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ブラックな婚家に別れを告げてホワイトな男爵家に嫁ぎます  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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17/20

第17話 大人気

 ディアナの作った『愛のロマンティックタイムを盛り上げる』魔法薬は、レーアン子爵家の営む商会の大人気商品となった。

 女性向けには、化粧品などの並ぶ商品の横に可愛らしく並べ、手頃な金額になっている。

 男性向けには同じ商品でも高い金額を設定するのが一般的だ。

 売り場も、高い宝石など女性への贈り物にできるような商品と一緒に並べてある。

 まとめて買ったときに値引きする、という形をとって売るのが商会の方針なのだ。

 

「本当に売れているのね」


 納品ついでにおいでとアレックスに誘われて店頭を覗いたディアナは目を丸くした。

 一緒についてきたマリーも同じ反応を示した。


 女性の売り場と男性の売り場は店舗が分かれているので、男性向けの売れ行きについてはバックヤードからそっと覗いて確認した。

 アレックスに代わって案内を買って出た商会の青年が、得意げに言う。


「凄いでしょ? 『愛のロマンティックタイムを盛り上げる』魔法薬の人気は。この調子でいけば、今年の売り上げナンバーワン確実な商会の人気商品ですよ」


 ディアナとマリーの後ろからヒョコッと覗いたサミエルも、感嘆の溜息を吐いた。


「はぁ~、凄い売れ行きだね。これは我が商会でもぜひ扱いたいなぁ」


 納品へ行くディアナたちについて来たサミエルの商売人魂に火が付いたようだ。

 ディアナとしては、商売人魂ではなく別のところに火が付いてくれればいいな、と思っていたが口にはしない。


「ふふ。『愛のロマンティックタイムを盛り上げる』魔法薬は、お兄さまの依頼で開発したから、仕入れはレーアン子爵家の商会からお願いね」

「ああ。ディアナは綺麗で魅力的なだけじゃなくて商売上手だな」

「えっ⁉」


 ディアナが驚いてサミエルの方をみると、彼はディアナにだけ聞こえるように耳元でそっとささやく。


「今度、2人だけで出かけよう」

「ふ……2人だけで?」

「ああ」


 サミエルが笑みを浮かべてディアナを見ている。


(え? もしかしてこれはデートのお誘い? こんなところで? こんなタイミングで?)


 ディアナの顔が赤くなるのを見て、マリーが目を丸くした。

 マリーの隣で商会の青年も目を丸くしている。


(あっ、なんだか恥ずかしい……)


「ふふ。偵察がてら、ディアナに何かプレゼントしようかな。何か欲しいものはあるかい?」

「いえ、私は特には……」


 ディアナは、欲しい物があれば自分で買えるだけの甲斐性がある。


(私が欲しいは、好きとか、愛しているとか、結婚しようとか。そんな無邪気な言葉、かも?)

 

 ディアナは混乱のあまり、自分がわりと深い考えもなく贅沢なことを思っている自覚はなかった。


(『愛のロマンティックタイムを盛り上げる』魔法薬が効いたの? お兄さまがサミエルへ、おリボンをかけてプレゼントしたという、『愛のロマンティックタイムを盛り上げる』魔法薬が効いたのかしら?)


 今日のサミエルは、心なしか自信に満ちていて輝いている。


(効果があったかどうか、薬師としては聞きたいっ! でも恋する淑女としては聞けないっ!)


 割とどうでもいいことを考えながら、ディアナはときめいていた。

 マリーはディアナとサミエルを眺めながら、商会の青年と盛り上がっている。

 サミエルのあとについて店内を一通りチェックしたディアナたちは、商会の青年に見送られてレーアン子爵家の営む商会を出ようとしていた。


「ディアナ! こんなところにいたのね」

「ああ、やっと見つけた」


 ディアナは声の主に背中を向けながら顔をしかめた。

 聞きたくない声が聞こえてきたからだ。

 レーアン子爵家の営む商会の出入り口から道の方を振り返ると、そこにはイーサンの両親が立っていた。


(あら。今日は私も大人気みたいね)


 ディアナはイーサンの両親へニッコリと笑って見せた。


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