暗殺
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「そして最後は!シークレットゲスト!筋肉教の神!レオ・キント様だー!」
会場は静まり返る。
教徒たちも初めて目にする筋肉供の神。皆固唾を飲んで見守った。
レオはゆっくりと登壇していく。
レオの体が見えた瞬間、今日一番の歓声が鳴り響いた。
成長期を迎えたレオの体は190cmの長身に加えて、200kgもの体重がある、紛れもない大男だ。
初めて見たものたちは、その圧倒的な体躯に驚愕し、叫ぶ。
叫びすぎによる酸欠で倒れる者もちらほら散見されるほどに。
そんな、拍手喝采、大熱狂の中、レオは唯一知っているサイドチェストを決めた。
もはや限界と思われた熱狂はさらに加熱し、拍手喝采が地鳴りを生んだ。
教徒ではない、一般客にもレオの特異さが伝わる。さらに、レオの甘いマスクに、女性達は心を奪われた。
***
(この熱狂はまずい、登場しただけでこの盛り上がり...とんでもないカリスマ性だ。このまま信者を増やすわけにはいかん...やれ!)
あまりの会場の熱気に焦ったプニオは、たまらず片手を挙げ部下に合図を出した。
パアン!
キイン!
突然、会場に銃声と金属音が鳴り響いた。
大盛り上がりしていた観客たちも、謎の音に反応し、あたりを見渡す。
(む、外したか。下手くそめ。)
最近国で開発され、政治家たち一派しか知らぬ武器、ライフルを部下に放たさせたが、レオはピンピンしている。さらには金属音、弾を外して何かに当たったのだろうとプニオは推測していた。
***
(なにっ!?確かに当てたはずだ。どうなっている!?もう一度だ。)
部下は間髪入れず引き金を引いた。今度こそはと、しっかりと狙いを定めて。
パアン!
キイン!
(なんだこの音は、今度は間違いなく当てたぞ、なぜ倒れない!?)
間違いなく心臓を射抜いたはずだ。
男はスコープをのぞき込んだ。
胸元に弾丸が当たった跡はない。
ドオン!
突然凄まじい爆風に襲われ、男は吹き飛んだ。
「さっきからなんですか?ちょっと痛いんですけど。」
男はなにが起きたかわからず、確認のために顔を上げる。
目の前には、さっきまで狙撃していたレオが立っている。
(バカな!500mは離れていたぞ!?この一瞬でどうやって!?いや、そんなことよりも...)
男は一瞬、なぜ遠くにいた相手が今自分の目の前にいるか分からず戸惑った。しかしすぐ、自分の状況を理解した。圧倒的な威圧感を放つその男にこの後間違いなく殺される。
「う、うわああああーーーー!」
男は錯乱し、ライフルの引き金を引いた。
パアン!
キイン!
「うっ!」
足に激痛が走る。放った弾丸はレオに当たると跳弾し、まさかの弾道で男の足に跳ね返ったのだった。
「それは、銃?」
(こいつには銃が聞かないのか?なぜ銃を知っている?グッ...!)
痛みで思考が続かない。
「誰かは分かりませんが、僕を殺そうとしていたんですね。人を殺すつもりだったのなら当然、自分にもその覚悟はありますよね?」
レオが歩み寄ってくる。
その神のプレッシャーに、男は耐え切れず、気絶した。




