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スキルコネクト 〜コミュ力 ゼロ、社会制 ゼロ、の社会不適合者にMMOの壁は高い〜  作者: 発条ザムライ
そらから、きたもの

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13/23

飛べないものは落ちるだけ

魔法。


森羅万象に根差す、属性を操る術。物理法則をねじ曲げ、現象そのものを引き起こす力。

魔法(これ)1つで世界観を決定づけることもある。


だが、多くの作品で「完全な何でもアリ」ではなく、ルールがある。


このゲームでは、魔法を操る為にはスキルの補助が必要になる。


そして、スキルで取得した魔法はその”属性”を操ることではなく、


その”術”を一つ一つ習得しなければならなかった。


つまり。


火を操る、ではない。水を操る、でもない。


「……一個ずつ、覚えろってことか。」


スキル一覧を開く。



|[水魔法] SP2、

|水魔法[水球]を取得し、それ以降は、

|SPを消費することで、水魔法の習得を可能とする。



|水魔法[水球(ウォーターボール)] SP0

|スキル使用時、水球を作り出し、発射する。

|ステータス上昇値

|INT(知力):10


少し、ややこしくなるが、

[魔法スキル]という大枠の中に、また、別の[水魔法]という“系統”があり、その中で“技”を個別に取得する。


魔法は作品によっては様々な解釈がされているが、

最もポピュラーな使われ方は、


遠距離攻撃。


このスキルも例に漏れない。







右手にある杖をもてあそびながら、状況を俯瞰する。


「さて、どうしたもんか。」


現在、渓谷には、大まかに分けて3種類のモンスターがいる。


まず、渓谷に攻め入っているゴブリンの集団。


何のために入ってきたのか知らないが、こいつらのおかげで、渓谷の状況が動いたから感謝しとこう。なーむー。


渓谷の状況が動いたってのは、


この渓谷のモンスターたちの縄張りが、住み分けられていたのが原因だ。


渓谷の底、を縄張りにしている蛇型のモンスター。


渓谷の壁、を縄張りにしている鳥型のモンスター。


本来、この渓谷の領土争いをしていたモンスターはこの2種類だったのだろう。


互いに干渉しすぎない距離を保ちながら、

縄張りを維持していた。


だが、そこに。今はゴブリンが割り込んだ。


「三つ巴の対局を作れば、俺は楽に塔に行けるってわけさ。」


そのためにも、ゴブリンには頑張ってもらわないといけない。


杖を軽く回す。


「全員に、“別の敵がいる”って思わせればいい」


スキルを発動する。


選んだのは[水魔法]。


スキル発動後、幾らか時間がかかる。詠唱時間(キャストタイム)だ。


実際に言葉にだして、詠唱しているわけではなく、ただのポーズなのだが、妙な気恥しさがある。

技名を言葉にするのと、魔法の詠唱するのどっちも同じはずなのに。


視界の中心に魔法陣が展開されるが、よく見ればその魔法陣は不完全だとわかる。

陣は形成されているのに、その中身には文字がない。


しかし。


時間経過と共に、陣の内側へ“文字”が刻まれていく。


一文字ずつ。環状に。


文字が一周した瞬間、変化が起こる。


周囲の水分が強制的に収束する。


数秒で形成された水球は、

照準に向けて射出された。


狙うのは、ゴブリンと蛇型のモンスターの、ちょうど中間。


攻撃を当てる必要はない。()()()()()()()と意識を上に向けてもらえばいい。


「ギャッ!?」

「シャァァッ!!」


両者が、同時に上を見る。


さらに。上空。


鳥型モンスターの影。


「……よし、乗った」


誤認。


“上から攻撃された”という事実だけが、残る。


空中という圧倒的に有利な場所から遠距離攻撃される。

その事は2種類のモンスターにとって、看過できないことになる。


狙い通り、ゴブリンと蛇型のモンスターの狙いが鳥型のモンスターに集中する。


「よし!あとは俺の準備だ。」


スキルを選択し、スキルセットを交換する。


ええと………塔までの距離は、おおよそ200メートルちょっと。


40メートルであれば、[疾走]と[ハイジャンプ]で余裕で届く。


スキルの詳細を見てたり、ゴブリン達の乱戦を眺めている間にも、着実に渓谷の上から塔まで近づいていた。


黒い塔は渓谷の底から、突き抜けて雲にかかるほどまで高さがある。渓谷の上にいても黒い塔の高さの半分ほどもない。それでいて、黒い塔の入り口は底にある。


だから、最短ルートを目指す。




杖を両手で持つ。


そして、言い放つ。


「スキルコネクト。

 [バカぢから]×[疾走]。」


|スキルコネクト[過剰適応(オーバーフロー)]を発動。


全身から力が沸きあがる。いや、暴れ狂う。


「マジカルパワー(物理)!!!」


地面に向かってフルスイング。


すぐさま、スキルを解除し、スキルセットを交換する。


崩落。


荒れ狂う力が地面に向かい。渓谷を崩落させながら自分も落ちる。


距離、200。


落ちる地面を鳥型のモンスターへの盾にして、突き進む。いや、落ちる。


160。


崩落したことに気づいた鳥型のモンスターが迎撃に来る。


120。


魔法を発動。水球。


だが、狙わない。


「そこだ!」


進路上に“置く”。


迎撃の軌道に。衝突。水が弾け、視界を遮る。


80。


体当たりするように迎撃してくるが、瓦礫が、邪魔をする。攻撃は届かない。


60。


後ちょっとで気づく、迎撃用の地面がどかされていることに、


50。


鳥型のモンスターの瞳が、俺を映している。完全に捉えられた。


「けどな、そんなことは想定内だ。」


インベントリは開いている。


棍棒を取り出し、それを足場に、


40。


「行くぞ!」


|スキル発動 [疾走]

|スキル発動 [ハイジャンプ]


鳥型のモンスターを追い越す。


視界が、開ける。


その先に。


黒い塔。


一直線。


重力すら利用した、加速。


「――到達ッ!!」


次の瞬間。


地面が迫る。


だが、止まらない。


これまでに見たことが無いであろう、ダイナミックにダンジョンに突入するのだった。


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