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筋肉転生~異世界で筋トレしていたら王になっていた件~  作者: suna
傾国編

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30/62

あがらない火の手

「みんなすまない。国のために、死んでくれないか。」


グレンは集めた部下に頭を下げ、事情を説明した。


***


「団長、俺たちを何だと思ってるんですか?」


「すまない。そうだな。忘れてくれ。ただ、私一人行くだけでも、皆に危険が及ぶかもしれない。うまく隠れるなりして生き延びてくれ。」


「逆ですよ。」


「え?」


「だから逆です。俺たち仲間じゃないですか。死ぬときは一緒です。だからそんな風に頭を下げるんじゃなくて、命令してくれればいいんですよ。」


グレンの目から涙がこぼれる。


「グスッ...ありがとう、皆!私は、騎士団長の地位を捨てる。叛逆の嚆矢は今、放たれた!筋肉教を、国を守るぞ!」


彼女の瞳に映るのは、幸福な未来ではなく、現在、犠牲となる部下の影だった。

その誓いは、鉄の意志を焼き尽くす、情熱の炎となった。

(それでも...愛するものを守る。それが私の全てだ!)


***

工作員の一人がつぶやく。

「時間だ。」


筋肉教団の一員と似た服を着用し、信仰の熱狂という名の波に紛れ込んだ。死を纏う異物として、群衆の中に沈み込む。


(こいつら全員、血祭りだ。)


計画はこうだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

筋肉教団に扮して、聴衆をテロに巻き込む作戦だ。

人質をとり、爆弾を抱え、叫ぶ。


「愚民ども!筋肉教なんて存在しねえ!バカみたいに集まりやがって!ずっと騙してたんだよ!

俺たちの狙いはなあ、一万人集めて一気に殺してみたらどれだけ気持ちいいか、確認する事だったんだよ!」


実際に、爆発させる予定は無い。聴衆達をわざと逃がし、筋肉教団が危険な集団であることを認識させ、広めさせる。


広めるのは工作員たちだ。ことを起こした直後、国のいたるところで筋肉教団がやらかしたと吹聴する。


一週間の間で出来るだけ吹聴し、世論を傾ける。そして教団の幹部たち全員を法律で裁く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

プニオの策略は、剣ではなく、言葉と捏造で毒する。静かなる毒ーーーそれは歴史の歯車を狂わせる、一瞬の暗転の前触れだった。


***

(こいつら全員、血祭りだ。)

工作員は、役になりきっていた。今まさに、聴衆を爆発させるつもりで突撃する。


「おい!こっちに来い!」

手前の女の肩をつかみ、連れ去ろうとする。


「ん?」


工作員は違和感を感じた。もう一度肩をつかみ、連れ去ろうとした。グッーーー。


力を入れても全く動かない。


グッーー、グッーー、何回やっても動かない。


「何?今いいところなんだけど?」


女が振り向く。ドサッー。振り向いた動作により、工作員は弾き飛ばされた。


「ガアッ!い、いえ何でもないでふ。」


男はなにが起こったか分からなかったが、とにかく怪しまれないよう、笑顔で去る。


(なんだ、なにがあった?仕方ない、ほかの奴だ。)


グッーー、グッーー、ドサッー。


「まだだ!」


グッーー、グッーー、ドサッー。


(ちくしょう...それなら次の奴だ...!目的は爆発だ!)


「ちょっと、何なのこいつさっきから、超怪しいんだけど!」


女たちが不審な工作員に気づき、ざわつき始める。


「私もみてた!女の子ばっかりねらって肩を触って逃げてるの!」


(まずい!バレた!)

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