表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルコネクト 〜コミュ力 ゼロ、社会制 ゼロ、の社会不適合者にMMOの壁は高い〜  作者: 発条ザムライ
そらから、きたもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/19

ダンプカーは直線番長

何度目になるか。[ハイジャンプ]からの着地後。


衝撃を殺すように膝を曲げ、その反動のまま

すぐに回避の態勢へ移行する。


視線は、常に奴を捉え続ける。

巨体の四足獣。


奴が、助走距離を確保した。


「来る……!」


その瞬間。


__回避。


ドォンッ!!


爆発音のような衝撃が背後で弾ける。

遅れて、風圧が横をかすめる。


振り返る。


そこにあったのは破壊の跡。


木々は根元からなぎ倒され、視界が一気に開けている。

地面は抉れ、一直線に“道”ができていた。


ただの突進。されど、この巨大な体躯で行うのは、突進なんて生温い言葉じゃ利かない。


高速で突っ込んでくる鉄の塊。

それが意思を持って襲ってくるような錯覚。


直撃すれば終わりだ。


「だが、いい加減理解したぞ。」


呼吸を整えながら、小さく呟く。


こいつは突進しか使わない。

そして、使う突進は2つある。


一つは、障害物を無視して突き進む、猪突猛進。

覇気を纏い、空気ごと押し潰すような圧を伴う。


もう一つは、小回りが利く通常の突進。だが木々に阻まれて速度が落ちていた。


「そして……。」



「お前、…………スキル使ってんな。」


問いかける。

当然、言葉が通じるはずもない。


だが、


「ブルルルンッ!」


低く、重い鳴き声。


同時に、圧が膨れ上がる。

空気が震える。


奴の回答は、


障害物無視の猪突猛進が行なわれる。


「ははっ!やっぱり。」


正解した喜びも束の間。回避を行う。


ギリギリで軌道から外れる。


スキルを使っているなら、話は早い。


先程確認したように、スキルは強力だが、使いどころを間違えれば、自身に刃が返ってくる。

だから、奴はスキルを隠すように、普通の突進を、ブラフとして混ぜている。


視線を細める。


「使い分けてる。」


ただのAIじゃない。

明確に、“意図”がある。




「強いスキルには、必ず“癖”がある」


自分で使って、理解したことだ。


[バカぢから]はスタミナを全消費する。次の行動を封じる代償。


[疾走]は継続的にスタミナを削る。別のスキルを挟む余裕を無くしていた。


[ハイジャンプ]は行動回数が一度きりしかなかった。


「じゃあ……こいつは?」


視線を巡らせながら、思考を回す。


奴はスキル使用後も、通常の突進を混ぜてくる。

つまり、完全な行動不能にはならない。


継続型。

そして任意で停止している。


「……通過した瞬間、止めている。」


もし止めなければ、そのまま旋回して轢き殺せるはずだ。


なのにやらない。


いや――


「できない、のか?」


思考が繋がる。


「行動中に、何かしらの制約がある」


検証の数が足らない。


だが、理解した。[突進]は[疾走]のように、スキル行動中に欠点があることに。

そうでもなければ、スイッチを切り替えるように、スキルを使う理由がない。


行動中のデメリットってなんだ?


威圧感はあったが、HPは減ってなかった。もし、ダメージを受けていたら、エフェクトが出る。


MPが減ってるなら、あんな馬鹿スカ、スキルを連発できるとは思えない。


スタミナは減ってるだろうが、それだけじゃ効果が釣り合わない。


「なら、ステータスの方か?」


STR(筋力)は、木々が倒れる程の火力だから違う。

DEX(器用)、INT(知力)、MND(精神)なら、いちいちスキルを切り替える必要はない。


なら、…………耐久力か?


もし、…………スキル使用中に、VIT(耐久)が下がる。もしくは、下がり続ける。


それなら、突進を切り替えるのに納得がいく。


仮説は整った。


「検証の時間だ。」


必要なのは、十分な距離と、タイミング。そして、障害物。


ちょうどその時。


スキルのクールタイムが明ける。


「……いいね。」


笑みが漏れる。


「乗ってきた。」


対面。


巨体が、こちらを捉える。


ダンプカーがエンジン吹かして突っ込んでくる。


「スキルの乗ってない突進は、もう見切れてるんだ。エンジン取り換えて来な。」


威圧感が増す。[突進]が来る。


「来た。」


|スキル発動 [疾走]


すぐさま、距離を離し、木の陰に隠れる。


何度となく見た光景。あきれるほどに猪突猛進。障害物など存在しないと真っ直ぐ突き進む。


だが、


木を壊した瞬間。衝撃。


突進が、強制的に止められる。


巨体が、その場で弾かれた。


奴自身が自ら、俺の()()()で止まる。



このゲームでは、障害物はダメージを持たない。

リアルで木に突進しようものなら、自分が吹っ飛ばされるが、このゲームでは、木に突進してもダメージが入らない。


だから、


()()()()()()()()()()を設置した。


木が壊れる事を合図に、手にした棍棒を、全力で投げる。

奴の突進は加速しすぎて、止まれない。

あるいは、軌道を変えられない。真っ直ぐ俺を狙ってくる。


だから、その軌道上に武器を置いてきた。


突進してきた巨体が、棍棒に弾かれるように止まる。


おそらく、耐久が落ちている状態で、その衝撃を受けた。

そうでもなければ、棍棒一つであの巨体を止められない。


巨体が大きく揺れる。

体勢が崩れる。


|スキル発動 [バカぢから]


全身に力が巡る。

踏み込む。


突進を止められ、隙だらけになった。豚に振りかぶる。巨体が揺れる。


次の瞬間、四足獣は光へと分解された。一撃で相手を倒し、光に変換される。


遅れて、アイテムが地面に転がる。


「……はぁ……っ。」


大きく息を吐く。


__まだ道中だぞ。


ウィンドウを開けば、レベルアップと新しいスキルを覚えた通知がでる。


肩の力が抜ける。


ふと、顔を上げる。


視線の先。


黒い塔は近づいてる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ