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温泉って何ですか?

※しつこいようですが、この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ございません。あと、温泉知識及びその他諸々は作者の偏見も多少なりとも入っておりますので、どうかご容赦下さいませ。

「温泉オタサーの姫に……ならないかね?」

「ならねーよ。行こうよ、麻美」


いきなり人様、それも見知らぬ美少女の肩気兼ねなく触りやがって。

世が戦国時代なら切腹もんだぞ、こらあ。私は茫然としている麻美の手を引き、その場から離れようとする。


「温泉とはッ!!」

「うおっ!?」ビクゥッ

「『地中からゆう出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で特定の温度または物質を有するもの』……と『温泉法』と呼ばれる法律によって定められているッ!」


離れようと前を向いて歩いた瞬間、目の前にいつの間にかインテリメガネが徹夜明けのニートのように荒ぶって熱弁していた。い、いきなり何なんだよこのインテリクソメガネは……。


「し、知らねーよ!! とっとこ故郷ホシに帰れッ!!」

「只のお湯ではありません。色々なミネラルや匂いを含んだ言うなれば『神湯』……人間で言うところの『愛汁』のようなものであるな」

「き、気色の悪い例えを出すんじゃねえ!! 爪剥がすぞこらあ!!」

「ちなみに只の水道水で炊いたお湯は『白湯』と呼ばれている」

「聞いてねーよ!!」


ほ、本当に何なんだよこの目の前のインテリジェンスメガネマンはよ。

温泉?白湯?いきなり湧いて出てナニを話すかと思ったら……これだったらまだ、ネグリジェを身に纏ったハゲおやぢの方が出没した方がマシだぜ。マシ、というのは姿そのものの意味ではなく、処理がってことだ。あきらかな変質者ならケツの穴に棒を差し込んで奥歯をがたがたイワすのに躊躇いなく実行できるのだが、目の前のメガネはそうもできない。


「温泉かあ……でも、温泉って結構、年配の人が好みってイメージあるやんな、天」

「お前も話に乗ってんじゃねーよ!!」

「ふむ……。そこの女子、それは大いなる偏見であるぞ。確かに一昔前までは温泉なんて年寄りの行くところ……なんてイメージはあったかもしれないが、現在では様々な若者が温泉サークルを立ち上げ、風呂をコミュニケーションの場とする風潮が少しずつであるがその傾向がみられてきた」

「へえ……なるほど。で、男女が風呂場でそのまま裸のコミュニケーションをとるというわけやな、いっしっし」

「し、下ネタはやめろっ!!」


メガネに乗せられて、麻美も興味を持ち始めたぞ。

やばい、これは何かヤバい流れのような気がするぞ。し、仕方ない……萌え萌え美少女から寄り道とはなるが、ここは暴力的にこの場を収めるしか……。


「温泉とは実に奥が深い。温泉サークルは各地の温泉に浸かり、コミュニケーションをとるという目的の名の下に活動はしているが、来るもの拒まず去るもの追わず……但し、五体満足で我がサークルから出られたものは未だかつていないがね」

「只の脅迫じゃねえか!! ブチ殺すぞこのアスパラメガネ!!」

「天、口調口調。へえ、でも楽しそうなサークルやな。あんたは温泉サークルの人なん?」

「無論、俺は温泉サークルの代表である『有馬大助ありまだいすけ』である。女子、君たちの真名とスリーサイズを是非とも聞かせてもらいたいな」

「だ、誰がてめえなんかに教えるかっ!! あと、さり気にセクハラぶっこんでんじゃねえ!!」

「ああ、うちは白浜麻美っていうねん。この娘は雄琴天っていうねん。ちょっと、口悪いけれど根はいい娘やからよろしくな」

「かっ、勝手に人の名前をチクってんじゃねーよ!!」

「ふむ……『白浜』、麻美。『雄琴』、天。なるほどなるほど……ますます、我がサークルに欲しい人材であるな。特にそこの黒髪女子……ミドルネームからして、ヘルスが大好物な娘ではないかな?」

「け、喧嘩売ってんのかこらあ!! 売ってんなら全力で買うぞこのアスパラァ!!」

「ふむふむ。俺と天はヘルスマニアであり、温泉好きという共通点があるのだな! ますます、我がサークルに必要不可欠な人材となった!! フハハハハハ!!」

「おいっ、麻美!! この野郎、頭がいかれてるぞ!!」


狂気的な笑い声を上げる有馬とか言うメガネを目の前に私はある種の恐怖を感じていた。

ヤバい……この野郎は危険だ。窃盗、膀胱(誤字)、詐欺……黒歴史時代に色々な軽犯罪を犯してしまった私をもってしてもこの野郎とまともに対峙できる自信が無い。というより、関わっちゃいけない人種である!と直感が働いている。よし、逃げよう。私は再び、麻美の手を取り、逃げ。


「面白そうなサークルやん! うちら、はいるでそのサークル!!」


え、えぇ~……。

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