怪我の功名
そして今に至る
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「そうそう!夜中のあの魔力見たか?あれはきっと痴漢に激怒した神様の魔力に違いない!」
「俺もみたぜ、あれは魔力なのか?でも神様って何だよ。それより爆弾は?」
「爆弾?なに言ってんだ。俺は昨日会合に行ってたが、そんな騒ぎなかったぜ。」
***
「なぜだ!なぜ痴漢騒ぎなんかで済んでいるっ!?」
プニオは秘書官に怒鳴りつけた。
「申し訳ありません。私にもなにがなんだか...」
「グレンたちもいつの間にか消えた。まさかあいつらの仕業か...?」
「その可能性はあります。昨日から姿が見えません。」
「裏切りか、まさかここまで馬鹿な女とは。筋肉教などにうつつをぬかしおって...!」
プニオは、怒りながらも焦っていた。
昨日夜に見た光。あれは間違いなく魔力だった。あれを見て武力でどうこうできると思うほど、プニオは愚かではない。
(もしかすると、あれは私個人への警告かもしれん。グレンが裏切ったならそれもあり得る。しかし、今の立場も惜しい。このままでは...!)
しかも、工作員は痴漢として捕まっているそうだ。余計なことを言う前に消さなければ...。
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一方そのころ、工作員は、取り調べを受けていた。
「俺は痴漢なんかしていない!俺は筋肉教団で、のこのこやってきた教徒どもを爆弾で皆殺しにしようとしていたんだ!」
苦しいながらも、工作員は本来の目的に向かって軌道を出制しようとしていた。
「プッ...、クククッ...、ダーハッハッハッ!...だめだ、すまん...。押さえきれない。どうして爆弾で事件を起こそうというやつが痴漢なんかするんだ?第一、爆弾はどうした?女のお尻をさわれば爆発すんのか?...プッ。ハハハッ!笑わせるなよ!」
警官は爆笑して取り合ってくれない。
「...まあ一応調書には取っておくよ。...クッ。でも爆破未遂なんて痴漢より重罪なのに、何でそんなに爆発犯にこだわるんだ?」
プルプルと肩を震わせながら、工作員に聞く。
工作員はもう諦めていた。どうあっても元の路線には戻れない。
もう消されるしかない。
***
また一方、ダンブルは、部下から報告を受けていた。
「大変です!昨日の痴漢騒ぎで、男性教徒たちが退教したいと!」
レオは、それを横目に、我関せずと筋トレを続けていた。(昨日の爆破テロは、一応警戒しているものの、迅速な教徒の解散により、失敗に終わったと結論づけられていた。)
「なんだと。なぜ痴漢で男が減る?」
「皆申しておりましたのは、『さっき筋肉を見られて、痴漢と思われた。』『熱心な筋肉教徒は痴漢になると噂になっている。』などです。」
「クッ、あいつめ、余計なことを...。」
怒りで歯を食いしばるダンブルとは対象的に、休憩中のレオは涼しい顔だ。
(まあ、そういうこともあるよな。俺には関係ない。)
「このまま教徒が減ってしまうと、神殿の維持が...。」
部下がボソっとダンブルに耳打ちした。
レオは聞き逃さなかった。
「何だって?」
「いや、その...、以前は、無断で土地を使っていたので大丈夫でしたが、今はしっかり税金を納めておりまして。この規模の土地と神殿を維持しようと思うと...。このまま教徒を減らしてしまうのは、中々手痛いのです。」
部下は申し訳なさそうに言う。
(なるほど、確かに扱う重量が増えてるたびに、ジムを拡大してきたからな。それでもダンベルの置き場がなくなってきた気がする。漸進的過負荷の為には、まだまだ面積が必要になってくる。維持すら難しいといわれると不安だ。だが...、)
「要は、イメージ回復できればいいんだろ?」
ニッ、とレオは笑った。




