お化け屋敷DEドキドキ☆
遊園地・・・そこに必ずあるもの・・・最初に『お』がついて、最後に
『き』がつくアレ!
まずお化けという分けのわからん存在が苦手だ。
いかにもあの何か出てきそうなあの雰囲気も苦手だ。
出てくるまでのあの嫌なドキドキ感・・・あれも苦手だ。
真っ暗なところも苦手だ。
狭いところも苦手だ。
閉じこめられる状況も大嫌いだ。
まぁ何が言いたいかというと、私は『お化け屋敷』が大嫌いだってことです。
「美亜さん、さっきから震えてるけど・・・もしかして寒いんですか?」
「寒くはないけど・・・いや寒いのか?・・・いやそうじゃなくって
あー、やっぱなんでもないです・・・はい・・・」
声が段々としりすぼみになっていくのは気にしないで欲しい。
実際は寒いんじゃなくって恐い・・・恐いんだけど、そんなことこの状況を
ノリノリで楽しんでいる5歳も年下の男の子に言えるわけがない!年上としてのプライドが・・・。
彼は私のいとこの秋斗。年齢は11歳で私は『あー君』と呼んでいる。
今日は彼と二人で遊園地に来たのだが・・・お化け屋敷に行きたいと言う彼は更に、
『いい年してあんなの恐いなんっていいませんよね?』
と言い、私は売り言葉に買い言葉で・・・
『もちろんだし、あんなの全然平気!』
とうっかり言ってしまっただ・・・。
そして、『なら大丈夫ですね~♪』とうきうきしながら彼に連れられてお化け屋敷まで
きてしまったわけで・・・。やり直せるなら数分前に戻ってやり直したい・・・。
そしてお化け屋敷内。
電気が消えて真っ暗な部屋では、
「・・・あー君いる?」
「いますけど?あ、もしかして暗いの恐いんですか?くす」
「そんなわけないし、あー君が不安がってないか心配して声かけただけだし!」
と、思ってもないことを言い・・・
いかにも何か出そうな通路では、
「こ、恐いなら手を繋いであげてもいいんだからね?!」
「僕は大丈夫ですけど・・・手、繋いで欲しいんですか?ふふ」
「違うし!あー君がそうしたいんじゃないかなぁ~って思っただけだし!」
といつつ、恐いので無理矢理手を繋ぎ・・・
分けのわからん物体(おどかし役の人とかものとか)出たときは、
とりあえず問答無用で彼を前にだして盾にしていたら・・・
「やっぱり恐いんですよね?」
「・・・」
若干呆れ気味に聞かれた頃にはもう言い返す元気もなかった。
そして最終関門。
やっとここまできたのだが・・・最後の関門は、部屋に閉じこめられて、出口に
出るための鍵をいかにも出そうな怪しい雰囲気の部屋から探す・・・というものだった。
この時点で手をしっかりと握ってべた~っとくっついている時点で半泣き状態で
年上のプライドはすでに無くなっている。とりあえず早くここから出たい。
「出口に出る前に言っておきたいことがあるのですが・・・美亜さん、
僕あなたのことが好きです」
そんなことはどうでもいいから速く出口に行こうよ・・・・って、え????
「僕と付き合ってください」
そう言われて高鳴る胸・・・は!このドキドキ感はまさか『恋』?!
なんかそう思ったらなんだか彼のことが好きなような気がしてきたぞ!?
「返事は急がないので考えといてくださいね?」
そういって彼はにこっと笑うと見つけた鍵で出口への扉を開ける。
誰かが言った『恋はタイミング』だと!
この機を逃したらもう二度とチャンスがないかも知れない・・・だから、
ここを出たら彼に言おう「私も好きです」って。
彼女は知らない。
彼は彼女がお化け屋敷が嫌いなのを知っていてわざわざ連れてきて、彼女の反応を
見て楽しんでいたことを。
そして、最大の目的は吊り橋効果を狙っていたことなど・・・彼女は知らない。