10年後
ーープロテウイーン王国ロイスン村付近の森ーー
「この国はクソだ。」
錬金術師団・夜リーダーのダンブルは静かに吐き捨てた。彼は、腐敗した国の未来を憂い、千人の同士を集めた。彼らの目的は一つ、革命だ。
求めるは、神。すべての者が自由に、平等に成長できるよう、公平にジャッジできる絶対的な審判である。
民主主義国家であるこの国は、一人一人の投票によって、政治を行う者を決め、その政治家が多数決により法律を決め、税金の使い道を決める。一見、平等に見える政治構造である。民主主義の思想が広まった当初、この国は活気づいていた。
国民一人一人の意見が吸い上げられ、皆が納得できる政治が行われた。
国民は感謝し、政治家たちには多大なる報酬が支払われるようになった。
しかし、徐々に国は変わっていった。
民主主義の行く先は国民の分断である。
政治家はその多大な報酬と既得権益ため、政治家になることだけが目的となった。政治家になるには、国民の半数に響く政治をすればよい。半分には税金をばらまき、半分からは税金を巻き上げる。これによって政治家は潤い、国民の半数は潤う。しかし残り半数は奴隷だ。
当然、国力は落ちる。奴隷は飢え死に、もしくは自殺に追い込まれる。奴隷が減った分は、潤っていた半数から補う。人口は減り、弱体化する国は他国から狙われる。
しかし政治家たちはそんなことは気にしない。国が狙われたなら売ればよい。そんな状況に、国民たちは気づかない。このままにしていてはいくところまでいってしまうだろう。
欲まみれの人間では公平な政治は不可能だ。神であれば、こうはならない。この思想こそが、我々「夜」の柱。魔力を用いた神の錬成こそが究極の目的である。
錬金術とは、魔力を変換し、別のものを生み出す術。我々が選んだ触媒は、人間だ。
人に魔力を注入し、別の生物に変わらせる実験を繰り返してきた。
注入する魔力は、通常の錬金術師であれば自分がまとっているものを使用する。
しかし、これでは使える魔力に限界がある。
より多くの魔力を使うために、別の方法がある。魔力は基本的に、人の皮膚の周りを覆うものであるが、人が死ぬときには、皮膚から離れて霧散する。
このとき、霧散する前に袋に閉じこめておけば、魔力を回収することができるのだ。
より多くの魔力を注ぎ込めば神を生み出せるかもしれない。この仮説を検証することが当面の目標である。
「聞け!今回は大規模実験に移行する!」ダンブルは命じる「全員!1人10人ずつ計画的にさらってくるように!期限は一ヶ月だ!」
これまで行ってきた実験は、一人に千人分の仲間の魔力を注ぐのが限界だった。今回は、一人に一万人分の魔力を注ぐ実験である。
(この結果次第では、次回は私自身が触媒となる、、、。)に注いでもよい。ククッ、私がこの世界の、神になる!




