決意
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「号外!号外!」
「政治家が神を殺人未遂?」
「しかも返り討ちだって?」
「どうなってんだよ、この国は。」
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その日、プロテウィーン王国は、プニオの殺人未遂の話題で一色だった。
レオがボロボロのプニオををつれて警察に乗り込んだときは、さすがにレオに疑いの目が向けられた。しかし、レオがプニオに連れ去られたという多くの目撃証言が多数、事前に警察に寄せられていたこともあり、レオが襲われたという主張は一旦受け入れられた。
当のプニオは目覚めた後、少し混乱したものの、レオとの衝突が夢ではなく、現実であったことを思いだした。誰も現場を見ていない以上、嘘をつけばレオの主張に抗うことはできた。しかし、これ以上レオの機嫌を損ねるわけにはいかないので、レオの主張をあっさりと受け入れたのだった。
むしろこれから檻の中にいた方が安全であると考えたのだ。
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「大丈夫だったの?」
バベルはレオに問いかけた。
もちろん心配していたものの、ピンピンしているレオを見て、きっと大丈夫と返事が返ってくるのだろうと思いながら聞いた質問であった。
「いや、全然大丈夫じゃない。これを見てくれ。」
しかし、返ってきた答えは予想とは真逆の答えだった。どこか怪我でもしたのかと、バベルは不安になる。
バベルの不安をよそに、レオは悔しさをにじませた神妙な面もちで、メモ帳を見せた。
そこには、レオのトレーニングの記録がびっしりとかきこまれていた。
そして、レオはメモ帳に指を指した。
「昨日のベンチプレス、一昨日よりも1レップ少ないだろう?疲れてどうしてもあげられなかったんだ。」
バベルはホッと胸をなで下ろした。
(いつも通りだ。よかったー。)
レオはそのまま続ける。
「俺って何か悪いことしてるのかな?俺はただ、筋トレがしたいだけなのに。何で政治家に狙われなきゃいけないんだ?あいつはカリスマ性がどうとかいっていたけど、これからも狙われるのかな?」
一瞬安堵したバベルだったがすぐに思い直した。
幼なじみのバベルでも、レオがこれほど真剣に悩んだ様子を見たことはなかった。最初に言っていたとおり、大丈夫ではなかったのだ。悩みを聞いても、あまりのスケールの大きさに、子供のバベルはなにも言い出せないでいた。
「バベル、俺、決めたよ。この筋肉教を使って、もっと筋トレを広める。みんなが筋トレに没頭する世界なら、いちいち他人に邪魔したりしないよな?」
「一瞬で自己完結した!私も今すごく悩んだのに!けど、いいと思う!確かに筋肉教の人って穏やかな人多いよね!」
「そうなんだよ。筋トレってきっとそういう一面もあるんだよ。だからバベル。俺を応援してくれ!」
「おう!がんばれ!レオ!」
バベルはレオを激励しつつも、クリスタルバレットのメンバーがムキムキになるのは少しいやだなあと考えていたのだった。




