それぞれの想い
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(デートだと...?やはりレオ殿とバベル殿は...)
グレンは一人、レオとバベルの後をつけていた。
二人は楽しそうに出店を回っている。
(確かにあの二人ならお似合いだ。だが、私だって...)
二人のデートの話を聞いたとき、半分あきらめつつも、真実を確認するまではと、二人を尾行していた。
楽しそうに話しながら歩く二人を見ていると胸が苦しくなってくる。
「くそう、こんな思いをするなら、もう少し早くアプローチするんだった。」
二人をみなければという思いとは裏腹に、涙で前が見えなくなってくるのだった。
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(さすがに警戒しているか...。グレンの奴...。)
プニオもまた、出店を回っていた。
プニオの作戦はこうだった。
ーー
手みやげとして渡した菓子には、極めて少量ながら、摂取した者が腹部の不調を訴える特殊な粉薬を混ぜてある。
それは一般的な毒物検査では検出されにくいが、多数が同時に摂取すれば、必ず「集団食中毒」として表面化する巧妙なものだ。
そして、教団の提供する飲食物にも同様の粉薬を混入させる手筈だった。
目的は、教団主催の祭典で大規模な集団食中毒騒ぎを引き起こすこと。
これにより、教団の食料管理の杜撰さ、ひいては彼らの信仰そのものの危険性を喧伝し、王都全体に不安を煽る。その上で、教団を一時的な謹慎処分に追い込み、民衆の信頼を失墜させる。
これは、「王国の平和を脅かす危険な新興宗教」として教団を弾圧するための、完璧な口実となるはずだった。
ーー
だが、グレンの尾行に勘付いたプニオは、手みやげを渡した後の作戦を決行できないでいた。
(早くやらなければこの会が終わってしまう...そうだ。目の前のでかい男に隠れながらうまく隙をつくしかない。)
そう思い、後ろからつけてくるグレンの目から隠れるため男の前に立ったのだった。
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「これは、鶏胸肉の焼き鳥、これは鶏胸肉のチャーシュー、これは鶏胸肉の鍋!すばらしい、なにを食べても筋肉にいい。」
「えー、全部同じじゃん!お菓子とかないの?」
「無いんだよなあ。ちょっと味気なかったかな?」
出店のメニューを考えたのはレオだった。
ちょっと悲しくなりつつも、バベルに尋ねる。
「ちょっと味気ないけど、これはこれでいいかも!」
「やっぱりかー。でもこれはこれでいいならいいか。」
バベルが楽しそうなので全然よかった。
「続いて、人気アイドルグループ、クリスタルバレットの登場です!」
ステージからMCの声が聞こえる。
「えっ!クリスタルバレット!?私大ファンなの!見に行こうよ!」
クリスタルバレットは、イケメン揃いで女性を中心にファンを集めている。
「え、あんな奴らがいいの?」
レオはショックを受けた。
鍛錬不足で脂肪の多い細い身体。栄養管理の知識など皆無な、あんな男たちのどこがいいのだろうか。
バベルが、己以外の、筋トレに無関心な「弱者」に歓喜していることに、心の奥底がずしりと重くなった。




