筋肉教vsヒヨワーイ党
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「大変です! ヒョロノリ様が、グレン・マッカーサーに敗れました!」
慌てふためいた男がVIP席へ飛び込み、ガリストに報告した。
「何っ? 馬鹿な! 何があった!?」
男から事の顛末を聞かされたガリストは、忌々しげに鼻を鳴らした。
「馬鹿者め。自分の魔術に溺れたか。まあよい、奴は幹部の中でも最弱。次の試合はポチャリーニだったな。奴はなかなかの実力者だ。負けることはまずあるまい。相手は誰だ」
「ポチャリーニ様の相手は、エーという名の筋肉教団員です」
「筋肉教団か。奴らの戦闘がどんなものか、この試合は観戦するとしよう」
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「わかっているな、エーよ。今回は神様にアピールできるまたとないチャンスだ。我らの筋肉が、魔法や剣を凌駕することを大衆に見せつけてこい。ここで教団の勢力を拡大すれば、神様も我らを見放さないはずだ」
教団幹部ダンブルが、エーの肩を叩き激励する。
「ええ、もちろんです。幸いにも敵はヒヨワーイ党の幹部、魔法も剣もエリート中のエリート。ここで勝てば、筋肉教は一気に拡大するでしょう」
自信に満ちた顔でエーは答えた。
「さあ、ゆけ。必ずや、神様に我々を見直していただくのだ!」
ポチャリーニとエーが、壇上に上がる。
会場には割れんばかりの黄色い歓声が響き渡った。その多くは、筋肉教団の「エー」に向けられたものだ。
「なかなか、人気者のようだな」
よく肥えた体格のポチャリーニが、不敵な笑みを浮かべてエーを挑発する。
「これも筋肉のなせる技だ。お前もこの歓声を浴びたいなら、筋肉教に入信することだな」
強気な言葉を吐くエーだったが、その内心は怯えきっていた。
元々、錬金術師団『夜』にて傾国を論じていた彼は知っていた。目の前の男、ポチャリーニが選挙で連戦連勝する現役の国会議員であり、ヒヨワーイ党幹部の中でも圧倒的な戦闘力を有していることを。
(本当に、俺がここで勝てるのか……? いや、レオ様に認めてもらうには、ここで勝つしかないんだ!)
エーは震える手を抑え、錬金術で鋭い剣を精製した。
「試合、はじめ!!」




