこちらに名前を」


 名前、確かに持っているがさすがにここで日本語が通じるだろうか。


<日本語なら平仮名か片仮名であればこの世界でも通じます>


 おお、付属品さんが俺の心の声に反応した!


<会話であれば頭の中で考えればこちらにも聞こえますので>


 なるほど。

 でも異世界人だとばれにくいことを考慮すると偽名の方がいいのか?


<主はそうした方がいいかと>


「名前...『シンジ』っと。書けました」

「ではこちらに手をかざしてください」


 そういって女性が差し出してきたのは一枚のカードだった。


<ギルドカードですね>

「かざしてっと」


 するとカードに先ほどの偽名と現在のランク『F』が表示された。


「今後はそちらのギルドカードを使って依頼を受けてもらいます」

「了解です。ではさっそくこれを受けたいのですが」


 俺が差し出したのは常設の依頼、Fランク向けの薬草探しだった。


「ええ、受け付けました。こちらは期限がありません。それと数に制限がありませんので持ってきた分だけお金に換えさせていただきます」

「分かりました。ではこれで失礼しました」


 俺は走り気味に冒険者ギルドを出て行った。

 向かう先は街の外、街道だった。


<主、そんな急いでどうかしました?>

「さっさと薬草集めて宿に泊まらないと今日中に眠れる気がしない!>

<まあそうですね。日付変更まであと30分もないですから>

「そうだ。今こそエクストラスキルを使うとき!」

<主以外こんなせこい手は使わないでしょうね>

「彼らは使わないんじゃない、使えないんだ!」

<そうですねー>


 付属品さんは呆れて声も出ないようだった。


「《才能創造(スキルクリエイト)》!」


>非戦闘スキル>情報操作スキル>物質情報スキル>スキル名:情報視認


【ユニークスキル《情報視認(データチェック)》を入手しました。

 選択した物質のデータを表示します。

 選択した生物のステータスを表示します。】


「うん、これで薬草と雑草を間違えることはなくなった。あとは持ち運び用の魔法だな」


>非戦闘スキル>空間操作スキル>スキル名:異次元空間


【ユニークスキル《異次元空間(マジックポケット)》を入手しました。

 限界重量以下の物質が持ち運べます。(攻撃力×10キロ)

 限界体積以下の物質が持ち運べます。(魔法力×10立方メートル)

 《異次元空間》内の物質は時間が経過しません。

 《異次元空間》内に生物は入れることが出来ません。】


「こっちは完全にステータス依存のスキルだな」

<便利なものほど苦労はつきものってことですよ>

「では日が明ける前に薬草集めにさっさと出発!」


 俺は走り出す。薬草のありそうな大きい森へ。


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