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彼のレシピノート

仕事を終えた私、夜明よあけ かなでは手に持ったコンビニ袋をテーブルにおいて中にあるゴーヤを1本取り出す。家庭菜園を趣味にしている会社の先輩からもらったもの新鮮なゴーヤをまな板に置き包丁で切り終えたあと部屋にある一冊のノートを取りに行った。


「たしかこれにゴーヤチャフプルーの作り方も書いてあったよね……あった」


 ノートにはすべてのページにいろんなレシピが書かれている。このノートは私が2年前に付き合っていた元カレが私の不規則な食生活を心配して書いてくれたものだ。


 彼の名前は、夕暮ゆうぐれ 尚斗なおと付き合ってた当時は夜明と夕暮でお似合いのカップルなんてまわりからからかわれたが交際から3年後に彼は私の前から去っていった。


 理由は傲慢だった私に彼は愛想を尽かしたのだ


 私はさまざまな難関資格を獲得していることもあり今の職場でも一目置かれている。当時仕事に忙殺されてた私のために彼は私のためにさまざまな料理を作ってくれた。栄養士の仕事をしていた彼は私の体のことも考えてバランスの良い料理を食べさせてくれた。


 それなのに私はある日そんな彼に酷いことを言ってしまった。理由は単純私がその日リクエストした料理がでてこなかったからだ。いい材料が手に入らなかった。そんなちゃんとした理由があるにもかかわらず私は彼にずっと文句を言い続けた。いつも、普段優しい彼もさすがに少し苛立っているのは分かった私は


「何?怒ったの低収入のくせに」


 あの時のことを思い出すと今でも後悔している。彼の収入は決して悪くなかった。むしろ同年代からみれば多い方だったと思う。それなのに…私より収入が少ないというだけで彼を私は下に見ていたのだ。


 その日彼は無言のまま帰っていった。次の日彼からの別れのメールがきた。彼との別れは当時それほどショックではなかった。


 昨日の夜私と彼の共通の友人から聞かされたのは彼が来月職場の後輩と結婚すること。ショックだった。心の何処かでいつか彼と仲直りして復縁できるそんな都合の良いこと思っていたのかもしれない。普段は外食ばかりの私が料理をしたくなったのはこれが理由。彼の料理がなつかしくなった。出来上がった料理の前で手を合わせる。食べてみると少し塩気が強かった。



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