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筋肉転生~異世界で筋トレしていたら王になっていた件~  作者: suna
傾国編

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終盤

***

ステージはつつがなく進んでいた。


盛り上がっているステージの終盤。いよいよ痴漢男の出番である。


今回の大会は元々これが目的であった。


「エントリーNo.299!痴漢男だーー!以前、教団の会合で痴漢を働いた、下劣極まりない男の登場だーー!」


MCの発声とともに、一瞬、会場は静まり返る。


そして男が登壇した瞬間、


「ブーーー!」

「引っ込めカス野郎ーー!」


ブーイングの嵐である。


「えー、みなさん。本日開催のイベントは、実はこの男を見ていただくことも一つの目的でした。この男、みなさんご存じかも知れませんが、なんと教団員であることを騙っていたのです。」


ブーイングはさらに加熱する。


「あいつ教団員じゃなかったのか?」

「違うの?」


しかし、今回は一般客も大勢入っている。

教団が痴漢を働いたと思いこんでいた人々は各々、ブーイングではなく少しの戸惑いの声を漏らしていた。


「この男はなぜか、頑なに自分が教団員であると言い張っておりました。そのせいで、我々は痴漢集団、痴漢男製造所などと、つらい風評被害にあってきました。教徒の中には、女性の近くに立っていただけで悲鳴をあげられる方もおりました。そこで今回、そんな風評を一掃すべく、この男を呼んだのです。それではご覧ください。この男の筋肉を!」


男は服を脱ぎ捨てた。


「いかがでしょうか。この貧弱な体。この前に登壇した教団員たちは言わずもがな、一般の教徒と比較しても圧倒的に少ない筋肉量です。」


男は中肉中背、少しだけおなかが出ている、ごく普通の体型であった。


この一ヶ月、死にものぐるいでトレーニングしてきたものの、一ヶ月では筋肉は育たない。なぜなら、刺激を与えても実際に増量が始まるのは三ヶ月後だからである。


「たしかに...この男が教団員な訳ない...。」

「私、この間筋肉の人から逃げてしまったわ...。」


体の出来映えという圧倒的な根拠により、観客たちは、男が教団と無関係であることを確信した。


「おわかりいただけましたか。教団員であればこのような体型なはずはありませんよね?ご理解いただけたならば、私は光栄であります。」


ブーイングは歓声に変わった。


「うおぉぉーーー!俺、もう、筋トレできないかと...。」


観客の教徒が涙ながらに叫ぶ。


「ただ、私がお伝えしたかったのは、これだけではありません。実はあの事件のあと一ヶ月の間、この男にも筋トレをさせていました。その結果、男は反省し、更正したのです。もう、正直に話せるな?」


MCは男にマイクを向けた。


「俺は教団員ではありません。嘘をつき、皆様ご迷惑をおかけしました。大変申し訳ございませんでした。痴漢ももうしません。」


「よく言えたな!皆様、お聞きになりましたか!我が教団の教えは、痴漢男も更正させるようなすばらしい教えなのです!」


また歓声が起こる。


痴漢男は、この一ヶ月のトレーニングを思い出していた。


(あまりにも、疲れすぎた。もうこんなことはしない。)


そう決意し、ステージを降りるのであった。


そしてステージ袖で控えているのは大会の大トリ、レオー。






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