ボディビル大会への誘い
ダンブルは今日、刑務所へと足を運んでいた。
痴漢の犯人との面会のためである。
面会の目的は一つだ。ボディビル大会への参加を交渉する事である。未だに自分が教団の一員であると言い張っていることはダンブルも聞き及んでいる。これがいけない。この男を大会に参加させ、筋肉の未発達さを観衆に見せることで、それが偽りであることを証明しなければならない。
***
男は一人、絶望していた。作戦に失敗した。今はまだ、自分が筋肉教団であることだけは貫いている。あまり信じてもらえてはいないようだが。しかし、これから起こるであろう尋問に耐えきれるだろうか。もしかすると拷問だってあるかもしれない。なにより怖いのはプニオに消されることだった。今頃、ボロを出す前にどう消すかを考えているに違いない。
そんなことを収監されてからずっと考えている。
プニオのやっていることは、自由思想の原理に反している。万が一彼と自分の関係や、爆破テロの首謀者であることがばれてしまえば、プニオの政治生命に致命的なダメージを与えることになる。
(いっそ、暴露を盾に許してもらえるよう交渉する?いやだめだ、プニオ様の怒りを買うだけだ。うぅぅ..、どうすれば...?やはり無理か?)
男は一生懸命に、自分の生き残る道について思考するが、必ず壁にぶち当たる。
(変な仕事を引き受けるんじゃなかった...)
「おい。面会だ。出ろ。」
突然、看守がやってかて男に声をかけた。
(もう来たか。)
男はプニオが自分を消しにやってきたのだろうと思い。すべてをあきらめた。
***
「こちらの方だ。」
男は看守に連れられ、面会の相手のところまで連れてこられた。
目の前には、意外な男が待っていた。教団にいた男だった。教団に捕らえられた一昨日、最後に連れて行かれたのがこの男のところだったので覚えている。
「まあ座ってください。」
何用かとぎょっとしたが、教団の男は落ち着いた声音で、語りかけてくる。素直に従った。
「いったい何の用だ。」
「それが、実はお願いがありましてね。あなたは、うちの教団の一員であることを騙っていると聞いています。困るのですよ。教団のものが痴漢騒ぎを働いたとなると。ただ頑なだとも聞いています。あなたの意見は変わらないのでしょう。そこでですが、あなたが教団の一員と言い張るのなら、今度開催する、ボディビル大会に参加してもらえませんか。」
「ぼでぃびる大会?」




