スキルコネクトについて、
スキルとスキルを掛け合わせる。文字にすれば、なんてことない。すぐにでもできそうな、単純な発想だ。
スキルを同時に使う。それだけでも十分に応用は効く。例えば、[疾走]と[ハイジャンプ]は相性がいいと思う。
[疾走]はスキル使用中、スタミナを消費し続けるが、[ハイジャンプ]は少しの消費で済む。
地面を蹴る瞬間に速度を乗せ、そのまま空へ跳ぶ。
助走の概念すら無視した、常識外れの跳躍。
この2つのスキルを同時に使えば、走り幅跳びの世界記録なんて簡単に覆せる。比較するのも馬鹿らしくなるレベルだ。
だが、そうゆう話ではない。
スキルコネクト。説明文には、こう書かれていた。『新たに強化されたスキルを発動する。』
つまりこれは、「同時使用」じゃない。
“融合”だ。
「ってことは……。」
1人が保有できるスキルは3つ
だが、
スキルコネクトによって生まれるスキルがあるなら
「実質、6つ……いや。」
組み合わせを含めれば、
「7つ……」
「まじか!っ」
冷や汗が落ちる。
思考が一気に加速する。
先程考えていた。基礎ステータスを変更させることによってできる。組み合わせとは別。
スキルの組み合わせが無限に変わる。
「やばいな、これは……」
もし仮に。
組み合わせ次第で性能が跳ね上がるなら。
「誰でも……必殺技、作れるってことか?」
思わず、笑いがこぼれる。
「ロマンの塊じゃねえか!」
試さない理由がない。
むしろ、今すぐやらなきゃ気が済まない。
胸の奥が、熱くなる。
待ちきれないっという思いと同時にセリフを放つ。
「スキルコネクト!」
|スキルコネクトの発動を検知しました。
|発動待機状態に入ります。
|スキルをお選びください。
「じゃあ、………[バカぢから]と[疾走]で。」
|[バカぢから]×[疾走]
|スキルコネクト[過剰適応]を発動。
その瞬間だった。
「ぐっ……!」
全身が悲鳴を上げた。
バァギバギャギギ。ミシミシシ。
「……っ!」
骨が軋む。筋肉が引き裂けそうになる。
皮膚の下で、何かが暴れている。
体中に衝撃を感じると同時に、筋肉が軋む。
出力が、一段階上がる。いや、一段階どころじゃない。
力が……!
内側から、溢れてくる。
“跳ね上がる”なんて生易しいものじゃない。
限界を、無理やり引き剥がしているような感覚。
とっさに、ステータス欄を開く。
「は……?」
STR(筋力)の数値が倍どころでは、ない。異常な速度で増加している。
数値が上がり続ける。止まらない。
また、それを確認したと同時に、左上を見る。
HPゲージがすごい勢いで、減っていく。
ごっそりと。まるで、穴の空いたバケツのように。
「まずいっ!」
大慌てで、スキルを解こうとした瞬間。
邪魔者が入る。
「「「ギャギア!」」」
ゴブリンだ。しかも、数が3体。伏兵もいるかもしれない。
最悪のタイミングだ。
「こんな時に、………。」
インベントリから棍棒を手に取る。その瞬間、全身から溢れる圧が空気を震わせた。全身から迸る圧が、ゴブリン達を威圧する。
明らかに怯む。
「そっちから、来ないなら。」
一歩踏み込む。
__こっちから。
瞬間。地面がひっくり返る。
アースクェイク。まるで地震の震源のように、地面がめくれ上がる。踏み込んだ場所が震源地となり、周りの地面が上に飛ぶ。
ゴブリン達は、地震に巻き込まれ、体制が崩れている。
腕を振るう。
ただ、それだけ。
だが、
嵐が起こる。
轟音と暴風が吹き荒れ、視界が揺れるほどの衝撃が、前方一帯を薙ぎ払った。
木々がへし折れ、地面が抉れる。
ゴブリンたちは、抵抗する間もなくポリゴンの光へと分解された。
吹き飛んでいく5個の光。ドロップアイテムが落ちる。どれも棍棒などだ。
「………くっ!」
地面を踏み込むとき、腕を振るうとき、
体に衝撃が走っていた。
「行動するごとにHPを食らう。そうゆうスキルなのか。」
戦闘向きではある。だが、“長くは持たない”。
身体の力を抜くように、スキルを解く。
全身から放たれる威圧感が消える。
同時に、全身が鉛のように重くなる。
左上を見る。HPゲージが1割を切っている。
「ここで、やるんじゃなかった。それにしても、HPを削るスキルが出てくると思わなかった……。」
今さらだが、反省する。
検証してる場所が悪い。
仕方がないとは言え、安全な場所を確保してからやるべきだな。
少し、落ち着いた。
[過剰適応]の詳細を確認しようとウィンドウを操作するが、でてこない。
「あれ?」
いくら探しても出てこない。区分けされてるかと色々見てるが出てくる気配がない。
「載ってないのか?」
スキルコネクトで出てきたスキルについて、情報を確認できない。
「こんなの普通、気になるだろ!」
自分で検証して、能力を把握して下さいってことか?
ウィキが忙しくなりそうだ。
代わりに、スキルのクールタイムが長くなっていることに気づく。
個別で使ったときもクールタイムはあったが、
それでも、数秒だった。それが、2つとも数十秒に変わっている。
「まあ……そりゃそうか」
これだけの出力だ。
ノーリスクなわけがない。
「理由はまあ…………。スキルコネクトか。」
相変わらずデメリットの説明はないのな。
これは、余計に今やることじゃなくなってきたな。
自分だけの必殺技を作りたい思いで、突っ走ったが早計だった。
「クールタイムが伸びる可能性ができたのなら、検証後にモンスターに襲われたらたまったものじゃない。」
__安全を確保してから、続きをやる。
そう決意を固めているとき、
「プギィィィィッ!!!」
空気が震える。ビリビリと肌を刺すような圧。
身体に覇気を纏わせ、周りを威圧してくる。
そこにいたのは
巨大な四足獣。
筋肉の塊のような体躯。
地面を踏みしめるだけで、振動が伝わる。
その全身から、明確な“敵意”が溢れていた。
「……嘘だろ」
HPは、ほぼ空。
スキルも、ほぼクールタイム中。
「どうすんだよ…………。」
喉が乾く。
道のりはまだ長い。
私が来た!
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