神の裁き
プニオはすぐに、刑務所へと向かった。
***
「間に合わなかったか...。」
工作員が余計なことをしゃべる前に早く消さなければと考えていたものの、教団からの手紙に気を取られて始末が遅れてしまった。
この結果がこれ、教団はさっさと工作員を連れて行ってしまった。
(まさか、これが狙いだったとは...。あちらにもなかなか、切れ者がいるらしい。完全に後手に回ってしまった。)
グレンには作戦の全容までは伝えていなかった。
しかし、工作員は違う。作戦成功のために、ほかの工作員の情報やプニオの戦力、すべてを知っている。
より確実な反撃のために、工作員を連れて行ったのだと、プニオは確信した。
***
「おおーー、連れてきてくれたか!ありがとう!で、そいつなのか?」
レオはダンブルを労う。
「いえいえ、とんでもないことでございます。その通りこやつが、犯人でございます。」
「おい、先ほどのような無礼は禁物だぞ。この方は、我が教団の神である。」
ダンブルは、レオに返事した後、連れてきた男にそっと耳打ちした。
男はレオを見た途端、顔面蒼白になる。
彼も裏の世界の人間だ。力の差が何故かわかってしまう。レオの圧倒的な体躯、そして謎のプレッシャー、相手の気分次第で自分が簡単に捻りつぶされる。そんな感覚に襲われた。
「は、はひっ、私がここで痴漢を働いたものです。此度は、ボディビル大会にお誘いいただき、ありがとうございます。全身全霊で、出場させていただきます!」
「おお、なんだ、意外と素直じゃないか。おまえ教団の一員らしいな。がんばってくれよ。」
「いえ、実は私、嘘をついておりました!私は教団員ではありません!このたびは、大変なご迷惑をおかけしました!」
男は、レオの問いかけにあっさりと口を割る。
ダンブルは、刑務所での威勢はどうしたんだと若干あきれつつも、男の正しい判断を評価した。
「わかってるよ。そんなことは。ちゃんと正直に答えたな。だが、もう遅い。事態は深刻だ。俺の筋トレ生活は今、おまえが前日ついた嘘によって脅かされている。」
「はっ、大変申し訳ございません。それでわたくしめはいったいなにをすれば。」
「聞いているだろう?ボディビル大会にでてもらう。」
「それはなぜでしょうか?」
「周りをみろ。ここの奴らは皆、筋トレでガチガチの体なんだ。おまえの体をみれば、一瞬で教団のものではないことが理解されるだろう。それが狙いだった。だがな、今ちゃんと正直に話したおまえは更正の余地があるとみた。大会までの一ヶ月、ここでみっちり鍛えさせてやる。そうしたら今後、痴漢なんかしなくても女の方から寄ってくるさ。」
レオは痴漢を働く以外に性欲を満たすことができないかわいそうな男を励ました。
「ああ、神様。なんとお優しきお方だ。私は心を入れ替え、筋トレに励みます。」
男は泣きながらレオに誓った。
ここから男の、人生最大地獄が始まったのだった。




