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異世界を無限のスキルで生き延びる。  作者: 巫女崎
異世界召喚編
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04.才能と能力

<今すぐここを出て行ってください>

「......は?」


 俺はその言葉を理解することが出来なかった。


「ゴメン、付属品さんが何言ってるか分からない。もう少し詳しく教えてくれ」

<もう少し詳しく、ですか。分かりました。『今すぐこの国から出て行ってください』>

「さらに分からなくなった。理由、理由を明確にして付属品さん」

<『主に危険が迫っているので今すぐ対象内であるこの国から出て行ってください』>

「オーケー分かった。次からは理由を明確にしてからどうしてほしいのか教えてくれ。とりあえず今は付属品さんのことを信じるが、それで俺はどういう風に危険なんだ?」

<さあ?>


 え?


「何、もしかして危険だって事しか分からないの?」

<はい、所詮は力の付属品でしかありませんので>

「マジですか。まあとりあえず今は信じるよ」

<そうでなければ困ります。貞操の危機とかならまだしも生命の危機であれば今の主では対処しきれない可能性がありますので>

「そうかい、じゃあ今から脱出に必要なスキルを作りますか」






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「倉場、お前、帰宅部じゃ、なかったのか、よ!」

「ん、確かに帰宅部とはいったけど中学までは空手やってたんだぜ。実際に《武闘家LV.1》のスキルがついてたしな」

「っざっけんな!だったら何で、俺の剣を、止めれんだよ!」

「...鍛えたから?」

「何、お前の空手は、動体視力でも、鍛えてんの、かよ!」

「さあ?」


 激しい攻防が繰り広げられる。

 木刀を持つクラスメイト、日野が圧倒的な手数で攻める。

 それを俺はただただ手で受けながしたりするだけ。

 これほどまでに忙しい訓練をしているのは俺たちだけだ。

 それも当然である。日野の《剣術LV.3》は剣道で全国に出た彼だからこそ持っていた初期スキル、竹刀よりも軽い木刀を振っていれば手数が多くなるのは必然といえるだろう。


 だが、本来圧倒しているはずの攻防は、その戦いは明らかに攻めている側の方が不利であった。

 その攻撃は確かに竹刀よりも早く、鋭い。だからこそそれを受け流してなお余裕を見せる防御側に軍配があがる。


 三十分後、折れたのはやはり日野だった。


「倉場、お前やっぱおかしいって。初期スキルがレベル2だったら間違いなく俺の攻撃が通る。それがレベル1ならなおさらだ」

「それで?ただ動体視力のスキルがないだけだろ」

「いやいやいや、動体視力が高いなら空手だけでも十分レベルが高いって」

「分かんねーよ?俺、空手でも技術の方はからっきしだったし」

「じゃああれほぼお前の独学って事じゃねーか。まさかの異世界に来て初めて知らされる友人の秘密とか」


 秘密、か。

 柳のことを思い出す。

 あいつはステータスを見せた後に急に調子が悪くなった。

 あの時柳にしか分からないなにかがあった。それを柳は秘密にしている。

 ...本人に少し聞いてみるか。


「悪い日野、今日はここまでだ。用事が出来た」

「そんなのこっちから願い下げだ!お前とやってると俺のプライドがいくつあっても足りねーよ」

「そうか、じゃあな」


 そう言って俺は日野と別れた。周りを見てみればもうほとんどの奴が王女から与えられた自室へと戻っている。

 俺がさっきの部屋に戻ろうとすると、後ろから女子に声をかけられた。


「ん、坂口じゃねーか。どうした俺になんか用か」

「倉場君、そっちは自室じゃないよ?」

「あー、そういうことか。違う違う、こっちに柳がいるんだよ」

「え、やー君が?何かあったの?」

「王女様の話の途中で気分を悪くしたんだよ。だからこれから迎えに行こうと思ってな」

「そうなんだ。じゃあ私もついて行くよ。」

「分かった。じゃあ行こうぜ」

「りょーかい!」


 坂口が最後に声を張り上げる。

 俺たちが数分歩くと柳の休んでいる部屋が見えてきた。


「ったく、王城広すぎだろ。使用人いったい何人いるんだよここ」


 思わず不満をつぶやく。まあ坂口なら問題ないだろう。


「坂口、あそこがさっき柳を休ませた部屋だ」

「オッケー。じゃあ突撃ー!」


 坂口が柳の部屋に走っていく。

 そういえば坂口って柳と幼馴染って言ってたっけか。


「やー君、見舞いに来た...よ...?」


 坂口が扉を開けたところで動きが止まった。

 ...と思ったらこっちに走ってくるな。なにかあったか?


「倉場君、ホントにあそこであってる?」

「坂口、何言ってんだ、間違いない。あそこに柳を休ませたよ」

「じゃあもうどこかに行ったのかな?」

「なんだ、柳いないのか?」

「うん、どこにもいないよ」


 さっきの部屋についたところで俺も中を確認するが確かに中には人一人いる気配はない。


「もしかしたらもう部屋に戻ったのかな?」

「場所も分からないのにか?」

「え、やー君ってそんな前からいなかったの?」

「坂口、気づかなかったのか」

「...うん」


 坂口は申し訳なさそうにうつむく。

 しょうがないといえばしょうがないが、そうか、坂口の中で柳は腐れ縁なのか。


「まあ、そのうち見つかるだろ。見つけたときに色々と教えてやればいいさ」

「...そうだね」


 そうして俺たちは自分の部屋に戻っていった。

 だがその翌日も柳は俺たちの前に姿を現さなかった。


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