闘技大会
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「いよいよですね。」
招待を受けて2ヶ月、大会が始まった。
会場はプロテウィーン王国王都パリン、王国闘技場。
「ええ、ブレイさん。2ヶ月間お疲れさまでした。筋トレ前とは見違える仕上がりですよ。頑張りましたね。」
「神様のおかげです...正直死ぬかと思いましたが。」
三ヶ月までは劇的な変化は難しいとレオは言っていたが、ブレイの執念は凄まじかった。今の彼は、以前の繊細な魔導師の面影を残しつつも、服の上からでもはっきりと分かるほど胸板が分厚くなっていた。
「これ、トーナメント表です。僕とブレイさんは別のブロックですね。」
「ひとまず、神様とはしばらく当たらなくてよかったです。それよりも...。」
ブレイの視線が、表の最上段にある名前で止まる。「ガリスト」。その瞬間、彼の顔が憎しみと恐怖で強張った。
「三回戦目です。僕の本番は、この手で必ず...!!」
「きっと大丈夫ですよ。ブレイさんが増やしたフィルターは大胸筋だけでしたが、あの秘策を使えば絶対勝てますよ。」
この2ヶ月でブレイの体型は変わったものの、フィルターとして機能した筋肉は大胸筋だけだった。
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「ガリスト様、こちらがトーナメント表です。ご指示通り、筋肉強の神とは別ブロックに配置しました。当たるのは決勝になります。」
「よしよし。それでいい。他にも有望な若者は集まったか?」
「ええ、国で有名な者はすべて声をかけ、全員参加になります。」
「グヒヒッ、よくやった。ここで全員潰す。」
ガリストは冷酷な笑みを浮かべ、手元の伝説の剣『ブレイブソード』の柄を撫でた。
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「さあ、お待たせいたしました! 王国闘技大会、開幕です! 第一回戦、かつての王国最強剣士――グレン・マッカーサーの登場だぁぁ!!」
割れんばかりの歓声の中、グレンがフィールド中央へ歩を進める。
レオの指導を受けた彼女は、以前のような「鋼の鎧」を脱ぎ捨て、動きやすさを重視した軽装の隊服に身を包んでいた。ムキムキとは無縁の、しなやかで凛とした立ち姿。だが、その瞳にはかつてない自信が宿っている。
「対するは、ヒヨワーイ党幹部、ヒョロノリ選手! 魔法と剣術を操るエリート集団の幹部が、いきなり元団長と激突する! 勝利を掴むのはどちらだ!? ――試合、開始!!」
「死ね、最強!」
ヒョロノリが魔法を纏わせた細剣を突き出し、超高速で肉薄する。
ガキィン――!
両者の剣が衝突し、闘技場に鋭い金属音が響き渡った。




