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異端ノ魔剣士  作者: 如月 恭二
三章 剣ノ勲
56/120

序章 壱

此所で皆様にお知らせがあります。

残念ながら拙作こと“異端ノ魔剣士”は、今回を以て打ち切──あ、これ違う台本でした(;^ω^)


シガールは、新兵としてですが、騎士の一員となりました。

キャーシガールサーン(棒

 板金鎧が擦れる快音が響く。鶏鳴が暁を伝えており、朝稽古の時刻だと知れた。赤の意匠が、日に照らされ鮮烈に輝く。

 各々、刃を潰した得物と鎧の具合いを確かめる様に、一種の気骨を匂わせる。とは言え、この場に居るのは大半が新兵だ。傭兵あがりが三〇余名、残り一ニ〇程度がそれに当たる。差し詰め、練度も気魄も釣り合いのとれない混成軍といったところか。ぼやくような声に混じって、早くも気合いの入った打ち込みらしい音がある。

 そんな中にあって、紺の髪を短く切った少年がいる──シガールだ。兜を着用する者が多いが、彼はそれを脱ぐなり不満を漏らす。


 「あっつ!? よくもまあ皆して、こんなものを着けるよ。視界が狭くなるし、胸当てや腰当てにしてもそうだ、動きにくいったらありゃしない」


 「何を言ってるんだ、お前。命を守れるんだから、それくらい安いもんだろう?」


 聞こえないようにと思って呟いたつもりが、どうやらそうでもないらしい。

 新兵達の耳に入ったようで、数人が同調しここぞとばかりに主義主張を申し立てる。奇異の意見が四割、蔑視が六割と言ったところか。

 傭兵あがりの者達の方がまだ理屈が分かると見える。彼は、そう言った面でも新兵達との温度差を痛感していた。鎧で身を守るのは成る程、確かに理にかなっていることだろう。

 だが、生にしがみついた者程、いざという時には踏み込めないものだ。実際、赤雷との稽古でも鎧の動きにくさは身に染みている。

 蘭との対決で、機動力が肝要ということも知った。何も防御をないがしろにした訳ではないものの、鎧を頼みにした立ち回りが理解出来ずにいる。


 元傭兵と思われる、中年の男がそこに割って入った。スブニールと呼ばれる傭兵達の頭目である。

 如何にも冴えない風体、精悍とは対照的な容姿だ。不精髭(ぶしょうひげ)を生やすところがまたそれらしい。

 腰に差した長剣は意匠が擦れている。修復した痕跡が見てとれ、歴戦の風格が漂う。肩と股を揺らして歩く姿は若干頼りなさげだが、自然な動作ゆえ一分の隙もない。

 男はシガールに歩み寄ると、彼の肩を叩いた。


 「ほっとけ。いずれ戦場がどんなものか経験するだろうよ。言わせときゃいい、気にすんな」


 ──だそうだ。

 彼ら(傭兵達)はシガールの肩を持つ。知り合って短い付き合いとは言え、彼はそれを喜ばしく思った。

 年長者の気配に圧され、野次馬は去る。或いは、格の違いを悟ったのかも知れなかった。


 「若い衆ってのも、その……なんだ、仲間意識がないのかねえ。倒すべきは敵だろうに、味方を(そし)ってどうするんだか」


 去っていく新兵達を見送り、彼はシガールに向き直る。


 「ああ、確か坊やの親は武芸者だったか。闘いに関しては、色々と分かっているようだし。ま、これからも宜しく頼むわ」


 「……あ。は、はい」


 やや上擦った返事をしながら、彼は何故こうなったのかを思い返していた。

一〇〇〇字程度のものですが、書き置きしていましたものです。

とりあえず、これで序章(之壱)とします。

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